26 / 47
ラジエラ編
11
しおりを挟む
side オビト
やっぱり目が覚めると、宿屋の部屋にいた。
あの日からどのぐらい経ったのだろうか?
よいしょ、と体を持ち上げるが、何だかすごく体が重たい気がする。
なぜだろう?と内心、首を傾げながら、一階に降りた。
コンシェルジュが、オビトの顔を見てほっとしたような顔をする。
何かしたのだろうか?
「お目覚めになられたようで何よりでございます。お体に不調などはございませんか?」
「え、えっと……ちょっと、だるい?」
「失礼いたします」
そう言って、コンシェルジュはオビトの額に手を当てる。
ぼんやりとして、オビトはそれを受け入れた。
「熱が、出ておりますね……無理をなさらない方がよろしいでしょう」
「で、でもっ」
宿泊日数が、あまりないはずだが?と首を傾げてると、あぁ、と言った形でコンシェルジュがうなずく。
納得されているのは、ありがたいのだが、お金の問題がある。
今からでも、何か狩ってくる覚悟すらあるのだけれど。
「まだ、一日しか経っておりませんよ」
「えっ、一日……?」
三日、寝込んでいると思った自分の意識がどうして戻っているのか。
彼は、どうしたのだろうか。気になるところではあるものの、とりあえず、眠ろうと部屋に戻ることにした。
まだ、日付が残っている、と実感すると、とても体が重たくなった気がする。
ベッドに身を投げると、ずんっ、と沈むような気がした。
どこか、もう一人の彼が焦っている気がするけれど、知ったことか。
あぁ、頭が痛い……っ。
「……なんか、スッキリした」
「目が覚めたのですね」
「え、リオン?な、何で?」
一人だと思っていた部屋には、ベッドのすぐ隣に椅子に座ったリオンがいた。
フラムドはいないみたいで、リオンとオビトだけの空間だ。
「あの方が焦っていらしたので。あなた、体調はもうよろしいので?」
「う、うん。もう、平気」
実際、あれほど感じていた不調を、オビトは感じていない。
だが、そんなオビトにリオンは眉間にしわを寄せる。
大丈夫、という言葉が信用できないのだろう。確かに、オビト自身が感じていない不調があるかもしれない。
「とりあえず、医者を呼びにフラムドが行きましたから、少し待っていてください」
「そ、そう……きょ、今日は、何日目?」
「……勇者の迷宮に行った日から、と言うのであれば、二日目ですね」
二日目、ということは一日眠っていたのか、と少しほっとした。
これだけ、体が動くようになったのであれば、軽く狩りでもして来ようとも思う。
そろそろ、狩りをするべきだろうから。狩りをしないと、その感覚を忘れてしまいそうで、怖い。
「おや?儚げ美人かと思いきや……平凡なお坊ちゃんだこと」
バンッ!!と大きな音を立ててやってきたのは、深紅の髪が美しい、ぼんっきゅっぼんっ、の女医だ。
白衣と膝上タイトスカートが大変エッチでいいと思います。
オビトはその人を見て、目が点になった。
どことなく、炎王に似ている人であるからだ。
「でもまぁ、昨日よりは良くなっているね。魔力も落ち着いているみたいだ」
診察を始めたその人は、フラムドやリオンが何を言おうとお構いなしだ。
腕はいいのだろう。
というか、昨日も診察してくれていたのか。
「お、俺……」
「ん?あぁ、安心しな。明日にはベッドから出てもいいよ」
「えっ、きょ、今日は、ダメ、なの?」
「病み上がりに動き回ろうとする馬鹿がどこにいる?馬鹿者。安静に寝ていろ」
寝かしつけられたいか?と笑う女医に、悪寒しか走らず、首を横に振る。
何をして、寝かしつけられるのだろうか?気になると言ったらウソではないが、代償が大きすぎる気がして手が出ない。
急激に魔力量が上がったことによる魔力症だといわれ、体を楽にするような薬も処方された。また、辛くなったら飲めという。
昨日、自分でそれを飲んだらしいが記憶にない。焦ってたあの人が飲んだんだろうか?まぁ、助かったけれど。
女医が帰った後も、ずっと眠っていたため、眠れずだが、外に行くこともリオンに監視されていてできない。
あぁ、そうだとバッグから、手ごろな板と、霧の迷宮の地図と書くものを用意する。
その地図を見ながら、記憶にある通りに霧の迷宮の細部を書き込んでいく。
