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第一章
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泊って行けという、ラジュールの言葉にリカルドが待っているからと首を横に振り、ギルドへと報告に向かう。
「お疲れさまでした。はい、討伐完了ですね」
報酬を用意されてそれを受け取ってさっさとギルドを後にしようとする。
が、驚き目を見開く受付嬢にカウンターから身を乗り出されて引き止められた。
「ちょ、まままっ、待ってください!!」
「えっ?」
引き留められるとは思っておらず、オーガはちょっとだけ間抜けな声を出す。
「ワイバーンの素材は?素材はどうしたんですか!?」
「あっ、あぁ……まだ解体してないし俺たち明日にはこの街出るから」
えぇーっ!?とギルドの受付嬢がカウンターをバンッ、と叩く。
そんなに驚くことだろうか?とオーガはアレンと顔を見合わせて首をかしげてしまった。
「少し、少しでもいいんです!!卸してもらえませんか?」
「って言っても……なぁ?」
困ったように首をかしげてアレンを見る。
アレンも、思うところがあるのか、笑顔だけど絶対に無理、と言うか嫌、と言うかをして拒絶していた。
「そんなぁ……」
「リカルドがいれば、売ったかもしれないけど……居ないんじゃねぇ」
肩をすくめて、オーガたちはギルドを後にする。
後で、受付嬢が何やらうなだれているけど……まぁ知ったこっちゃない。
宿に戻れば、もうすでにリカルドは帰ってきていた。当たり前か。
親父さんのご飯を食べて、それからアレンのとっている部屋へと集まる。
「とりあえず、買い物は済んだ。これで、ひと月は持つだろ」
そう言ってリカルドが渡してきた魔法鞄を受け取る。
どうやら、これを外で使う事はせず、この部屋に戻ってきてから使っていたらしい。面倒な事をするものだと、オーガは受け取りながら思う。
(そこまで慎重になるものかね、コレ)
「おー、ありがと。三人分って結構した?」
「いや、俺の知り合いに負けてもらったからな、そこまではしない」
「ふーん?まぁ、とりあえずの心配はこれで無くなったわけだ」
さてさて、と話し合う。
「王都まで、どのルートで向かう?」
「そんな複数あるのか?」
「あぁ、とは言っても二種類だがな」
オーガが首をかしげていると、リカルドが簡易的な地図を取り出す。
「地図だ……」
「何を感心してるだ?ギルドに行けば、普通に売ってるぞ」
「そうだったのか……まぁ、必要ないけど」
無いんかい、と言う突っ込みはさておき。
オーガのステータス部分には、オートマッピングと言う機能が付いており、これはONIの世界でも付いていた。
だから、この周辺の地理ならわかるし、見えた部分までの地図もわかる。が、王都まで見えた訳ではないから、歩くまでは知らない場所ならば地図は必要なものではある。
「ココが、フルフラの街」
そうリカルドが示したのは、地図の上部。山らしき絵が描かれている場所の少し手前。
その山には、竜骨山と書かれていた。ワイバーンもあの山から飛んでくるわけだし、あながち間違いじゃない。
「んで、此処が王都だ」
リカルドの指を追っていくと、ちょうど地図の中心で指が止まる。
「えっ、王都って国の中心にあるの?」
「あぁ。この国のある場所が特殊だからな。その影響だな」
「うん?」
あぁ、とリカルドが疑問を抱えるオーガに対して世界地図を広げて見せる。
その地図は、上部と下部にそれぞれ陸地があり、真ん中に四つの大陸が描かれていた。
「ここが、今俺たちのいる国、シーファ王国だ」
とんっ、と指で示されたのはその地図の上部に描かれている大陸。
うん!?と、オーガは地球の常識から考えて、首をひねる。
「ここ、北って事は何で雪も何も無いんだ?」
「雪?今は夏だぞ?降るわけないだろ」
「いや、北極とか南極とかって、常に氷雪地帯だろ?」
「は?」
「えっ?違うのか?」
「常に氷雪地帯なのはここ、ルルティス魔国だ」
ルルティス魔国、と示された大陸は、確かに他の大陸に比べると白と水色で色付けされており、寒々しい。
「ちなみに、この竜骨山を超えた向こう側がルルティス魔国だ」
「へー……案外近いんだな?」
竜骨を超えて、海を渡ればすぐにルルティスに着く。
けど、交流はあるのか?この竜骨を超えるのは至難の業だと思うが。
「ここから近いってだけで、他の国と距離的には変わらないぞ」
「ふーん?」
「あとルルティスは、魔族の国だな。あと、王太子のご生母がルルティスのお姫様だ」
「……えっ?じゃあ、あの殿下も魔族なの?」
「いや、それは違う。シーファの王家は、混血が過ぎてどの種族とも言い難い」
は?と首をかしげるが、オーガにその話はまた後でな、とアレンは話を切る。
「その隣が、アーケロマ公国。獣人の国だ」
結構、緑豊かなことが分かる書き方をしている。平地が多いみたいだ。
「獣人……もふもふ?」
「……オーガ。俺はどちらかと言えば、獣人寄りなんだが?」
竜人族は、厳密にはどの種族にも属していない生物なのだが、あえて分けるとすれば獣人と言う事になる。
「……詐欺だ」
「誰が詐欺だ!」
がつん、とアレンにオーガは殴られる。
いや、獣人と言えばもふもふと言うのは、セオリーだろう?
