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スパダリな圧

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「きみたちがどんな風に返してくれるか、楽しみにした此方が全面的に悪かった。……まさか皆殺しとは……」

 ぴかぴかおじちゃんが、汗だくでカタカタしてる。

 ごめんよ。
 わがきみの危機だから、ちょっと本気出た。

「うーむ。ユィルとわがきみを家に残して常葉と柳と藤に守ってもらって、俺が無様な失態をしないよう皆に補佐してもらって、帝宮に潜入、ならできるかな?」

 透夜は帝宮の記憶を検索する。

 ユィルを守って闘っていたのなら、帝宮は庭だろう。
 殆ど記憶はないが、帝宮の地図なら裏道から隠し通路まで叩き込まれている。

「お留守番かあ」

 しょんぼりする藤と柳と常葉の肩を叩く。

「一番強い三人を残すんだ。絶対守って欲しいから。三人を信じてるから」

 パァアアア──!
 三人の顔が、輝いた。

「え、うそ、俺が一番じゃないの!?」

 空が泣いてる。
 一緒に他の皆も泣いてた。

「あ、え、えぇと、ほら、皆一番だよ!」

「そ、そうか!」

 納得してくれた。

 皆、やさしー。
 チョロかわいーとか思ってないよ!



「仕方ないから引き受けるけど、前金で半額払って」

 ドォ──ン!

 受付に肘をついて、ちょっと藪睨みな上目遣いで、殺気もチラっと乗せて、スパダリな圧を出してみた! 透夜の前に、金貨が置かれる。

「わ、解った、謝罪を籠めて前金をお渡しする」

 ぴかぴか頭のボホは話の分かる支部長だった。



 ててれってってってー!
 透夜とロロァとユィルと仲間たちは、大金を手に入れた!



「よし、これで資材と寝台と布団と食糧を買おう! 紹介を頼む!」

「わ、解った、慰謝料を籠めて紹介しよう」



 ててれってってってー!
 物品の購入に、慰謝料割引が適用された!



「やた!」

 踊る透夜と一緒に、ロロァも一緒に踊ってくれる。天使だ。
 ユィルが恥ずかしそうにもじもじしてる。天使だ。
 仲間の皆の目が、生温かい。いつもやさしくしてくれて、ありがとう。



 冒険者同盟は謝罪を籠めて、とてもよい業者を紹介してくれたようだ。
 廃屋(農家の倉庫)の状況を見て、補修が必要な箇所と必要な資材の見積もりと、工程まで説明してくれる。

「皆でやってみます!」

 工賃の節約、大事。
 しかも孤児の皆は力持ちだし優秀だ。大工仕事を憶えるに越したことはない。

 屋根の穴を塞ぐのには時間が掛かるので、とりあえず防水効果のある魔物の皮で覆って、寝台と布団を運び込んでもらった。
 もうすぐ夜なのに仕事早い。ありがとう!

 皆、おっきくなると思うので、寝台は大人サイズだ。
 15個も並べられる、でかい農家の倉庫、最高!

 今は廃屋だが、スパダリで間違いない皆のDIYによって、たぶんお洒落でかっこいー家になるはず!
 たぶん!
 いや、きっと!

「こちらにお置きしやすぜー!」

 次々運び込まれる寝台が、ひとり、ひとつなことに

「おぉお!」

 皆の顔が輝いてる。


「……こ、ここで、寝る、のか……」

 衝撃を受けているらしいユィルの肩を、ぽふぽふした。

「今は辛いかもしれないけど、ちょっとずつ慣れていこうな」

「う、うん」

 ぎゅ、と透夜の服の裾を握って、恥ずかしそうに頷くユィルが、かわいー。




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