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第一章
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その日は突然のことだった。
日々、少しずつであるが冒険者の客なども増えていた。
その噂を聞いたのだろう。若い血走った目の女が子供を抱えて駆け込んできたと子供たちにオーガが呼ばれる。
「……いったい何なんだ?」
いつもの仮面で不機嫌そうな雰囲気を隠そうともしないオーガに、女はびくっ、と肩を震わせる。
が、子供をみて、ぐっと息をのみ声を出す。
「助けてください!」
ひそめられたオーガの目は、女の抱きかかえている子供に向く。
子供は明らかに衰弱していた。辛うじて息をしているだろう体を、抱きかかえてきたというのか。
「俺は医者じゃない」
「でも!凄腕の薬師だとか!」
最近、店に来る冒険者たちに聞いたのだろう。
基本的に、この世界で回復薬などを作れるのは
「いや……薬師でもなんでもなく、錬金術師だ」
うそ!と女は絶望し切った顔で崩れ落ちてしまう。
はぁ、とため息を吐いたオーガはとりあえず、と店の隣に作っておいた診察スペースへと通した。
診察スペースは、薬が必要な患者にどのくらい処方するのかを見るための場所だ。
オーガは、薬師としてのスキルも錬金術のために会得していたのだから、できないことはない。
診察台に子供を乗せると、母親はお願いします、お願いします、と祈るように子供の手を握っていた。
無情にもオーガは邪魔だから、とその母親を子供たちへと預ける。
「っと、どれどれ……」
鑑定で、オーガは子供のステータスを見る。
状態はやはり変わってしまっていた。
「……まずは体力を取り戻さないとな」
そうして、体力の数字を見て、処方する回復薬を決める。
それを飲ませると、体力が回復するのはもちろん、外傷はきれいになくなった。
その他の症状を詳しく異常を見ていく。
「えっと……ダンジョン風邪?どこでそんなもの拾って来たんだ?まぁ、いいか……」
大元の原因は、ダンジョンの中で感染するダンジョン風邪と呼ばれる病気だ。
だが、こんな10歳にも満たないような子供が感染する病気ではない。
最近は特に、ダンジョンが活発になってきていて、ギルドの管理が厳しくなっているだろうし……。
母親に事情を聴いてみると、ダンジョンチルドレン、つまりは荷物持ちとしてとある冒険者グループに同行したらしい。
そこで、不慮の事故で荷物の一部を破損し、傷を負ったと。
冒険者も、その事で子供を殴ってもいた、という。ひどい話だ。彼らの生活にかかわる問題だったとしても。
その傷と、通常の風邪薬など効かないダンジョン風邪ともなれば、普通の薬屋なら諦めるだろう。
体力がなければ回復もしないだろうしな。この世界の薬師は特に無駄はしないだろう。ポーションの類もあまり置いてないだろうし。
置いてあったとしても、それは法外に高いと平民なら感じる値段だ。
技術料と、そのポーションができるまでの希少さを鑑みれば、この世界では一般的な値段なんだろうが。
「ふぅん……?何でこの子は、ダンジョンチルドレン何てやることになったんだ?」
オーガが気になったのはそもそもの問題。
この母親の身なりからして、スラム街の住人ではないだろう。
だが、貴族や富裕層と言うわけでもない。取り分けて特徴身のない平民だ。
その平民が、なぜ?と疑問に思う。
平民であれば、それなりの暮らしが街に居ればできるだろうし、冒険者の加入はもっと先の話だっただろうに。
それは……と母親は言いづらそうにオーガから視線を逸らす。
「この子は……冒険者になりたいんだよ。だから、ダンジョンチルドレンとしてついてったんだ。少し、痛い目を見れば目が覚めて、まっとうな道に戻ってくれると思ったんだよ」
まともじゃないのはこの母親の方か、とオーガは長いため息を吐いた。
つまりは、こうなるのは母親としては予定通りだったわけか。まぁ、やりすぎて子供の命を奪いそうになったけれど、と。
「アホかお前」
そうして睨むみ、会計頼む、と使用した薬剤などの金額を書いた紙を店の子供に渡す。
薬も飲ませたし、体力も付いた。
あとは、寝てても治るだろう。