……やっぱり詐欺だ!
「話、進めるぞ?」
ふぅ、と落ち込むオーガへため息を吐くリカルド。
「んで、その隣がレスティア聖国。ここは人間の国だな。人間至上主義。レスティア教と言う独自の神を信仰していて、教皇が治めている」
砂漠と緑が融合している、熱そうな国。
アフリカ大陸や、南アメリカ大陸のような気候みたいだ。
「うっへ、何かいやぁな国」
「あぁ、そのお陰でシーファとしか外交をしていない」
「何でこの国?」
「この国の王族はまぁ混血児、だが大半が人族だからだろうな」
この国の王族は、やはり少しどこか特殊らしい。
「ふーん?」
「そんで最後が極東帝国」
大きな大陸と、その他の列島で成り立っている他の大陸と比べると少し小さな国。
「極東……そらまた凄い名前で」
「ここは、多数の少数民族から成り立つ国で、皇帝はいるがその下の部族長会議が一番権力を持っている。まぁ、でも厄介な国ではないな。シーファは人が多いが、極東は異種族が多いというだけだし」
「……なぁ、その下は?」
地図の下に書かれた大陸を指さすオーガ。その部分は真黒く塗りつぶされていて、その中にポツリと白い島があるだけ。
リカルドとアレンは顔を見合わせ、ふぅ、とため息を吐いた。
「そこは、ニブルヘイムだ」
「ニブルヘイム?」
「魔物の主な生息地だ」
「へっ?」
魔物に生息地などあるのか、と感心してしまう。
魔大陸、と言った所か。
「魂あるものの末路がそのニブルヘイムだ。死をもって肉体から解き放たれた魂は、一度不へと落ちる。
不へ落ちた魂は、長い時をかけてその体を浄化し、再び肉体を得る」
「は?つまり?」
「人が死ぬと、その魂が魔物になって、魔物が死ぬとまた人が生まれるっていうサイクルだな」
「へー……まじで?」
人が、死ねば魔物になるなんて、この世界のサイクルが少し怖くなる。
それって、自分の親が魔物として自分の前に現れることもあるって事だろう?
「あぁ、イスティアの神がいつだったかそう告げていたらしいぞ」
「うわぁ、マジだ……なんでその大陸真っ黒なの?」
「あぁ……ニブルヘイムには何人も立ち入ることが出来ないからだ。あそこは死者の土地。生者は決して立ち入ることが出来ない」
「ふーん……そのニブルヘイムの地図で一か所だけ白いのは何で?」
「そこは竜の巣だ」
「竜の巣?」
竜、と言う事でオーガはアレンを見る。
アレンは、そんな視線を受けて肩を竦めた。
「理性ある竜は、神の使いで有り、神界の生き物だ。ニブルヘイムがいかに死者の土地で有れ管理は必要だからとその場所がある」
「つまりは、竜って言うのは神の使いっ走り?」
「……かんたんに言えばな?」
「威厳もあったもんじゃない言い方だけどな」
身もふたもない言い方に、はぁ、とリカルドはため息を吐いた。
「それで、話を戻すぞ?王都までの生き方だが」
地図をシーファ国内のモノに戻して再度話し出す。
「こっちの道は、安全だが遠回りになる」
リカルドが示すのは南に少し向かってから、その先にある大きな森を迂回する道。
「んで、この森を突っ切る方法もあるが、こっちは森に魔物も魔獣も獣も出る。野盗も出たりするから、危険だな。だが、近い」
「俺は、別にこの森突っ切っても問題ないけどな?」
決めるのはお前だ、とリカルドとアレンの視線がオーガへと集まる。
ふむ、と考え地図で道を見比べてうん?と首をかしげた。
「移動方法は?」
「徒歩だと思って準備していたが?」
「うん……今から木材と鉄って集まるか?」
二人とも、オーガを見ながら首をかしげる。
「集めようと思えば、集まると思うが」
「鉄は、くず鉄でも何でもいい。木材は結構ほしいな」
「何を作るつもりなんだ?」
「えっ、馬車だけど」
「は?」
ぽかん、とした二人の顔を見て、クスクスとオーガは笑う。
「馬車って……お前、そんな今日明日で作れるようなものじゃないだろ」
「いや、あー今から材料集めて取り掛かれば明日には出来る。それこそ、出来上がれば俺は寝てたっていいし」
「そこまで信頼できるのか、俺たちの事」
「俺を騙しても、お前らの特になることはないと思うが?」
こんな貧乏冒険者を、とオーガは笑う。
まぁ、金がないのはさておき、オーガの持ち物には多大な価値があると思うんだが。
それを、オーガは分かってない。ONIの世界では、もっと貴重な装備を身に着けている人もいたからだ。
オーガの装備は、まぁ、素材があれば同じものを作れるのでそれなりに執着はしてない。
「お前の認識と俺たちの認識の違いを改めて感じたな」
「そうなのか?まぁ、その馬車が出来れば真ん中の森を突っ切るのも早いだろ。素材の採取もしたいけど……それはまた今度にするわ」
