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ラジエラ編
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それから、どれだけの時間を祈りに捧げていたのか。
気が付けば、辺りは暗くなりはじめ、蝋燭の幻想的な明かりが教会の中を照らし始めていた。
はっ、として帰らなければと椅子を立ち上がる。
寝ていたわけではないが、自分の荷物などに異変が無いか確認してから慌てて教会を出た。
教会の受付にいたシスターはそんなオビトを少し驚いたような顔をして、それから笑って見送った。
宿屋で夕飯が出ないとしても、夜も老け込む時間に、外に居たいとも思わないから。
酔っ払いに絡まれないようにしながら、こそこそと歩き、宿屋に向う。
気が大きくなると、人は何をしだすかわからない。
絡まれるような容姿はしていないが、積極的に絡まれるような場所に行きたいとも思わない。
「おかえりなさいませ、オビト様」
「た、ただいま……っ、はぁ……、やっとついた……」
緊張しながら街の中を移動していると、倍以上の時間がかかったような気がする。
疲れた、とコンシェルジュから鍵を貰い、部屋に戻った。
はぁ~、と長い溜息を吐いたオビトは装備を脱いで浄化の魔法をかけると、そうだ、と洗濯セットをもって浴室に行く。
浴槽のお湯をためながら、たらいで洗濯を始めた。
汚れが綺麗になっていくようで、すごくすっきりする。実際、汚れなんてついていないようなものだけれど。
それに、石鹸の匂いというのは清潔感があって、とても好きだ。
つい、楽しくなって鼻歌を歌いながら。
そうして、洗濯をしていると姉のことも思い出す。姉は、歌がとても好きな人だった。
「ねぇさん……」
ぶんぶん、と湿っぽくなってきた気分を吹き飛ばし、ついでに風と水の魔法で、洗濯物の水分を吹き飛ばした。
よし、と満足して洗濯物を仕舞う。今日はいい気分で眠れるかもしれない。
適当に、シャワーを浴びると、ベッドの上に寝転ぶ。あの声も、ぬくもりもなく、夢も見ず寝られた。
朝目が覚めると、すっきりとした気分。
んん~、と伸びると着替えてから軽く朝食を食べていた。
こんこんっ、とノックされ、はい、と答える。
鍵をかけていた事を思い出して、扉の鍵を開けに行く。
「は、はい……、あ」
「よぉ……」
今朝早くに来るとは思ってなかったけれど、あの二人がそこには居た。
中に入れてくれ、と言われてどうぞと通す。何やら、二人は少し焦燥している気がするが……?
はぁー、と息を吐くフラムド。リオンもどこか、覇気がない。
「あ、あの……迷宮に、行こうと、思って」
「あ、オマエ、今はあの方ではないのか……はぁー、何だよ脅すなよっ」
「フラムド、あの方は中で聞いてるぞ」
「あぁ、そうだよな……」
あぁ、面倒くさいと言った顔をする二人。
あの方、とは誰の事か何となくわかるが、彼は原初の魔王ではないのだろうか?
「あぁ、そう。迷宮、迷宮ね……とりあえず、魔王の迷宮の方でいいのか?」
「た、たぶん?記憶、あるの、魔王の方、だと思う、から……」
「あぁ、そうですね。まぁ、どちらから行ってもどちらも行くことには変わりないでしょう」
「そ、そうなの?」
そうなのかな?と少し首を傾げた。
そもそも、魔王の迷宮では記憶が戻ったけれど、勇者の迷宮では何が変わったのか自分ではわからない。
分からないなら、行かなくてもいいのではないかと思うのだが、彼らにとってはそうではないみたいだし。
「まぁ、記憶が戻ればその必要性も理解できるかもしれません。魔王の迷宮へ、行きましょうか」
と、まずは魔王の迷宮に向うことになった。
その前に、と宿屋を延長しておく。前の迷宮の時に、三日寝こんでいたことを考えると、宿泊日数は足りなくなるだろう。
コンシェルジュのところに顔を出せば、快く受付してくれた。ギルドでお金をおろしてきていて良かったと思う。
「かしこまりました。お食事は今回、いかがなさいますか?」
「え、えっと……無くて、大丈夫」
「はい。では、前回と同じく金貨一枚でお受けいたしますね」
「あ、ありがと……」
フロントのスタッフは別にいるみたいだけれど、この人の方が話しやすい。
そんな俺とコンシェルジュとの話を見ていた彼らは少し驚いたようだった。
「あの爺さん、あんな笑うのか?」
「いえ、ここを利用し始めて長いですが……初めて見ました」
どういう事だろうか?と思うけれど、コンシェルジュは、始から優しかった気がする。
彼が普段どう接客しているかなんて知らないけれど。
コンシェルジュに、鍵を渡し、いってきます、と言って出てきた。
「魔王の迷宮は、少し離れた場所にありますので、馬車が出てます。そちらに乗っていきますよ」
冒険者専用の北門近くには、複数台の乗合馬車が停まっていた。
馬車の運転手だろうか?この馬車はどこどこいきだよ~、と大きな声で叫んでいる。
その中の、魔王の迷宮に行く馬車の運転手にギルドカードを見せてから賃金を手渡す。
