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死して、なお
しおりを挟む私は彼を愛してる!
私以上に彼を愛し、敬い、護ろうとする人間はいないはず!
だから、お願いします…。
女の懇願に、転生を司る神は唸った。
彼女の言う〈彼〉は既に別世界に転生していた―女性として。
神はその事実を女に告げた。
それでも魂は彼ですよね?
この質問に神は再び、唸った。
―まぁ、同じといえば…。
なら、お願いします!彼の傍へ…。
女の懇願に負けた神は、転生を行った。
だが…と、疑問を覚えていた。
転生のルールとして、〈前世の記憶は消える〉。果たして、あの女はどうする気なのだろう…。その点が、神にすら不思議だった。
それから幾年月。
神の前に、ひとりの女が〈罪人〉として現れた。
神は驚いた。見た目こそ、違うが、この女はあの時の…。
女は神に向かって言った。
驚いていらっしゃいますね?
無理もありませんわ。
私は黒魔術師。彼の傍に行くために、あなたの言うルールを破ったのですから。
ふぅ、と息を吐く。
でも、欺ききれなかったみたい。
女の〈罪状〉は―転生のルール破り及びその先での黒魔術を用いた殺人―
神は愕然となった。
女は満面の笑みを浮かべた。
でも構いません。これで永久に彼と共にいられます。
そう、女は黒魔術で任意の相手―彼―の魂を自分に隷属させる事に成功していた。
そうして、その術には、神すら手が出せない。魂同士の契約だからだ。
あくまで〈転生〉を司る神には手出し出来ない。
さぁ、〈罪〉を言い渡してください。
彼と共にならば、どんな苦行も平気だわ。
仕方ない…。神は〈罪〉を言い渡した。
その魂が浄化されるまで、天国でも地獄でもない、〈狭間〉を彷徨う事。
女は再び、満面の笑みを浮かべた。
ありがとう。
そう言い残し、女は去った。
隷属させた魂と共に…。
何が女をあそこまでの闇に堕とす事になったのか…。
神は苦い思いを抱えながら、今日も〈転生〉を行っている…。
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