「馬はどうするんだ?」
「俺の契約獣が呼び出せれば、そいつに引いてもらおうと思ってる」
「契約獣?」
「あぁ、頼りになるぞ」
一人で有れば、馬車など使わず契約獣に乗っていこうと思う位に。
「まぁ、何はともあれ取り合えず木材と鉄だな?アレン」
「分かってる。俺は武器屋に行って鉄を集める。大体どの位あればいい?」
「あー、くず鉄なら一袋。インゴットなら二、いや三本あれば足りるだろ」
「木材は、大工の棟梁にお願いして分けてもらう」
行ってくる、と言って部屋を出ていく二人に、はぁ、とため息を吐いた。
「凄い勢いで出て行ったね、二人とも」
「あっ、ベスさん」
「オーさん。明日この街を立つんだろう?ほら、残った日数分のお金、返金しておくよ」
帰って来たのは、銀貨四枚。
「銀貨一枚はキャンセル料としてもらっておくよ」
「あっ、はい。ありがとうございます」
「いいのいいの。もう、言ってくれなっきゃ返せないところだったでしょ」
ばっしばっしとオーガの肩を叩くベス。
リカルドに感謝しないさいよ、と言うベスにオーガはあぁ、と納得する。
リカルドがベスに話しておいてくれていたらしい。
「王都への道も大変だろうけど、頑張るんだよ!」
あははっ、と豪快に笑ってベスが部屋を出ていく。
多少、肩が痛かったりするがそれすらもぬくもりとして受け止めよう。
「王都に行けば、とりあえず教会に行ってみるか」
イスティア神が気になるオーガ。
そもそも、神の悪戯でなければ何故この世界に来てしまったのか分からない。
それを、お告げがあると言う事は聞けるかもしれない、と言うラノベ脳で考える。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★
side:アレクライン
俺が下手を打って受けた石化の呪い。
それを解呪する薬を作れる薬師がこのフルフラの街にはいなかった。
いっそ、腕を切り落とし、冒険者を引退しようと考えたけれど、周りがそれを許さない。
何度も失敗しているのに、次こそはと無駄な金をつぎ込んでいる。
まぁ、冒険者にしてみれば金になる仕事が与えられるからいいのかもしれないが。
この街にとどまる理由もあるし、別に腕の一本ぐらいは良かった。
今は聖水で進行を止めているが、それでもじわじわと範囲を広げている。
それが変わったのは、冒険者ギルドから届けられた薬を腕に振りかけたとき。
よく見ると、それは冒険者ギルドも欲してやまなかった石化解呪のポーションだった。
驚く俺は、早くと周りに急かされてゆったりとその薬を腕に振りかける。
その間に、詳しく見れば、作成者の名前が見えた。
********
石化解呪のポーション
ランク:A
作成者:オーガ
********
見たとき、俺は一瞬手が止まった。
まぁ、それでも瓶からは液体が流れ出ていくのだが。
オーガって、なんだ!?と。オーガが薬を作るのか!?と。
オーガはゴブリンよりも知能がある、魔物。
鬼人族に似ているが、鬼人族とは違って人ではない。
だが、作成者の名前を見る限りそれしか書いてない。
オーガ族の何、とは書いてないので多分人の名前なのだろうと自分を落ち着ける。
治った腕に、周りからは歓声が上がった。
俺が助けた冒険者に至っては、涙を流しながら神に感謝の祈りをささげるほどに。
次の日、お礼も兼ねて俺はオーガと言う人物を探すことにする。
石化解呪のポーションを、Aランクで作れる薬師ならばそれはすごい人なのだろうと。
だが、買取のリカルドに話を聞けば、これを持ってきたのがオーガと言う人物で、作ったのは別人だという。
これは……、とにやり笑いながらますますオーガと言う人物に興味を持った。
だが、オーガは探すまでもなく目立つ存在ではあった。
よそから来た冒険者、と言う事でも浮いてしまうのに、その恰好もなかなかに変質者だ。
だが、そのマントも腰から下げている剣も、一見すれば普通の剣とマントだが、中々に優れモノだと言うことが分かる。それに、製作者が、オーガ自信と言う事にも納得がいく。
声をかけて、製作者の部分を口にすれば、焦ったように止められた。
宿屋の部屋に連れ込まれて、誓約書を書かされた時は少し焦ったけど、それほどの力を持ちながらオーガは世間知らずだった。
いや、世間知らずと言うよりはこの世界について何も知らないようだ。
ついでに言えば、この世界の人間じゃないと来た。
勇者か?と思えばそれも違うという。オーガと言う存在、一体何なんだ?と俺が思うのも無理はない。
だから、嫌がられても観察のために一緒について回ることにした。
勿論、俺の一番はリカルドだけど!!