そこまで深い迷宮ではなかったものの、ある程度の枚数はあるし、いろいろ書き込むこともあるので、良い暇つぶしになるだろう。
リオンは最初こそ何を、と思って声をかけてこようとしたが、古い地図に書き込まれていく情報に、少し興味を持ったらしく、まじまじと見ていた。
道を書き終えると、どこに宝箱がある、どんなモンスターが出てくるなどを書き込むと、より一層実用的な地図になった気がする。
「よしっ……」
そう言って、地図から顔を上げると、結構いい時間になっていた。
リオンは、その間ずっと側にいて、地図の完成を見守っていたらしい。
最後に確認だけちらっとして、バッグにそれを仕舞う。後で、道具屋のおじさんに見せれば二束三文にはなるだろう。
そうして、ようやくリオンの視線に気が付いた。
「え、えっと?」
「その地図、私に任せていただけませんか?」
これ?と先ほど仕舞ったバッグから取り出すと、にっこりとリオンはうなずく。
受け取って、再度リオンが確認すると、それをもって立ち上がる。
「ギルドに情報提供してきます。ギルドカードもお預かりしてよろしいでしょうか?」
「いい、けど」
首にかけていたカードを渡すと、すぐに戻ります、と言ってリオンは出て行った。
しかし、ギルドになぜ売りに行くのか?という疑問はある。
ただ、悪いようにはしないだろう。
やっぱり目が覚めると、宿屋の部屋にいた。
あの日からどのぐらい経ったのだろうか?
よいしょ、と体を持ち上げるが、何だかすごく体が重たい気がする。
なぜだろう?と内心、首を傾げながら、一階に降りた。
コンシェルジュが、オビトの顔を見てほっとしたような顔をする。
何かしたのだろうか?
「お目覚めになられたようで何よりでございます。お体に不調などはございませんか?」
「え、えっと……ちょっと、だるい?」
「失礼いたします」
そう言って、コンシェルジュはオビトの額に手を当てる。
ぼんやりとして、オビトはそれを受け入れた。
「熱が、出ておりますね……無理をなさらない方がよろしいでしょう」
「で、でもっ」
宿泊日数が、あまりないはずだが?と首を傾げてると、あぁ、と言った形でコンシェルジュがうなずく。
納得されているのは、ありがたいのだが、お金の問題がある。
今からでも、何か狩ってくる覚悟すらあるのだけれど。
「まだ、一日しか経っておりませんよ」
「えっ、一日……?」
三日、寝込んでいると思った自分の意識がどうして戻っているのか。
彼は、どうしたのだろうか。気になるところではあるものの、とりあえず、眠ろうと部屋に戻ることにした。
まだ、日付が残っている、と実感すると、とても体が重たくなった気がする。
ベッドに身を投げると、ずんっ、と沈むような気がした。
どこか、もう一人の彼が焦っている気がするけれど、知ったことか。
あぁ、頭が痛い……っ。
「……なんか、スッキリした」
「目が覚めたのですね」
「え、リオン?な、何で?」
一人だと思っていた部屋には、ベッドのすぐ隣に椅子に座ったリオンがいた。
フラムドはいないみたいで、リオンとオビトだけの空間だ。
「あの方が焦っていらしたので。あなた、体調はもうよろしいので?」
「う、うん。もう、平気」
実際、あれほど感じていた不調を、オビトは感じていない。
だが、そんなオビトにリオンは眉間にしわを寄せる。
大丈夫、という言葉が信用できないのだろう。確かに、オビト自身が感じていない不調があるかもしれない。
「とりあえず、医者を呼びにフラムドが行きましたから、少し待っていてください」
「そ、そう……きょ、今日は、何日目?」
「……勇者の迷宮に行った日から、と言うのであれば、二日目ですね」
二日目、ということは一日眠っていたのか、と少しほっとした。
これだけ、体が動くようになったのであれば、軽く狩りでもして来ようとも思う。
そろそろ、狩りをするべきだろうから。狩りをしないと、その感覚を忘れてしまいそうで、怖い。
「おや?儚げ美人かと思いきや……平凡なお坊ちゃんだこと」
バンッ!!と大きな音を立ててやってきたのは、深紅の髪が美しい、ぼんっきゅっぼんっ、の女医だ。
白衣と膝上タイトスカートが大変エッチでいいと思います。
オビトはその人を見て、目が点になった。
どことなく、炎王に似ている人であるからだ。