普通の薬が効かないという問題点はあるものの、少し高価になるがヤマギリ草と言う、霧の出ている間に採取しないと効果がなくなってしまう薬草を使えば、ダンジョン風邪はすぐに治る。
二、三日もすれば、子供は走って回れるぐらいに回復するだろう。
母親に憤りがあるものの、この世界にはそういう概念だって少なくない。
そうして子供を亡くす親だって。貧困にあえぎ、ダンジョンチルドレンをする子供たちもたくさんいる。
そうじゃない子供も少ないがいるということだ。
だが、と先ほどの子供の傷を思い出す。あれは、少し、というにはひどすぎる。
(……母親はそうでなくても、父親はあの子供に死んで欲しかったんじゃないか?ともなれば、あの子は次男か三男なんだろうな)
口減らし、そうしたことが行われていてもおかしくはない。
母親は、医者にかかるよりは安いが、それでも高い金額に顔色を真っ青に変えながらそれでも支払っていったという。
母親にとっては、大切な子供なんだろう。人の家族に口出しするほど、興味はないが、あの子供も板挟みで可哀そうだなとは思う。
その母親から聞いたのか、次の日には一人のおじいさんが店を訪ねてきた。
「ここに凄腕の薬師のにーちゃんがいると聞いたぞ!わしゃ、腰が痛んじゃ。治療してくれ!」
という風に、半ば脅しのように。
オーガを、店番の子が起こしに来て、ふわぁ、とあくびをしながら降りてくる。
「で?誰だアンタ」
「客じゃ!さっさと治療せんかい!」
「無茶言うなよ……」
はぁ、とため息を吐いたオーガはそれでもおじいさんを診察室へと案内して、眠たい目をしばしばさせながら、おじいさんの容態を見る。
「……そこの台に俯せに乗れ」
「命令すんな若造が!」
なんだこの爺……とオーガはイラっとしながら、ため息を吐く。
おじいさんはなんだかんだ言いながら、オーガの指示に従う。
「少し押すぞ」
そういうと、オーガはグッと背中を指圧していく。
そして、オーガの動きはだんだんと大きくなり、ゴリゴリと人体からしてはいけないような音がおじいさんからしだす。
「ぎゃぁああああ!」
「ぐわぁああああ!」
など、ある意味患者とは思えない悲鳴をおじいさんがあげている。
いいかげんにせぇえええい!というおじいさんの拳がさく裂し、その悲鳴は止まった。
「って……何すんだこのくそじじい!!」
「お前さんがわしに何をって、おお!?」
診察台から降りたおじいさんはふむふむ、と腰を確かめるように回し、ほう!と目を輝かせた。
「いつもよりも腰が軽いぞ!」
「施術だって言っただろ!」
言ってません。
「お前さんに殺されるかと思ったが、なるほど!腕は確かなようじゃな!」
「誰がほっといても死ぬような爺殺すか!」
「何だとこの若造め!」
「ほら、一日三回ひと月の痛み止めと、特に痛いときに腰に張る湿布だ!会計して帰れ!」
「おぉ、すまんな若造!また来るぞい!」
「もう来るな老害!!」
診察室からひょうひょうと出ていくおじいさんを見送って、オーガははぁ、とため息を吐いた。
ひょっこりと顔を出した受付の子に、施術と薬代を明記した紙を渡し、オーガは椅子に深く腰を掛けて天を仰ぐ。
「この世界……案外癖の強いやつ多すぎるだろ……」
これまで、リカルドやアレン、ラジュールとか……今日のおじいさんもそうだ、とはぁ、とため息を吐くオーガ。
いや、そもそもなぜこんな濃ゆい相手ばかりが集まってくるのか。
運命とは残酷か……としみじみ思う。
次の日から、あのおじいさん、スヴァラじいの紹介で、おじいさんおばあさんが、町医者代わりにオーガの店へ足を運ぶことになる。
慌てて、診察室のレイアウトを変えて、待合室を作る羽目になった。
「オーガさん、次の患者様です」
オーガも、本物の医者らしくカルテをつけている。
それを、ジルがはい、と手渡してきた。
カルテをぼんやりとみて、はぁ、とため息を吐く。
「忙しい……こんなはずじゃなかった……」
「忙しいのも、この週を過ぎれば落ち着きますよ。たぶん……」
「俺を目を合わせてから言って見ろ、ジル……」
ふぃ、と目をそらすジル。
はぁ、とため息しか出ない。
この仕事も、主なところはオーガだが、細々したところは子供たちに任せるようになった。
「で、ばぁさん今日はどうしたんだ?」
「え?」
「きょうは!どうしたんだ!?」
えぇ?と聞き返すおばあさんにオーガはもう一度大きく息を吸い込んで、同じセリフを叫ぶ。
そして、おばあさんはふふふ、と笑った。