リカルド、ちょーーーーーーかわいいよな!!
うん?ちょっと待て、あんたが可愛いって言うな。アレは俺の番だ!!
☆★☆★☆★☆★☆★☆★
side:いつもの受付嬢
リカルドさんが、不正を行ったとして解雇された。
私たちは信じられない思いでいっぱいだったけど、ギルドマスターの決定には逆らえない。
リカルドさんは、強面だけど優しくて仕事もしっかりする人だったし、不正なんてするような人じゃなかった。
それを、冒険者の皆さんも分かっているのか、明らかに素材を売る人が減った。それどころか、この街を出て行こうと決めた人も多くいるみたい。
私たち受付嬢を気に入ってくれる冒険者の人もいるけれど、素材を信頼して売れないのであれば仕方がない。
ギルドマスターはこれだけの事が起こっているのに、涼しい顔をしているし。
って、あぁ愚痴をこぼしている暇はなかったんだわ。
「えっと……お二人で、ワイバーンの討伐ですね?」
「あぁ」
差し出してきた依頼書は、昨日報告の上がったワイバーンのもの。
支払いもいいし、皆飛びつくかと思えばそうでもない。
ワイバーンは、空を飛ぶ生き物で討伐するのも少し手間がかかる。
面倒な魔物と言えばそうなのだ。
いつも素っ気ない冒険者さんだけど、ありがとうはちゃんと言ってくれるし、良い人だと思う。
あまり、女の人に耐性がないのかな?と思ったりもする。
稼ぎは良いんだけど、この街に留まってくれるような人ではなさそう。
それから数刻が過ぎ、ワイバーンの討伐が終わったお二人が顔を出した。
主に話すのは、アレン様。アレクラインと名前を呼んでいる人はあまり見たことがない。
アレン様も愛称で呼ばれることを好んでいるみたいだし。
「お疲れさまでした。はい、討伐完了ですね」
オーガさんのギルドカードは相変わらず古いままで、討伐の記録がないので、すべてアレン様のギルドカードで確認します。
パーティーを組んでいる場合、パーティーメンバーが討伐した魔物の記録はそのメンバー全てのギルドカードに記録されます。
たとえ、ワイバーンをアレン様が三体とも倒していてもいなくても。
報酬とギルドカードをお返しして、次は買取カウンターへと行くだろうと思っていたら、二人とも出入り口の方へ向かっていくので焦る。
「ちょ、まままっ、待ってください!!」
「えっ?」
カウンターから身を乗り出して声を上げると、オーガさんが振り返って首をかしげます。
止まってくださって良かった。
「ワイバーンの素材は?素材はどうしたんですか!?」
「あっ、あぁ……まだ解体してないし俺たち明日にはこの街出るから」
目を見開いてアレン様の言葉に私は驚きます。
えぇーっ!?と目の前の机をバンッ、と叩いてしまった。
お二人は、首をかしげていらっしゃいますが、素材を一つも確保できないとなれば当然市井にも回りません。
ワイバーンの肉は高級食材としても扱われますから、当然ワイバーンの討伐が出た時点でそのおこぼれも期待できました。
「少し、少しでもいいんです!!卸してもらえませんか?」
「って言っても……なぁ?」
困ったように首をかしげてアレン様を見るオーガさん。
期待してアレン様を見ますが、アレン様にも絶対に無理と断られてしまいました。
「そんなぁ……」
「リカルドがいれば、売ったかもしれないけど……居ないんじゃねぇ」
リカルドさんが居なくなった影響は、こんなところにまであるみたいです。
あぁ、ワイバーンのお肉……。
「お疲れさまでした。はい、討伐完了ですね」
報酬を用意されてそれを受け取ってさっさとギルドを後にしようとする。
が、驚き目を見開く受付嬢にカウンターから身を乗り出されて引き止められた。
「ちょ、まままっ、待ってください!!」
「えっ?」
引き留められるとは思っておらず、オーガはちょっとだけ間抜けな声を出す。
「ワイバーンの素材は?素材はどうしたんですか!?」
「あっ、あぁ……まだ解体してないし俺たち明日にはこの街出るから」
えぇーっ!?とギルドの受付嬢がカウンターをバンッ、と叩く。
そんなに驚くことだろうか?とオーガはアレンと顔を見合わせて首をかしげてしまった。
「少し、少しでもいいんです!!卸してもらえませんか?」
