哀願

桐原まどか

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哀願

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―あなたが言い出したのですよ?わたくしとの婚約を破棄すると。
それを今更…
みっともない!
こんなみっともない男性と結婚せずに済んで、本当に良かったですわ。

―さようなら。

彼女は去っていった。

僕はどこで間違えたのだろう…あの時、別の女性に目が眩んだせいか。
親が決めた許嫁だから、という反抗心もあった。だが失ってはじめて、彼女がいかに大切だったか、思い知った。
既に手遅れ。
後の祭りだ。

彼は立ち上がる事もせず、うなだれていた…。
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