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番外編
神々の箱庭
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魔王がオビトを連れて行った場所は、神々の箱庭、と呼ばれる場所だった。
死して、資格のあるものだけが辿り着ける場所。
望めば、彼らにも転生の機会は与えられる。
そこには、オビトが出会い、そして亡くしてきた多くの仲間達が集っていた。
サルジュやファニアは転生を望み、出て行ってしまったというが、また、機会が合えば巡りえるだろう。彼らもまた、関わってしまった人だから。
「魔王、あのっ」
「うん?」
魔王の名前は、オルフェレウス。
その名前は知っていたけれど、魔王と呼んでしまう。そして、それに彼も答えてくれるから、名前をよぶことがない。
「世界は?彼は、あの勇者はまた俺みたいに……」
魔王と再会し、何度となく言葉を重ね、世界の状態をしり、そういえばと思い出した。
彼もまた、世界の被害者だと。
「いいや、大丈夫。彼は、人として生きて死ねる。まぁ、うん。柱ではあるから、寿命を迎えるまで死ねないんだけどね」
魔王の言葉に、ほっと息を吐く。
神が世界の理を変えた、というのはどうやら正しいようで。
あの勇者が死ねばまた新しい柱が生まれる。
確かに支えは少し脆くなるけれど、支えきれないわけではない、と。
自分と魔王のようにならなくて、本当に良かったと、オビトは息を吐く。
「オビトは優しいね」
「……俺は、優しくなんてない」
自分はただの人間だと自負がある。エゴ、傲慢、慢心、そんな心の負ばかりだ。
優しい、と言われている部分は、自分のエゴだと思う。
「ただ、俺が関わった人が、傷ついてその報復の矛先が自分に来ないかが心配なだけ」
「全く、捻くれたことを言う……」
可愛いなぁ、と魔王はオビトに口付ける。
ぼっと、オビトの顔が赤く染まった。
「魔王っ!!」
「夢の世界でオビトに会ってた時も可愛かったけど、っというか初々しいオビトを見れたけど。やっぱり、生のオビトが一番可愛いっ!」
オビトが作り出した夢の世界に入り込んで、魔王は旅人のオルフェレウス・ガリオンとして夢の世界で何度も、そう、何度もオビトにあいに来ていた。
幼い頃から始まるオビトの人生を振り返る夢の中で、ずっと、ずっと旅人として。
運命と言えど、どこにそんなに惹かれる要素があるのかと不安に思うほど。
でも、そんなオビトの不安を吹き飛ばすほど、魔王は彼を愛していた。
「今日も彼らは仲が良い」
「ほんに、こちらが赤面してしまう程」
ほっこりとした顔が魔王とオビトをとらえていた。
大事な友の、幸福をしって良かったと、心から思う事がありありと分かるほどに。
「そう言えば、竜王たちも夢の世界に出てきていたが、まさか」
「多少の意地悪ぐらいありだろう?」
北の竜王がにやりと笑う。
静かに、それでも性格が悪いな、と感じてしまうのは仕方がないだろう。
死して、資格のあるものだけが辿り着ける場所。
望めば、彼らにも転生の機会は与えられる。
そこには、オビトが出会い、そして亡くしてきた多くの仲間達が集っていた。
サルジュやファニアは転生を望み、出て行ってしまったというが、また、機会が合えば巡りえるだろう。彼らもまた、関わってしまった人だから。
「魔王、あのっ」
「うん?」
魔王の名前は、オルフェレウス。
その名前は知っていたけれど、魔王と呼んでしまう。そして、それに彼も答えてくれるから、名前をよぶことがない。
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彼もまた、世界の被害者だと。
「いいや、大丈夫。彼は、人として生きて死ねる。まぁ、うん。柱ではあるから、寿命を迎えるまで死ねないんだけどね」
魔王の言葉に、ほっと息を吐く。
神が世界の理を変えた、というのはどうやら正しいようで。
あの勇者が死ねばまた新しい柱が生まれる。
確かに支えは少し脆くなるけれど、支えきれないわけではない、と。
自分と魔王のようにならなくて、本当に良かったと、オビトは息を吐く。
「オビトは優しいね」
「……俺は、優しくなんてない」
自分はただの人間だと自負がある。エゴ、傲慢、慢心、そんな心の負ばかりだ。
優しい、と言われている部分は、自分のエゴだと思う。
「ただ、俺が関わった人が、傷ついてその報復の矛先が自分に来ないかが心配なだけ」
「全く、捻くれたことを言う……」
可愛いなぁ、と魔王はオビトに口付ける。
ぼっと、オビトの顔が赤く染まった。
「魔王っ!!」
「夢の世界でオビトに会ってた時も可愛かったけど、っというか初々しいオビトを見れたけど。やっぱり、生のオビトが一番可愛いっ!」
オビトが作り出した夢の世界に入り込んで、魔王は旅人のオルフェレウス・ガリオンとして夢の世界で何度も、そう、何度もオビトにあいに来ていた。
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でも、そんなオビトの不安を吹き飛ばすほど、魔王は彼を愛していた。
「今日も彼らは仲が良い」
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大事な友の、幸福をしって良かったと、心から思う事がありありと分かるほどに。
「そう言えば、竜王たちも夢の世界に出てきていたが、まさか」
「多少の意地悪ぐらいありだろう?」
北の竜王がにやりと笑う。
静かに、それでも性格が悪いな、と感じてしまうのは仕方がないだろう。
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