「って言っても……なぁ?」
困ったように首をかしげてアレンを見る。
アレンも、思うところがあるのか、笑顔だけど絶対に無理、と言うか嫌、と言うかをして拒絶していた。
「そんなぁ……」
「リカルドがいれば、売ったかもしれないけど……居ないんじゃねぇ」
肩をすくめて、オーガたちはギルドを後にする。
後で、受付嬢が何やらうなだれているけど……まぁ知ったこっちゃない。
宿に戻れば、もうすでにリカルドは帰ってきていた。当たり前か。
親父さんのご飯を食べて、それからアレンのとっている部屋へと集まる。
「とりあえず、買い物は済んだ。これで、ひと月は持つだろ」
そう言ってリカルドが渡してきた魔法鞄を受け取る。
どうやら、これを外で使う事はせず、この部屋に戻ってきてから使っていたらしい。面倒な事をするものだと、オーガは受け取りながら思う。
(そこまで慎重になるものかね、コレ)
「おー、ありがと。三人分って結構した?」
「いや、俺の知り合いに負けてもらったからな、そこまではしない」
「ふーん?まぁ、とりあえずの心配はこれで無くなったわけだ」
さてさて、と話し合う。
「王都まで、どのルートで向かう?」
「そんな複数あるのか?」
「あぁ、とは言っても二種類だがな」
オーガが首をかしげていると、リカルドが簡易的な地図を取り出す。
「地図だ……」
「何を感心してるだ?ギルドに行けば、普通に売ってるぞ」
「そうだったのか……まぁ、必要ないけど」
無いんかい、と言う突っ込みはさておき。
オーガのステータス部分には、オートマッピングと言う機能が付いており、これはONIの世界でも付いていた。
だから、この周辺の地理ならわかるし、見えた部分までの地図もわかる。が、王都まで見えた訳ではないから、歩くまでは知らない場所ならば地図は必要なものではある。
「ココが、フルフラの街」
そうリカルドが示したのは、地図の上部。山らしき絵が描かれている場所の少し手前。
その山には、竜骨山と書かれていた。ワイバーンもあの山から飛んでくるわけだし、あながち間違いじゃない。
「んで、此処が王都だ」
リカルドの指を追っていくと、ちょうど地図の中心で指が止まる。
「えっ、王都って国の中心にあるの?」
「あぁ。この国のある場所が特殊だからな。その影響だな」
「うん?」
あぁ、とリカルドが疑問を抱えるオーガに対して世界地図を広げて見せる。
その地図は、上部と下部にそれぞれ陸地があり、真ん中に四つの大陸が描かれていた。
「ここが、今俺たちのいる国、シーファ王国だ」
とんっ、と指で示されたのはその地図の上部に描かれている大陸。
うん!?と、オーガは地球の常識から考えて、首をひねる。
「ここ、北って事は何で雪も何も無いんだ?」
「雪?今は夏だぞ?降るわけないだろ」
「いや、北極とか南極とかって、常に氷雪地帯だろ?」
「は?」
「えっ?違うのか?」
「常に氷雪地帯なのはここ、ルルティス魔国だ」
ルルティス魔国、と示された大陸は、確かに他の大陸に比べると白と水色で色付けされており、寒々しい。
「ちなみに、この竜骨山を超えた向こう側がルルティス魔国だ」
「へー……案外近いんだな?」
竜骨を超えて、海を渡ればすぐにルルティスに着く。
けど、交流はあるのか?この竜骨を超えるのは至難の業だと思うが。
「ここから近いってだけで、他の国と距離的には変わらないぞ」
「ふーん?」
「あとルルティスは、魔族の国だな。あと、王太子のご生母がルルティスのお姫様だ」
「……えっ?じゃあ、あの殿下も魔族なの?」
「いや、それは違う。シーファの王家は、混血が過ぎてどの種族とも言い難い」
は?と首をかしげるが、オーガにその話はまた後でな、とアレンは話を切る。
「その隣が、アーケロマ公国。獣人の国だ」
結構、緑豊かなことが分かる書き方をしている。平地が多いみたいだ。
「獣人……もふもふ?」
「……オーガ。俺はどちらかと言えば、獣人寄りなんだが?」
竜人族は、厳密にはどの種族にも属していない生物なのだが、あえて分けるとすれば獣人と言う事になる。
「……詐欺だ」
「誰が詐欺だ!」
がつん、とアレンにオーガは殴られる。
いや、獣人と言えばもふもふと言うのは、セオリーだろう?