そんな仕組みになっているのか、と少し驚いた。
二人に出会っていなければ、歩いて行っていた可能性が高い。何日かかけて、森を移動していたに違いない。
気が付けば、辺りは暗くなりはじめ、蝋燭の幻想的な明かりが教会の中を照らし始めていた。
はっ、として帰らなければと椅子を立ち上がる。
寝ていたわけではないが、自分の荷物などに異変が無いか確認してから慌てて教会を出た。
教会の受付にいたシスターはそんなオビトを少し驚いたような顔をして、それから笑って見送った。
宿屋で夕飯が出ないとしても、夜も老け込む時間に、外に居たいとも思わないから。
酔っ払いに絡まれないようにしながら、こそこそと歩き、宿屋に向う。
気が大きくなると、人は何をしだすかわからない。
絡まれるような容姿はしていないが、積極的に絡まれるような場所に行きたいとも思わない。
「おかえりなさいませ、オビト様」
「た、ただいま……っ、はぁ……、やっとついた……」
緊張しながら街の中を移動していると、倍以上の時間がかかったような気がする。
疲れた、とコンシェルジュから鍵を貰い、部屋に戻った。
はぁ~、と長い溜息を吐いたオビトは装備を脱いで浄化の魔法をかけると、そうだ、と洗濯セットをもって浴室に行く。
浴槽のお湯をためながら、たらいで洗濯を始めた。
汚れが綺麗になっていくようで、すごくすっきりする。実際、汚れなんてついていないようなものだけれど。
それに、石鹸の匂いというのは清潔感があって、とても好きだ。
つい、楽しくなって鼻歌を歌いながら。
そうして、洗濯をしていると姉のことも思い出す。姉は、歌がとても好きな人だった。
「ねぇさん……」
ぶんぶん、と湿っぽくなってきた気分を吹き飛ばし、ついでに風と水の魔法で、洗濯物の水分を吹き飛ばした。
よし、と満足して洗濯物を仕舞う。今日はいい気分で眠れるかもしれない。
適当に、シャワーを浴びると、ベッドの上に寝転ぶ。あの声も、ぬくもりもなく、夢も見ず寝られた。
朝目が覚めると、すっきりとした気分。
んん~、と伸びると着替えてから軽く朝食を食べていた。
こんこんっ、とノックされ、はい、と答える。
鍵をかけていた事を思い出して、扉の鍵を開けに行く。
「は、はい……、あ」
「よぉ……」
今朝早くに来るとは思ってなかったけれど、あの二人がそこには居た。
中に入れてくれ、と言われてどうぞと通す。何やら、二人は少し焦燥している気がするが……?
はぁー、と息を吐くフラムド。リオンもどこか、覇気がない。
「あ、あの……迷宮に、行こうと、思って」
「あ、オマエ、今はあの方ではないのか……はぁー、何だよ脅すなよっ」
「フラムド、あの方は中で聞いてるぞ」
「あぁ、そうだよな……」
あぁ、面倒くさいと言った顔をする二人。
あの方、とは誰の事か何となくわかるが、彼は原初の魔王ではないのだろうか?
「あぁ、そう。迷宮、迷宮ね……とりあえず、魔王の迷宮の方でいいのか?」
「た、たぶん?記憶、あるの、魔王の方、だと思う、から……」
「あぁ、そうですね。まぁ、どちらから行ってもどちらも行くことには変わりないでしょう」
「そ、そうなの?」
そうなのかな?と少し首を傾げた。
そもそも、魔王の迷宮では記憶が戻ったけれど、勇者の迷宮では何が変わったのか自分ではわからない。
分からないなら、行かなくてもいいのではないかと思うのだが、彼らにとってはそうではないみたいだし。
「まぁ、記憶が戻ればその必要性も理解できるかもしれません。魔王の迷宮へ、行きましょうか」
と、まずは魔王の迷宮に向うことになった。
その前に、と宿屋を延長しておく。前の迷宮の時に、三日寝こんでいたことを考えると、宿泊日数は足りなくなるだろう。
コンシェルジュのところに顔を出せば、快く受付してくれた。ギルドでお金をおろしてきていて良かったと思う。
「かしこまりました。お食事は今回、いかがなさいますか?」
「え、えっと……無くて、大丈夫」
「はい。では、前回と同じく金貨一枚でお受けいたしますね」
「あ、ありがと……」
フロントのスタッフは別にいるみたいだけれど、この人の方が話しやすい。
そんな俺とコンシェルジュとの話を見ていた彼らは少し驚いたようだった。
「あの爺さん、あんな笑うのか?」
「いえ、ここを利用し始めて長いですが……初めて見ました」
どういう事だろうか?と思うけれど、コンシェルジュは、始から優しかった気がする。
彼が普段どう接客しているかなんて知らないけれど。
コンシェルジュに、鍵を渡し、いってきます、と言って出てきた。
「魔王の迷宮は、少し離れた場所にありますので、馬車が出てます。そちらに乗っていきますよ」
冒険者専用の北門近くには、複数台の乗合馬車が停まっていた。
馬車の運転手だろうか?この馬車はどこどこいきだよ~、と大きな声で叫んでいる。
その中の、魔王の迷宮に行く馬車の運転手にギルドカードを見せてから賃金を手渡す。
そんな仕組みになっているのか、と少し驚いた。
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