「あら、そんな大きな声で叫ばなくても聞こえてるわよぉ。オーガちゃん」
「……なら、聞いてくれ……」
イスからずりっ、と落ちそうになる。
時折、オーガをからかって遊ぶお年寄りたちも多く、げんきだなぁ、とオーガは現実逃避をした。
順調にそのあとも診察と施術、処方が終わり、午前中だけ、と決めた診察時間は終わりを告げた。
最後の患者がいなくなり、はぁ、とため息を吐くオーガ。
「疲れた……」
お疲れ様です、とオーガにお茶を出してくるジル。
最近はすっかり、この併設診療所の秘書みたいなものだ。
ふと思う。
ジルやリカルドの目なら、オーガが技術さえ教えてしまえば、任せてしまえるのではないか?と。
「ジル……」
「オーガさん、皆さんオーガさんの治療を望まれてますよ?」
「先を読むな、そして痛みさえ消えればあの爺さん婆さんたちは、俺だろうとお前だろうとリカルドだろうと変わらんだろうよ」
まぁ、オーガをおちょくて楽しんでいるのも否定はしない。
が、それはジルに変わろうとリカルドに変わろうと変わらないだろう。
「まぁ、これも生きてく術だと思って諦めろ」
「嫌ですよ……」
ジルは、オーガと最近は接する機会が多かったからか、少しどころじゃなくオーガに遠慮がなくなってきている。
むしろ第三の保護者的な目線で見られることも多い。
オーガの方が年上のはずなのに、な?何でだろうか……。
「医術は残念ながら教えてやれねぇけどな。整体なら、聞きかじり程度だが教えてやれる」
むしろ、聞きかじり程度だった整体が、このイスティアに来てから強化されているような気がする。
どこをどうすればいいのか、それが自然とわかるというか……。
特殊能力的なものではないだろう。
「ジル、自分だけの武器は身に着けておくものだぞ?」
「それでも……オーガさんには勝てないでしょう?」
「……俺に勝ってどうすんだ?」
本気でオーガは首をかしげる。
はぁ、とジルはため息を吐いた。
「オーガさんに勝てる何かがないと、独り立ちしたところでお客さんなんて来ませんもん」
「もんって、お前な……それに、誰も独り立ちするとき、この王都で店を開けなんて言ってないぞ?」
オーガ的にはむしろ、王都には色んな店があるのだ。むしろ地方で店を開いた方がいいだろうと思う。
もちろん、独り立ちする子供たちにはバックアップもちゃんとするつもりだ。
だが、小さな村でやれなんて言ってない。彼らが無用に魔獣などの脅威にさらされる必要はないと思っている。
「それにお前らに負けるような奴に習ってても仕方がないだろ……出来ることを教える。そりゃ、俺のすべてを叩きこんだって良いくらいだ。でもな?お前らにはお前ら一人一人になりたいものや、適性があって、それを伸ばしてこそだと思うし、俺は俺のエゴでお前らに教養を与えてる。それが、お前らの進む道を狭めるかもしれないし、逆に広げるかもしれない。その道で光り輝くも、ただの石っころになるもお前ら次第だ」
俺はな、とまっすぐにジルの目を見るオーガ。
「お前たちは常々、無限の可能性を秘めていると思ってる。お前らが型通りに嵌るか、飛びぬけて、俺の予想以上に輝くかなんて、俺にはわからない。そういう意味では負けているのかもしれないが。それでも、お前たちがどれだけ輝こうと、俺は俺の今までの人生経験に後押しされた実績がある。だから、お前らに一生だって負けることはないな」
「……なんか、良くわからないけど……ズルいです」
「ズルいもんか。俺がズルいなら、アレンなんてどうすんだよ?あいつ、俺の五倍は生きてるんだぞ?」
ジルは想像したのか、うわぁ、とあからさまに顔を顰める。
その顔を見て、オーガはくっくっと笑う。
「まぁ、俺なんか利用してしゃぶり尽くすつもりで、何だって吸収すればいい。お前らはそれが出来るだけの時間を持ってるんだからな」
「……はい。というか、つまり僕は結局覚えなきゃいけないってことですよね?」
「あぁ、湯水のように吸収して、自分の実として蓄えてくれ」
はぁ、とジルが諦めのため息を吐くのに、オーガは楽しそうに笑った。
王都から遠く離れた西の港町。そこに、凄腕の整体師がいる雑貨屋がオープンし、町をにぎわせ、話題になるのは……まだまだ、先の話である。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★
side:???