……やっぱり詐欺だ!
「話、進めるぞ?」
ふぅ、と落ち込むオーガへため息を吐くリカルド。
「んで、その隣がレスティア聖国。ここは人間の国だな。人間至上主義。レスティア教と言う独自の神を信仰していて、教皇が治めている」
砂漠と緑が融合している、熱そうな国。
アフリカ大陸や、南アメリカ大陸のような気候みたいだ。
「うっへ、何かいやぁな国」
「あぁ、そのお陰でシーファとしか外交をしていない」
「何でこの国?」
「この国の王族はまぁ混血児、だが大半が人族だからだろうな」
この国の王族は、やはり少しどこか特殊らしい。
「ふーん?」
「そんで最後が極東帝国」
大きな大陸と、その他の列島で成り立っている他の大陸と比べると少し小さな国。
「極東……そらまた凄い名前で」
「ここは、多数の少数民族から成り立つ国で、皇帝はいるがその下の部族長会議が一番権力を持っている。まぁ、でも厄介な国ではないな。シーファは人が多いが、極東は異種族が多いというだけだし」
「……なぁ、その下は?」
地図の下に書かれた大陸を指さすオーガ。その部分は真黒く塗りつぶされていて、その中にポツリと白い島があるだけ。
リカルドとアレンは顔を見合わせ、ふぅ、とため息を吐いた。
「そこは、ニブルヘイムだ」
「ニブルヘイム?」
「魔物の主な生息地だ」
「へっ?」
魔物に生息地などあるのか、と感心してしまう。
魔大陸、と言った所か。
「魂あるものの末路がそのニブルヘイムだ。死をもって肉体から解き放たれた魂は、一度不へと落ちる。
不へ落ちた魂は、長い時をかけてその体を浄化し、再び肉体を得る」
「は?つまり?」
「人が死ぬと、その魂が魔物になって、魔物が死ぬとまた人が生まれるっていうサイクルだな」
「へー……まじで?」
人が、死ねば魔物になるなんて、この世界のサイクルが少し怖くなる。
それって、自分の親が魔物として自分の前に現れることもあるって事だろう?
「あぁ、イスティアの神がいつだったかそう告げていたらしいぞ」
「うわぁ、マジだ……なんでその大陸真っ黒なの?」
「あぁ……ニブルヘイムには何人も立ち入ることが出来ないからだ。あそこは死者の土地。生者は決して立ち入ることが出来ない」
「ふーん……そのニブルヘイムの地図で一か所だけ白いのは何で?」
「そこは竜の巣だ」
「竜の巣?」
竜、と言う事でオーガはアレンを見る。
アレンは、そんな視線を受けて肩を竦めた。
「理性ある竜は、神の使いで有り、神界の生き物だ。ニブルヘイムがいかに死者の土地で有れ管理は必要だからとその場所がある」
「つまりは、竜って言うのは神の使いっ走り?」
「……かんたんに言えばな?」
「威厳もあったもんじゃない言い方だけどな」
身もふたもない言い方に、はぁ、とリカルドはため息を吐いた。
「それで、話を戻すぞ?王都までの生き方だが」
地図をシーファ国内のモノに戻して再度話し出す。
「こっちの道は、安全だが遠回りになる」
リカルドが示すのは南に少し向かってから、その先にある大きな森を迂回する道。
「んで、この森を突っ切る方法もあるが、こっちは森に魔物も魔獣も獣も出る。野盗も出たりするから、危険だな。だが、近い」
「俺は、別にこの森突っ切っても問題ないけどな?」
決めるのはお前だ、とリカルドとアレンの視線がオーガへと集まる。
ふむ、と考え地図で道を見比べてうん?と首をかしげた。
「移動方法は?」
「徒歩だと思って準備していたが?」
「うん……今から木材と鉄って集まるか?」
二人とも、オーガを見ながら首をかしげる。
「集めようと思えば、集まると思うが」
「鉄は、くず鉄でも何でもいい。木材は結構ほしいな」
「何を作るつもりなんだ?」
「えっ、馬車だけど」
「は?」
ぽかん、とした二人の顔を見て、クスクスとオーガは笑う。
「馬車って……お前、そんな今日明日で作れるようなものじゃないだろ」
「いや、あー今から材料集めて取り掛かれば明日には出来る。それこそ、出来上がれば俺は寝てたっていいし」
「そこまで信頼できるのか、俺たちの事」
「俺を騙しても、お前らの特になることはないと思うが?」
こんな貧乏冒険者を、とオーガは笑う。
まぁ、金がないのはさておき、オーガの持ち物には多大な価値があると思うんだが。
それを、オーガは分かってない。ONIの世界では、もっと貴重な装備を身に着けている人もいたからだ。
オーガの装備は、まぁ、素材があれば同じものを作れるのでそれなりに執着はしてない。
「お前の認識と俺たちの認識の違いを改めて感じたな」
「そうなのか?まぁ、その馬車が出来れば真ん中の森を突っ切るのも早いだろ。素材の採取もしたいけど……それはまた今度にするわ」
「馬はどうするんだ?」
「俺の契約獣が呼び出せれば、そいつに引いてもらおうと思ってる」
「契約獣?」
「あぁ、頼りになるぞ」
一人で有れば、馬車など使わず契約獣に乗っていこうと思う位に。
「まぁ、何はともあれ取り合えず木材と鉄だな?アレン」
「分かってる。俺は武器屋に行って鉄を集める。大体どの位あればいい?」
「あー、くず鉄なら一袋。インゴットなら二、いや三本あれば足りるだろ」
「木材は、大工の棟梁にお願いして分けてもらう」
行ってくる、と言って部屋を出ていく二人に、はぁ、とため息を吐いた。
「凄い勢いで出て行ったね、二人とも」
「あっ、ベスさん」
「オーさん。明日この街を立つんだろう?ほら、残った日数分のお金、返金しておくよ」
帰って来たのは、銀貨四枚。
「銀貨一枚はキャンセル料としてもらっておくよ」
「あっ、はい。ありがとうございます」
「いいのいいの。もう、言ってくれなっきゃ返せないところだったでしょ」
ばっしばっしとオーガの肩を叩くベス。
リカルドに感謝しないさいよ、と言うベスにオーガはあぁ、と納得する。
リカルドがベスに話しておいてくれていたらしい。
「王都への道も大変だろうけど、頑張るんだよ!」
あははっ、と豪快に笑ってベスが部屋を出ていく。
多少、肩が痛かったりするがそれすらもぬくもりとして受け止めよう。
「王都に行けば、とりあえず教会に行ってみるか」
イスティア神が気になるオーガ。
そもそも、神の悪戯でなければ何故この世界に来てしまったのか分からない。
それを、お告げがあると言う事は聞けるかもしれない、と言うラノベ脳で考える。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★
side:アレクライン
俺が下手を打って受けた石化の呪い。
それを解呪する薬を作れる薬師がこのフルフラの街にはいなかった。
いっそ、腕を切り落とし、冒険者を引退しようと考えたけれど、周りがそれを許さない。
何度も失敗しているのに、次こそはと無駄な金をつぎ込んでいる。
まぁ、冒険者にしてみれば金になる仕事が与えられるからいいのかもしれないが。
この街にとどまる理由もあるし、別に腕の一本ぐらいは良かった。
今は聖水で進行を止めているが、それでもじわじわと範囲を広げている。
それが変わったのは、冒険者ギルドから届けられた薬を腕に振りかけたとき。
よく見ると、それは冒険者ギルドも欲してやまなかった石化解呪のポーションだった。
驚く俺は、早くと周りに急かされてゆったりとその薬を腕に振りかける。
その間に、詳しく見れば、作成者の名前が見えた。
********
石化解呪のポーション
ランク:A
作成者:オーガ
********
見たとき、俺は一瞬手が止まった。
まぁ、それでも瓶からは液体が流れ出ていくのだが。
オーガって、なんだ!?と。オーガが薬を作るのか!?と。
オーガはゴブリンよりも知能がある、魔物。
鬼人族に似ているが、鬼人族とは違って人ではない。
だが、作成者の名前を見る限りそれしか書いてない。
オーガ族の何、とは書いてないので多分人の名前なのだろうと自分を落ち着ける。
治った腕に、周りからは歓声が上がった。
俺が助けた冒険者に至っては、涙を流しながら神に感謝の祈りをささげるほどに。
次の日、お礼も兼ねて俺はオーガと言う人物を探すことにする。
石化解呪のポーションを、Aランクで作れる薬師ならばそれはすごい人なのだろうと。
だが、買取のリカルドに話を聞けば、これを持ってきたのがオーガと言う人物で、作ったのは別人だという。
これは……、とにやり笑いながらますますオーガと言う人物に興味を持った。
だが、オーガは探すまでもなく目立つ存在ではあった。
よそから来た冒険者、と言う事でも浮いてしまうのに、その恰好もなかなかに変質者だ。
だが、そのマントも腰から下げている剣も、一見すれば普通の剣とマントだが、中々に優れモノだと言うことが分かる。それに、製作者が、オーガ自信と言う事にも納得がいく。
声をかけて、製作者の部分を口にすれば、焦ったように止められた。
宿屋の部屋に連れ込まれて、誓約書を書かされた時は少し焦ったけど、それほどの力を持ちながらオーガは世間知らずだった。
いや、世間知らずと言うよりはこの世界について何も知らないようだ。
ついでに言えば、この世界の人間じゃないと来た。
勇者か?と思えばそれも違うという。オーガと言う存在、一体何なんだ?と俺が思うのも無理はない。
だから、嫌がられても観察のために一緒について回ることにした。
勿論、俺の一番はリカルドだけど!!