「でもまぁ、昨日よりは良くなっているね。魔力も落ち着いているみたいだ」
診察を始めたその人は、フラムドやリオンが何を言おうとお構いなしだ。
腕はいいのだろう。
というか、昨日も診察してくれていたのか。
「お、俺……」
「ん?あぁ、安心しな。明日にはベッドから出てもいいよ」
「えっ、きょ、今日は、ダメ、なの?」
「病み上がりに動き回ろうとする馬鹿がどこにいる?馬鹿者。安静に寝ていろ」
寝かしつけられたいか?と笑う女医に、悪寒しか走らず、首を横に振る。
何をして、寝かしつけられるのだろうか?気になると言ったらウソではないが、代償が大きすぎる気がして手が出ない。
急激に魔力量が上がったことによる魔力症だといわれ、体を楽にするような薬も処方された。また、辛くなったら飲めという。
昨日、自分でそれを飲んだらしいが記憶にない。焦ってたあの人が飲んだんだろうか?まぁ、助かったけれど。
女医が帰った後も、ずっと眠っていたため、眠れずだが、外に行くこともリオンに監視されていてできない。
あぁ、そうだとバッグから、手ごろな板と、霧の迷宮の地図と書くものを用意する。
その地図を見ながら、記憶にある通りに霧の迷宮の細部を書き込んでいく。
そこまで深い迷宮ではなかったものの、ある程度の枚数はあるし、いろいろ書き込むこともあるので、良い暇つぶしになるだろう。
リオンは最初こそ何を、と思って声をかけてこようとしたが、古い地図に書き込まれていく情報に、少し興味を持ったらしく、まじまじと見ていた。
道を書き終えると、どこに宝箱がある、どんなモンスターが出てくるなどを書き込むと、より一層実用的な地図になった気がする。
「よしっ……」
そう言って、地図から顔を上げると、結構いい時間になっていた。
リオンは、その間ずっと側にいて、地図の完成を見守っていたらしい。
最後に確認だけちらっとして、バッグにそれを仕舞う。後で、道具屋のおじさんに見せれば二束三文にはなるだろう。
そうして、ようやくリオンの視線に気が付いた。
「え、えっと?」
「その地図、私に任せていただけませんか?」
これ?と先ほど仕舞ったバッグから取り出すと、にっこりとリオンはうなずく。
受け取って、再度リオンが確認すると、それをもって立ち上がる。
「ギルドに情報提供してきます。ギルドカードもお預かりしてよろしいでしょうか?」
「いい、けど」
首にかけていたカードを渡すと、すぐに戻ります、と言ってリオンは出て行った。
しかし、ギルドになぜ売りに行くのか?という疑問はある。
ただ、悪いようにはしないだろう。
0
お気に入りに追加
48
あなたにおすすめの小説

青少年病棟
暖
BL
性に関する診察・治療を行う病院。
小学生から高校生まで、性に関する悩みを抱えた様々な青少年に対して、外来での診察・治療及び、入院での治療を行なっています。
※性的描写あり。
※患者・医師ともに全員男性です。
※主人公の患者は中学一年生設定。
※結末未定。できるだけリクエスト等には対応してい期待と考えているため、ぜひコメントお願いします。
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。


王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い
【BL】どうやら精霊術師として召喚されたようですが5分でクビになりましたので、最高級クラスの精霊獣と駆け落ちしようと思います。
riy
BL
風呂でまったりしている時に突如異世界へ召喚された千颯(ちはや)。
召喚されたのはいいが、本物の聖女が現れたからもう必要ないと5分も経たない内にお役御免になってしまう。
しかも元の世界へも帰れず、あろう事か風呂のお湯で流されてしまった魔法陣を描ける人物を探して直せと無茶振りされる始末。
別邸へと通されたのはいいが、いかにも出そうな趣のありすぎる館であまりの待遇の悪さに愕然とする。
そんな時に一匹のホワイトタイガーが現れ?
最高級クラスの精霊獣(人型にもなれる)×精霊術師(本人は凡人だと思ってる)
※コメディよりのラブコメ。時にシリアス。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる