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フォーグレスト編
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SIDE ???
「……止められなかったのかよ、オルフェ」
「俺に止められるはずないっしょ?あのオビトだよ?」
だけどっ!!とオルフェに襲い掛かろうとしたオビト?は、カイルに抱きしめられていて動くことができなかった。
「離せっ!あいつを殴らせろっ!!」
「魔王、様……」
感動したような声色に、はぁ、とオビト?がため息を吐いた。
『相変わらず、勇者は魔王を好いているみたいだのぉ』
「その、勇者というのはやめて頂きたい。一体、どこで歴史が狂ったのか」
魔王は魔王であるに、変わりないが……勇者は、ゆうしゃであるという。
「そんなの、作り直した当初からに決まってるだろ。この世界の常識そのものも書き換えられた」
「俺には、そのころの記憶はありませんから」
はぁ、とオビト?が大きなため息を吐く。
「だろうな、人間だったお前がそんなに生きていたとしたら、驚き以外の何者でもない」
「でも……あの後、すぐに貴方は消えた……その貴方が、何故わかるんです?」
「お前……俺が普通に死ねると思っていたのか?俺の魂みたいなものは、すぐに近くの命のない体に宿った」
そこから、ずっと見てきたのだとオビト?はいう。
『我らと、僅かながらも意識が繋がっているのも、影響しているのだろうなぁ』
「余計な設定なんて盛り込むんじゃなかった」
くそっ、と悪態をつくオビト?だったが体が辛くなってきたのか、ぐったりと体の力が抜けているようだ。
「その割に、弱くなったよね」
「お前が、言うか?俺の半分を持って行ったお前が」
あっはっはっ!!と凄く機嫌良さそうに笑う。
いいや、実際に機嫌は良くはないのだろうけれど。
「お前の強さを全部持ってった訳じゃないけどな」
「この世界の形成に使ったからな」
「魔王って、何なんだよ……」
フラムドがぼやくが、ふはっ、とオルフェは笑うだけだ。
答えを、フラムドたちは知っているつもりで、知らないのかもしれない。
聞いたところで、教えてくれそうもないけれど。
勇者であるカイルは知っているのだろうか?ただ、魔王の記憶があると言うことは知っていそうではある。
「何だろうな……魔王、聖都では魔王じゃなくて、魔神とも呼ばれていたな」
「どっちも、悪役感があるのは何でだろうな?」
「魔を帯びる者たちの王、と言う意味なんだけれどな」
悪役、ではない。
それどころか、と言った感じだけれど。
「そろそろ、体が限界だ」
「あぁ、わかった」
行動にも限界があるらしい。好き勝手に、オビトの体を操れるわけではなさそうだ。
カイルに持たれかかったまま、目を閉じた彼は、ぐったりを体から力を抜いた。
いや、抜けたといった方が自然だろうか?
「さて、俺たちも帰ろうか」
『いつでも来るがいい。我らが主よ。そして……幼き、形代』
「来ないよ……お前たちには悪いと思うけどね」
はっはっは、と立ち去る後ろで北の竜王が笑う。
彼らが去ったあと、北の竜王の目が細められた。
『不完全な世界が、これからどうなるのか。最後まで見守らせていただける役目を頂けた、それは名誉でしかないというのに……お優しい方だ、相変わらず』
それだけ言うと、最下層は再び闇に包まれた。
「……止められなかったのかよ、オルフェ」
「俺に止められるはずないっしょ?あのオビトだよ?」
だけどっ!!とオルフェに襲い掛かろうとしたオビト?は、カイルに抱きしめられていて動くことができなかった。
「離せっ!あいつを殴らせろっ!!」
「魔王、様……」
感動したような声色に、はぁ、とオビト?がため息を吐いた。
『相変わらず、勇者は魔王を好いているみたいだのぉ』
「その、勇者というのはやめて頂きたい。一体、どこで歴史が狂ったのか」
魔王は魔王であるに、変わりないが……勇者は、ゆうしゃであるという。
「そんなの、作り直した当初からに決まってるだろ。この世界の常識そのものも書き換えられた」
「俺には、そのころの記憶はありませんから」
はぁ、とオビト?が大きなため息を吐く。
「だろうな、人間だったお前がそんなに生きていたとしたら、驚き以外の何者でもない」
「でも……あの後、すぐに貴方は消えた……その貴方が、何故わかるんです?」
「お前……俺が普通に死ねると思っていたのか?俺の魂みたいなものは、すぐに近くの命のない体に宿った」
そこから、ずっと見てきたのだとオビト?はいう。
『我らと、僅かながらも意識が繋がっているのも、影響しているのだろうなぁ』
「余計な設定なんて盛り込むんじゃなかった」
くそっ、と悪態をつくオビト?だったが体が辛くなってきたのか、ぐったりと体の力が抜けているようだ。
「その割に、弱くなったよね」
「お前が、言うか?俺の半分を持って行ったお前が」
あっはっはっ!!と凄く機嫌良さそうに笑う。
いいや、実際に機嫌は良くはないのだろうけれど。
「お前の強さを全部持ってった訳じゃないけどな」
「この世界の形成に使ったからな」
「魔王って、何なんだよ……」
フラムドがぼやくが、ふはっ、とオルフェは笑うだけだ。
答えを、フラムドたちは知っているつもりで、知らないのかもしれない。
聞いたところで、教えてくれそうもないけれど。
勇者であるカイルは知っているのだろうか?ただ、魔王の記憶があると言うことは知っていそうではある。
「何だろうな……魔王、聖都では魔王じゃなくて、魔神とも呼ばれていたな」
「どっちも、悪役感があるのは何でだろうな?」
「魔を帯びる者たちの王、と言う意味なんだけれどな」
悪役、ではない。
それどころか、と言った感じだけれど。
「そろそろ、体が限界だ」
「あぁ、わかった」
行動にも限界があるらしい。好き勝手に、オビトの体を操れるわけではなさそうだ。
カイルに持たれかかったまま、目を閉じた彼は、ぐったりを体から力を抜いた。
いや、抜けたといった方が自然だろうか?
「さて、俺たちも帰ろうか」
『いつでも来るがいい。我らが主よ。そして……幼き、形代』
「来ないよ……お前たちには悪いと思うけどね」
はっはっは、と立ち去る後ろで北の竜王が笑う。
彼らが去ったあと、北の竜王の目が細められた。
『不完全な世界が、これからどうなるのか。最後まで見守らせていただける役目を頂けた、それは名誉でしかないというのに……お優しい方だ、相変わらず』
それだけ言うと、最下層は再び闇に包まれた。
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