【完結】きみの騎士

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きみの傍

対決!

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 春の陽あふれる光王執務室で、レイティアルトが書を弾く。

「もうすぐ春の舞踏会だ。リイ、また相手を頼む」

 笑うレイティアルトに、ルフィスが目を剥いた。

「だ、だめです!!
 絶対絶対絶対絶対だめ────!!
 リイは僕と踊るんです!
 僕だけと踊るんですから!!」

 ぎゅうぎゅうルフィスに抱きしめられたリイが、しあわせに笑う。

「だそうですので、だめです」

 とろけて笑ったら、レイティアルトがゲジゲジみたいな顔になる。
 見つめたルフィスはぶすくれた。

「……兄さまが、リイをすきなのは知ってるけど。
 でもリイだけは、絶対、絶対だめ。
 リイは僕の!」

 ぎゅうぅうう。
 抱きしめられるリイは、しあわせしかない。

「当て馬だったんだよ、ルフィス」

 亜麻色の髪をなでなでして笑ったら、レイティアルトがぶすくれた。

「ほんっとうに鈍いな!!」

 指されたリイが首を傾げる。

「鈍かったら光騎士になれてません」

「戦闘の話じゃない!」

 凛々しい眉を吊りあげるレイティアルトに、ルフィスが悄気る。

「……ごめんね、兄さま。
 でもリイだけは、兄さまにも譲れない」

 リイを守るように前に立つルフィスに、リイは目を瞬いて、レイティアルトは吐息した。

「……俺がちょこっと誘惑して靡くようなら、可愛くて可愛くて可愛くて堪らん弟に全く欠片も微塵も相応しくない!! 靡いてみろ、絶対絶対絶対ルフィスは渡さん──!!! と思ってた」

「合格ですか!?」

 跳びあがって喜んだら、レイティアルトの目が胡乱になる。

「……こんなに靡かれないと恨めしい」

 吹き出して笑いかけたルフィスが、あわあわ顔を引き締める。

「いやあの、リイ、ちょこっとよろっとしてたよね!?」

「……う。あ、あの、レイティアルトの顔面があんまりかっこよすぎて、うわあ、すごいなあって、こう、美術品を鑑賞するような感じで……!」

「置き物か!」

「めちゃくちゃいい雰囲気で、僕、ほんとに泣いてたんだから──!」

 涙目のルフィスを、あわあわ抱きしめる。

「ごめんなさい!
 でもほんとに本気で何にもないよ!!」

 全力で否定した。
 レイティアルトの目が遠くなってた。

「……え、えとあの、兄さまのただひとりは、きっと他にいらっしゃいますから!」

「意外に、レイサリアの血に選ばれし正妃さまかもしれませんよ!」

 ルフィスと一緒に援護してみた。
 レイティアルトの目が、更に遠くなった。


「……まあ、うん。
 ルフィスとは、よく似合いだと思う」


 ……認めてくれたみたいなのに、けなされてる気がするのは、どうしてかな??





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