「なんだい!なんだい!!なんだい!!!あの雇用主ならいけると思ったのに!!バカにしやがって!何であの子供に決めさせるのさ!!」
ばぁん、とローランは飲んでいたジョッキをカウンターへとたたきつける。
おうおう、荒れてんなぁ、とカウンターの中の強面で隻眼のマスターが冷ややかな目でローランを見た。
「荒れるのはいいが、うちの備品を壊したら弁償だからな」
「わぁってるわよ!!おかわり!!」
へいへい、とビールを用意しに行く。
おしゃれなバーなどではないこの酒屋は、ビールなどの安価な酒を飲む輩で溢れている。
「獣人よ!?寄りにもよって、私より愛想も悪くて獣人で!!あんな奴を選ぶ奴の気が知れないわ!!」
「うるせぇな酔っ払い。それ飲んだら帰んな」
「なによ!?おいだそっての?意地でも飲んでやるわよ!!」
金ならあるのよ!とカウンターを叩くローランに、店主ははぁ、とため息を吐く。
「だから落とされるんだよバカ」
「バカとは何よバカとは!大体ね、愛想のない男と、獣人と私を比べるなら普通私を選ぶでしょうが!ふ・つ・う!!」
「じゃあ、そいつらはとんでもなく見る目が有ったんだろ?お前を選ばないくらいには」
どういう意味!?とローランは店主を睨む。
店主も、はぁ、とため息を吐く。
「俺だって、そいつらの立場になればまず、お前は選ばない」
「はぁ!?私の何がいけないっていうの!?」
「まず、その男は子供がたくさんいるって言ってたんだろ?お前みたいな偏見持ち、子供の教育に悪いだろ」
「私のどこが偏見持ちだっていうのよ!?」
「全く意識もせずに獣人だから、自分の方が有利だと思っている時点でアウトだろ」
はぁ、と店主はため息を吐く。
無意識に多種族を見下して、優れていると思っているのか。
意識していない分、たちが悪い。
「獣人が、料理人として選ばれないのは定説でしょ?」
何を言ってるの?ときょとんとしたローランが首をかしげる。
店主は、はぁ、とますますため息を吐いた。
それが偏見だというのに。
確かに、獣人の料理人は、料理に毛が入ったりする可能性が高くなるために、あまり好かれてはいない。
それでも、ゼロではないし、そもそも性悪の人族を雇うよりも気のいい獣人を雇った方がいいという経営者だっている。
「俺は、経営者として言えば、お前よりもその獣人を望むだろうな」
現に、この店で働く従業員にもちらほらと獣人は居る。
店主は、強面でも人を見る目は確かなようだ。
獣人と人族、そして亜人も働いていて、みんな仲良く雰囲気もいい。
「何でよ!?」
「だから、そういう所だろ?人を見下さず、きちんと子供でも獣人でも亜人でも、一個人として対等に扱ってやれること。人にやさしく在れること。仕事ができる出来ない、以前の問題だろ。まぁ、仕事ができればそれに越したことはないだろうが……そいつらは商会じゃなくて、個人だろう?個人なら余計に、能力よりも人付き合いを大切にするんじゃないか?まぁ、能力があることに越したことはないが。お前が、本当に職を見つけたいなら、商会にでも応募してみるんだな」
「もうしたわよ……」
それで落ちたんだな、と店主は苦笑いだ。
「ま、金があるならこんなところで飲んでないで、ゆっくりでも仕事を探すんだな」
「……わかってるわよ、そんなこと」
何かを決めたように、一気飲みをしだしたローラン。
ごちそうさま!と空になったジョッキを叩きつけて、よし!とローランは立ち上がった。
ジャラジャラとカウンターにお代を置いていく。
「アンタも!あの変人雇用主も!ぜぇったい良い所に就職して見返してやるんだから!!」
「はいはい、まぁ、がんばれや」
覚えてなさいよー!!とローランは散々愚痴を言って店主と話し、スッキリしたのか、晴れやかに酒屋を後にした。
店主は、ほっと息を吐き、そのジョッキを下げる。
「酔っ払いってのはめんどくせぇもんだな」
酒屋の店主が何を言うか、というセリフを吐きながら……。
日々、少しずつであるが冒険者の客なども増えていた。
その噂を聞いたのだろう。若い血走った目の女が子供を抱えて駆け込んできたと子供たちにオーガが呼ばれる。
「……いったい何なんだ?」
