【完結】非モテアラサーですが、あやかしには溺愛されるようです

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おまけのお話

おひめさま来た!

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「いちゃいちゃしない!
 おひめさまがいらっしゃるよ!」

 絢の言葉に、あわあわ背を正す。
 ちょっとふくれた陵も、私の隣で玄関を見つめた。


「わぁああ――――!」

 バスを降りた、おひめさまたちの歓声が聞こえる。
 真っ白な雪のなかに、漆黒の執事服を着たイケメンがずらりと揃って、微笑んで頭をさげた。


「ようこそいらっしゃいました、おひめさま」

 皆の声が重なる。
 卒倒しそうなおひめさまを、駆け寄った絢が支えた。


「大丈夫ですか? おひめさま」

「きゃぁああああ――――!」

 おひめさまの目が爛々してる!
 気持ちは大変よく解りますよ!

 そしてどさくさの絢も美味しそうなので、大変よろしい。


「おひめさま、どうぞこちらへ。
 ご芳名を承ります」

 絢に教えてもらった通り、さっと手を挙げて微笑んだ。

 気分は男役さんだよ!
 元々ハスキーな声なのだけれど、低めに押さえてお腹の底から声を出す。

「きゃあ!」

 うれしそうにおひめさまたちがイケメン旅館に入ってきてくれた。


「わあ、すごく綺麗!」

「改装したんだ、凄い!」

「極寒でもいいやと思って来たけど、これは期待できるかも!」

 おひめさまたちの目がきらきらしてる。

 隙間風は塞ぎましたよ!
 エアコンの動作確認もしたから大丈夫!


「ご予約を確認させて戴きます」

 絢に教えてもらった通り、やわらかに微笑んで予約を確認して、お部屋のキーを渡す。

 雪が溶けたらカードキーを導入したいけど、今は古風な鍵です。
 でもこれはこれで可愛いかなあ?
 オートロックの方が安心できるかな?
 評判を要確認!


「あ、あの、執事さんを選べるプランを申し込んだんですけど――!」

 握り拳のおひめさまに頷く。

「はい、そちらにおります従業員のなかからひとり、おすきな者をお選びください」

 にこりと微笑んで居並ぶイケメンの皆さんを紹介した。


「あ、ああああのあのあの、陵さんは指名できますか――!!」

 後ろにいた陵が、軽く眉をあげる。

 ……そ、そうだよね、一番かっこいいよね、指名したい気持ちはわかるよ!

 陵は、軽く腰を折った。


「申し訳ございません、おひめさま。
 わたくしは裏方で指名をお受けできかねます」

「……あぁ……」

 やっぱり、という落胆がおひめさまたちを襲うのが目に見えるようだ。
 そうなるのが解っていたので、陵は指名を受けられない旨をHPに書いてあるんだよ。
 ちっさい字で!

 陵が、やだって言ってくれて、跳びあがって喜んだのは私です、ごめんなさい!


「じゃ、じゃあ、あの、貴方は指名できますか!」

 私の目を見て叫んだのは、野中の後ろで私を嘲笑っていた女だった。





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