リカルド、ちょーーーーーーかわいいよな!!
うん?ちょっと待て、あんたが可愛いって言うな。アレは俺の番だ!!
☆★☆★☆★☆★☆★☆★
side:いつもの受付嬢
リカルドさんが、不正を行ったとして解雇された。
私たちは信じられない思いでいっぱいだったけど、ギルドマスターの決定には逆らえない。
リカルドさんは、強面だけど優しくて仕事もしっかりする人だったし、不正なんてするような人じゃなかった。
それを、冒険者の皆さんも分かっているのか、明らかに素材を売る人が減った。それどころか、この街を出て行こうと決めた人も多くいるみたい。
私たち受付嬢を気に入ってくれる冒険者の人もいるけれど、素材を信頼して売れないのであれば仕方がない。
ギルドマスターはこれだけの事が起こっているのに、涼しい顔をしているし。
って、あぁ愚痴をこぼしている暇はなかったんだわ。
「えっと……お二人で、ワイバーンの討伐ですね?」
「あぁ」
差し出してきた依頼書は、昨日報告の上がったワイバーンのもの。
支払いもいいし、皆飛びつくかと思えばそうでもない。
ワイバーンは、空を飛ぶ生き物で討伐するのも少し手間がかかる。
面倒な魔物と言えばそうなのだ。
いつも素っ気ない冒険者さんだけど、ありがとうはちゃんと言ってくれるし、良い人だと思う。
あまり、女の人に耐性がないのかな?と思ったりもする。
稼ぎは良いんだけど、この街に留まってくれるような人ではなさそう。
それから数刻が過ぎ、ワイバーンの討伐が終わったお二人が顔を出した。
主に話すのは、アレン様。アレクラインと名前を呼んでいる人はあまり見たことがない。
アレン様も愛称で呼ばれることを好んでいるみたいだし。
「お疲れさまでした。はい、討伐完了ですね」
オーガさんのギルドカードは相変わらず古いままで、討伐の記録がないので、すべてアレン様のギルドカードで確認します。
パーティーを組んでいる場合、パーティーメンバーが討伐した魔物の記録はそのメンバー全てのギルドカードに記録されます。
たとえ、ワイバーンをアレン様が三体とも倒していてもいなくても。
報酬とギルドカードをお返しして、次は買取カウンターへと行くだろうと思っていたら、二人とも出入り口の方へ向かっていくので焦る。
「ちょ、まままっ、待ってください!!」
「えっ?」
カウンターから身を乗り出して声を上げると、オーガさんが振り返って首をかしげます。
止まってくださって良かった。
「ワイバーンの素材は?素材はどうしたんですか!?」
「あっ、あぁ……まだ解体してないし俺たち明日にはこの街出るから」
目を見開いてアレン様の言葉に私は驚きます。
えぇーっ!?と目の前の机をバンッ、と叩いてしまった。
お二人は、首をかしげていらっしゃいますが、素材を一つも確保できないとなれば当然市井にも回りません。
ワイバーンの肉は高級食材としても扱われますから、当然ワイバーンの討伐が出た時点でそのおこぼれも期待できました。
「少し、少しでもいいんです!!卸してもらえませんか?」
「って言っても……なぁ?」
困ったように首をかしげてアレン様を見るオーガさん。
期待してアレン様を見ますが、アレン様にも絶対に無理と断られてしまいました。
「そんなぁ……」
「リカルドがいれば、売ったかもしれないけど……居ないんじゃねぇ」
リカルドさんが居なくなった影響は、こんなところにまであるみたいです。
あぁ、ワイバーンのお肉……。
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