いつもの仮面で不機嫌そうな雰囲気を隠そうともしないオーガに、女はびくっ、と肩を震わせる。
が、子供をみて、ぐっと息をのみ声を出す。
「助けてください!」
ひそめられたオーガの目は、女の抱きかかえている子供に向く。
子供は明らかに衰弱していた。辛うじて息をしているだろう体を、抱きかかえてきたというのか。
「俺は医者じゃない」
「でも!凄腕の薬師だとか!」
最近、店に来る冒険者たちに聞いたのだろう。
基本的に、この世界で回復薬などを作れるのは
「いや……薬師でもなんでもなく、錬金術師だ」
うそ!と女は絶望し切った顔で崩れ落ちてしまう。
はぁ、とため息を吐いたオーガはとりあえず、と店の隣に作っておいた診察スペースへと通した。
診察スペースは、薬が必要な患者にどのくらい処方するのかを見るための場所だ。
オーガは、薬師としてのスキルも錬金術のために会得していたのだから、できないことはない。
診察台に子供を乗せると、母親はお願いします、お願いします、と祈るように子供の手を握っていた。
無情にもオーガは邪魔だから、とその母親を子供たちへと預ける。
「っと、どれどれ……」
鑑定で、オーガは子供のステータスを見る。
状態はやはり変わってしまっていた。
「……まずは体力を取り戻さないとな」
そうして、体力の数字を見て、処方する回復薬を決める。
それを飲ませると、体力が回復するのはもちろん、外傷はきれいになくなった。
その他の症状を詳しく異常を見ていく。
「えっと……ダンジョン風邪?どこでそんなもの拾って来たんだ?まぁ、いいか……」
大元の原因は、ダンジョンの中で感染するダンジョン風邪と呼ばれる病気だ。
だが、こんな10歳にも満たないような子供が感染する病気ではない。
最近は特に、ダンジョンが活発になってきていて、ギルドの管理が厳しくなっているだろうし……。
母親に事情を聴いてみると、ダンジョンチルドレン、つまりは荷物持ちとしてとある冒険者グループに同行したらしい。
そこで、不慮の事故で荷物の一部を破損し、傷を負ったと。
冒険者も、その事で子供を殴ってもいた、という。ひどい話だ。彼らの生活にかかわる問題だったとしても。
その傷と、通常の風邪薬など効かないダンジョン風邪ともなれば、普通の薬屋なら諦めるだろう。
体力がなければ回復もしないだろうしな。この世界の薬師は特に無駄はしないだろう。ポーションの類もあまり置いてないだろうし。
置いてあったとしても、それは法外に高いと平民なら感じる値段だ。
技術料と、そのポーションができるまでの希少さを鑑みれば、この世界では一般的な値段なんだろうが。
「ふぅん……?何でこの子は、ダンジョンチルドレン何てやることになったんだ?」
オーガが気になったのはそもそもの問題。
この母親の身なりからして、スラム街の住人ではないだろう。
だが、貴族や富裕層と言うわけでもない。取り分けて特徴身のない平民だ。
その平民が、なぜ?と疑問に思う。
平民であれば、それなりの暮らしが街に居ればできるだろうし、冒険者の加入はもっと先の話だっただろうに。
それは……と母親は言いづらそうにオーガから視線を逸らす。
「この子は……冒険者になりたいんだよ。だから、ダンジョンチルドレンとしてついてったんだ。少し、痛い目を見れば目が覚めて、まっとうな道に戻ってくれると思ったんだよ」
まともじゃないのはこの母親の方か、とオーガは長いため息を吐いた。
つまりは、こうなるのは母親としては予定通りだったわけか。まぁ、やりすぎて子供の命を奪いそうになったけれど、と。
「アホかお前」
そうして睨むみ、会計頼む、と使用した薬剤などの金額を書いた紙を店の子供に渡す。
薬も飲ませたし、体力も付いた。
あとは、寝てても治るだろう。
普通の薬が効かないという問題点はあるものの、少し高価になるがヤマギリ草と言う、霧の出ている間に採取しないと効果がなくなってしまう薬草を使えば、ダンジョン風邪はすぐに治る。
二、三日もすれば、子供は走って回れるぐらいに回復するだろう。
母親に憤りがあるものの、この世界にはそういう概念だって少なくない。
そうして子供を亡くす親だって。貧困にあえぎ、ダンジョンチルドレンをする子供たちもたくさんいる。
