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光騎士の真実
しおりを挟む拳を握ったリイに、光騎士殿がしんとなる。
…………あ、もしかして痛い新人決定の瞬間…………?
引き攣るリイに、涙のコルタが抱きついた。
「うわあぁあん!
リイ、ありがとー!
美少年な僕をよろしくね!」
「う、うん。
こちらこそよろしく、美少年コルタ!」
枕詞にしてみた。
とろけるようにコルタが笑ってくれたので、よかったこととする。
「…………なんか、すごいの来たな」
「決勝戦、見たか?」
「天才と謳われたキール殿を負かす平民が出るなんて……」
ざわりとした光騎士殿は、ザインのひと睨みで静寂を取り戻した。
「うるさくなることと思うが、皆、よろしく頼む」
また言われた!
髪が長いのは、ルフィスに逢うまで切らないからだよ!
乙女継続中。
まだ15歳だから、何とかセーフ? ちゃんと後ろで縛ってるよ。
キールに斬られてざんばらになったから、ちょっと切っちゃったけど…………不吉な感じがするけど、気のせいだ!
チャラくないよ! 偏見反対!
「静かにします! よろしくお願いします!」
挙手するリイに、光騎士たちが吹き出して笑う。
「ようこそ、リイ」
「今日から俺らと同じ、光騎士だ!」
ぱぁああ、と感激を露にするリイの肩に、ザインは手を置いた。
「近年、我らが光国は至極平和だ。
武芸を鍛錬することは無論必須だが、日々の責務は着飾って王侯貴族方のお傍に控えることだ。
光騎士の存在を主張することで、安全を保障する」
「はい!」
頷いたリイの目を、ザインは楽し気に覗き込む。
「ゆえに、きらきらしく目立つ光騎士の装束を着け、茶を淹れることとなる」
目尻に皺を刻んで笑うザインは、光騎士のなかで最強と名高い。
近隣諸国からも恐れられる名将だ。
そのレイサリア光国が誇る武将が…………お菓子のお供…………?
あんぐり口を開けたリイに、コルタが声をたてて笑う。
「最初は僕も、衝撃に寝込んだよ!
至光騎士戦は何だったんだって。
でも、あの戦いを衆目に曝すからこそ、平和が保証される」
にこりと笑うコルタの纏う空気が変わる。
触れれば切れるような気魄に、息をのむ。
至光騎士戦で勝ちあがり、劇的な御前試合を経て光騎士となった者の闘いぶりを、誰もが覚えている。
だからこそ誰もが光騎士を恐れ、王侯貴族、ひいては国家の安全が保障されるのだろう。
平和なのは善きことだし、光騎士が日々鍛練しているのは見てとれた。
身体が常人と明らかに違う。
ささいな動きにも、切れと鋭さ、眼光の気魄は香り立つ。
熾烈な至光騎士戦を勝ち抜き、光国随一となった者だ。
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