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出た
しおりを挟む「アリアスしゃま?」
反対側に首と一緒にしっぽを傾げたリトを
「かわい──!」
抱っこしてくれたアリアスが、頭をなでなでしながら教えてくれる。
「ゲームを知らないリトに説明するとね、ナティルートは隣国で魔物が徘徊するようになって、困った王太子がドディア帝国に助力を嘆願に来て、光魔法が使える僕と仲良くなって、ゾンデ王国に一緒に行って魔物を浄化するんだ。僕が玉の輿に乗れるとハッピーエンドなんだよ。闇龍とのバトルほどじゃないけど、光魔法使えないと厳しいね。ちょこっと危険なイベントなんだよ」
「な、なるほろ!」
丁寧に教えてくれるアリアスがやさしい!
「……いや、今のアリアスの説明で理解できるリトがおかしいだろう……!」
ルァルが仰け反ってる。
聞こえてた!
そして殿がなくなるくらい、アリアスと仲良くなってる!
いつの間に!
「え、えとえと、な、なんと、なく?」
あわあわするリトの言葉に、ジゼがうむうむ頷いた。
「リトは大変優秀なのです、ルァル殿下」
アリアスになでなでされたのをはらうように、ジゼがなでなでしてくれる。
「アリアスは博識だね、先日王太子になられたばかりのナティヒ殿下のご尊名まで知っているとは」
ノァが目を剥いてる。
「……諜報員並みの速度じゃないのか……?」
カィトの目が不審になってる。
ジゼの瞳も、アリアスに向いた。
「いえあの、な、なんとなーく、みたいな?」
てへ♡
笑ってごまかすアリアスがかわいい!
が、相変わらず、ごまかし方が雑なんですけど!
──って一緒だった!
「過日も予知のようなことを言っていたし、光魔法の特性なのかもしれません」
ジゼしゃま、フォローかんぺき!
「なるほど」
あっさり頷く皆の、ジゼへの信頼度がMaxだ!
「……ゾンデで魔物が徘徊しているとは聞いていない。が、箝口令が敷かれているなら──こいつらの狙いは俺ではなく、アリアスか」
ルァルが呟いた瞬間、アオが跳んだ。
何もない空間に向かって繰りだされた蹴りに、虚空が揺らぐ。
「ぎゃ──! 待った待った待った! な、何にもしないから!」
両手を挙げて現れたのは、燃える炎の髪が褐色の肌によく映える、ひと目で攻略対象と理解できる次元の、緑の瞳の少年だった。
皆が話してるのと同じ大陸共通語だけど、異国の薫るアクセントが響く。
「うひゃあ」
ノァが仰け反ってる。
カィトがぽかんとしてる。
ジゼは凛々しい眉をしかめた。
人間のごたごたに首を突っ込むと大変なことになるとジェディス邸でセバから説明を受けたのだろう、見守ってくれていたレォンが辺りを見回して、頷いた。
「もうだいじょうぶだ」
「ありがとうございます、レォンさま」
うやうやしくこうべを垂れたルァルは、虚空から現れた少年を横目で見遣る。
形のよい唇から吐息がこぼれた。
「……我らが国防は、ザルだな。隣国の王太子を王宮まで通すとは──」
「きゃ──! 生ナティさま、ちっちゃい! 尊い──! うそ、なんで隠しキャラが──!」
真っ赤なアリアスが、もだもだしてる。
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