そうじゃない子供も少ないがいるということだ。
だが、と先ほどの子供の傷を思い出す。あれは、少し、というにはひどすぎる。
(……母親はそうでなくても、父親はあの子供に死んで欲しかったんじゃないか?ともなれば、あの子は次男か三男なんだろうな)
口減らし、そうしたことが行われていてもおかしくはない。
母親は、医者にかかるよりは安いが、それでも高い金額に顔色を真っ青に変えながらそれでも支払っていったという。
母親にとっては、大切な子供なんだろう。人の家族に口出しするほど、興味はないが、あの子供も板挟みで可哀そうだなとは思う。
その母親から聞いたのか、次の日には一人のおじいさんが店を訪ねてきた。
「ここに凄腕の薬師のにーちゃんがいると聞いたぞ!わしゃ、腰が痛んじゃ。治療してくれ!」
という風に、半ば脅しのように。
オーガを、店番の子が起こしに来て、ふわぁ、とあくびをしながら降りてくる。
「で?誰だアンタ」
「客じゃ!さっさと治療せんかい!」
「無茶言うなよ……」
はぁ、とため息を吐いたオーガはそれでもおじいさんを診察室へと案内して、眠たい目をしばしばさせながら、おじいさんの容態を見る。
「……そこの台に俯せに乗れ」
「命令すんな若造が!」
なんだこの爺……とオーガはイラっとしながら、ため息を吐く。
おじいさんはなんだかんだ言いながら、オーガの指示に従う。
「少し押すぞ」
そういうと、オーガはグッと背中を指圧していく。
そして、オーガの動きはだんだんと大きくなり、ゴリゴリと人体からしてはいけないような音がおじいさんからしだす。
「ぎゃぁああああ!」
「ぐわぁああああ!」
など、ある意味患者とは思えない悲鳴をおじいさんがあげている。
いいかげんにせぇえええい!というおじいさんの拳がさく裂し、その悲鳴は止まった。
「って……何すんだこのくそじじい!!」
「お前さんがわしに何をって、おお!?」
診察台から降りたおじいさんはふむふむ、と腰を確かめるように回し、ほう!と目を輝かせた。
「いつもよりも腰が軽いぞ!」
「施術だって言っただろ!」
言ってません。
「お前さんに殺されるかと思ったが、なるほど!腕は確かなようじゃな!」
「誰がほっといても死ぬような爺殺すか!」
「何だとこの若造め!」
「ほら、一日三回ひと月の痛み止めと、特に痛いときに腰に張る湿布だ!会計して帰れ!」
「おぉ、すまんな若造!また来るぞい!」
「もう来るな老害!!」
診察室からひょうひょうと出ていくおじいさんを見送って、オーガははぁ、とため息を吐いた。
ひょっこりと顔を出した受付の子に、施術と薬代を明記した紙を渡し、オーガは椅子に深く腰を掛けて天を仰ぐ。
「この世界……案外癖の強いやつ多すぎるだろ……」
これまで、リカルドやアレン、ラジュールとか……今日のおじいさんもそうだ、とはぁ、とため息を吐くオーガ。
いや、そもそもなぜこんな濃ゆい相手ばかりが集まってくるのか。
運命とは残酷か……としみじみ思う。
次の日から、あのおじいさん、スヴァラじいの紹介で、おじいさんおばあさんが、町医者代わりにオーガの店へ足を運ぶことになる。
慌てて、診察室のレイアウトを変えて、待合室を作る羽目になった。
「オーガさん、次の患者様です」
オーガも、本物の医者らしくカルテをつけている。
それを、ジルがはい、と手渡してきた。
カルテをぼんやりとみて、はぁ、とため息を吐く。
「忙しい……こんなはずじゃなかった……」
「忙しいのも、この週を過ぎれば落ち着きますよ。たぶん……」
「俺を目を合わせてから言って見ろ、ジル……」
ふぃ、と目をそらすジル。
はぁ、とため息しか出ない。
この仕事も、主なところはオーガだが、細々したところは子供たちに任せるようになった。
「で、ばぁさん今日はどうしたんだ?」
「え?」
「きょうは!どうしたんだ!?」
えぇ?と聞き返すおばあさんにオーガはもう一度大きく息を吸い込んで、同じセリフを叫ぶ。
そして、おばあさんはふふふ、と笑った。
「あら、そんな大きな声で叫ばなくても聞こえてるわよぉ。オーガちゃん」
「……なら、聞いてくれ……」
イスからずりっ、と落ちそうになる。
時折、オーガをからかって遊ぶお年寄りたちも多く、げんきだなぁ、とオーガは現実逃避をした。
順調にそのあとも診察と施術、処方が終わり、午前中だけ、と決めた診察時間は終わりを告げた。
最後の患者がいなくなり、はぁ、とため息を吐くオーガ。
「疲れた……」
お疲れ様です、とオーガにお茶を出してくるジル。
最近はすっかり、この併設診療所の秘書みたいなものだ。
ふと思う。
ジルやリカルドの目なら、オーガが技術さえ教えてしまえば、任せてしまえるのではないか?と。
「ジル……」
「オーガさん、皆さんオーガさんの治療を望まれてますよ?」
「先を読むな、そして痛みさえ消えればあの爺さん婆さんたちは、俺だろうとお前だろうとリカルドだろうと変わらんだろうよ」
まぁ、オーガをおちょくて楽しんでいるのも否定はしない。
が、それはジルに変わろうとリカルドに変わろうと変わらないだろう。
「まぁ、これも生きてく術だと思って諦めろ」
「嫌ですよ……」
ジルは、オーガと最近は接する機会が多かったからか、少しどころじゃなくオーガに遠慮がなくなってきている。
むしろ第三の保護者的な目線で見られることも多い。
オーガの方が年上のはずなのに、な?何でだろうか……。
「医術は残念ながら教えてやれねぇけどな。整体なら、聞きかじり程度だが教えてやれる」
むしろ、聞きかじり程度だった整体が、このイスティアに来てから強化されているような気がする。
どこをどうすればいいのか、それが自然とわかるというか……。
特殊能力的なものではないだろう。
「ジル、自分だけの武器は身に着けておくものだぞ?」
「それでも……オーガさんには勝てないでしょう?」
「……俺に勝ってどうすんだ?」
本気でオーガは首をかしげる。
はぁ、とジルはため息を吐いた。
「オーガさんに勝てる何かがないと、独り立ちしたところでお客さんなんて来ませんもん」
「もんって、お前な……それに、誰も独り立ちするとき、この王都で店を開けなんて言ってないぞ?」
オーガ的にはむしろ、王都には色んな店があるのだ。むしろ地方で店を開いた方がいいだろうと思う。
もちろん、独り立ちする子供たちにはバックアップもちゃんとするつもりだ。
だが、小さな村でやれなんて言ってない。彼らが無用に魔獣などの脅威にさらされる必要はないと思っている。
「それにお前らに負けるような奴に習ってても仕方がないだろ……出来ることを教える。そりゃ、俺のすべてを叩きこんだって良いくらいだ。でもな?お前らにはお前ら一人一人になりたいものや、適性があって、それを伸ばしてこそだと思うし、俺は俺のエゴでお前らに教養を与えてる。それが、お前らの進む道を狭めるかもしれないし、逆に広げるかもしれない。その道で光り輝くも、ただの石っころになるもお前ら次第だ」
俺はな、とまっすぐにジルの目を見るオーガ。
「お前たちは常々、無限の可能性を秘めていると思ってる。お前らが型通りに嵌るか、飛びぬけて、俺の予想以上に輝くかなんて、俺にはわからない。そういう意味では負けているのかもしれないが。それでも、お前たちがどれだけ輝こうと、俺は俺の今までの人生経験に後押しされた実績がある。だから、お前らに一生だって負けることはないな」
「……なんか、良くわからないけど……ズルいです」
「ズルいもんか。俺がズルいなら、アレンなんてどうすんだよ?あいつ、俺の五倍は生きてるんだぞ?」
ジルは想像したのか、うわぁ、とあからさまに顔を顰める。
その顔を見て、オーガはくっくっと笑う。
「まぁ、俺なんか利用してしゃぶり尽くすつもりで、何だって吸収すればいい。お前らはそれが出来るだけの時間を持ってるんだからな」
「……はい。というか、つまり僕は結局覚えなきゃいけないってことですよね?」
「あぁ、湯水のように吸収して、自分の実として蓄えてくれ」
はぁ、とジルが諦めのため息を吐くのに、オーガは楽しそうに笑った。
王都から遠く離れた西の港町。そこに、凄腕の整体師がいる雑貨屋がオープンし、町をにぎわせ、話題になるのは……まだまだ、先の話である。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★
side:???
「なんだい!なんだい!!なんだい!!!あの雇用主ならいけると思ったのに!!バカにしやがって!何であの子供に決めさせるのさ!!」
ばぁん、とローランは飲んでいたジョッキをカウンターへとたたきつける。
おうおう、荒れてんなぁ、とカウンターの中の強面で隻眼のマスターが冷ややかな目でローランを見た。
「荒れるのはいいが、うちの備品を壊したら弁償だからな」
「わぁってるわよ!!おかわり!!」
へいへい、とビールを用意しに行く。
おしゃれなバーなどではないこの酒屋は、ビールなどの安価な酒を飲む輩で溢れている。
「獣人よ!?寄りにもよって、私より愛想も悪くて獣人で!!あんな奴を選ぶ奴の気が知れないわ!!」
「うるせぇな酔っ払い。それ飲んだら帰んな」
「なによ!?おいだそっての?意地でも飲んでやるわよ!!」
金ならあるのよ!とカウンターを叩くローランに、店主ははぁ、とため息を吐く。
「だから落とされるんだよバカ」
「バカとは何よバカとは!大体ね、愛想のない男と、獣人と私を比べるなら普通私を選ぶでしょうが!ふ・つ・う!!」
「じゃあ、そいつらはとんでもなく見る目が有ったんだろ?お前を選ばないくらいには」
どういう意味!?とローランは店主を睨む。
店主も、はぁ、とため息を吐く。
「俺だって、そいつらの立場になればまず、お前は選ばない」
「はぁ!?私の何がいけないっていうの!?」
「まず、その男は子供がたくさんいるって言ってたんだろ?お前みたいな偏見持ち、子供の教育に悪いだろ」
「私のどこが偏見持ちだっていうのよ!?」
「全く意識もせずに獣人だから、自分の方が有利だと思っている時点でアウトだろ」
はぁ、と店主はため息を吐く。
無意識に多種族を見下して、優れていると思っているのか。
意識していない分、たちが悪い。
「獣人が、料理人として選ばれないのは定説でしょ?」
何を言ってるの?ときょとんとしたローランが首をかしげる。
店主は、はぁ、とますますため息を吐いた。
それが偏見だというのに。
確かに、獣人の料理人は、料理に毛が入ったりする可能性が高くなるために、あまり好かれてはいない。
それでも、ゼロではないし、そもそも性悪の人族を雇うよりも気のいい獣人を雇った方がいいという経営者だっている。
「俺は、経営者として言えば、お前よりもその獣人を望むだろうな」
現に、この店で働く従業員にもちらほらと獣人は居る。
店主は、強面でも人を見る目は確かなようだ。
獣人と人族、そして亜人も働いていて、みんな仲良く雰囲気もいい。
「何でよ!?」
「だから、そういう所だろ?人を見下さず、きちんと子供でも獣人でも亜人でも、一個人として対等に扱ってやれること。人にやさしく在れること。仕事ができる出来ない、以前の問題だろ。まぁ、仕事ができればそれに越したことはないだろうが……そいつらは商会じゃなくて、個人だろう?個人なら余計に、能力よりも人付き合いを大切にするんじゃないか?まぁ、能力があることに越したことはないが。お前が、本当に職を見つけたいなら、商会にでも応募してみるんだな」
「もうしたわよ……」
それで落ちたんだな、と店主は苦笑いだ。
「ま、金があるならこんなところで飲んでないで、ゆっくりでも仕事を探すんだな」
「……わかってるわよ、そんなこと」
何かを決めたように、一気飲みをしだしたローラン。
ごちそうさま!と空になったジョッキを叩きつけて、よし!とローランは立ち上がった。
ジャラジャラとカウンターにお代を置いていく。
「アンタも!あの変人雇用主も!ぜぇったい良い所に就職して見返してやるんだから!!」
「はいはい、まぁ、がんばれや」
覚えてなさいよー!!とローランは散々愚痴を言って店主と話し、スッキリしたのか、晴れやかに酒屋を後にした。
店主は、ほっと息を吐き、そのジョッキを下げる。
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