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お茶会へ出発だよ
しおりを挟む帝宮のお茶会に向けて奮闘しました!
リトはセバについてお茶淹れの熟練とお菓子の知識の記憶を頑張り、アオはダタについて衛士としての振る舞いを会得した。
がんばった!
思わず両手を掲げてしまうリトの頭を、ジゼの手がなでなでなでなでなでなでしてくれる。
「よくやった、リト」
ほんのり赤いまなじりで微笑んでくれたら、最高のごほうびだ。
「えへへへへ」
とろけて笑うリトのしっぽがぶんぶんで、皆が真っ赤な頬で胸を押さえてる。
「リトと一緒に、僕もがんばったのだ!」
えへんと胸を張るレォンのお背なで、ちっちゃな翼がぱたぱたしてる。
「レォンさまも、お茶を大変お上手に淹れられるようになりましたね」
セバがにこにこしてる。
一生懸命頑張ったリトより、リトと一緒に遊ぶように習ったレォンのほうが、完璧にできているかもしれない件について!
「……ふぇ」
うりゅうりゅの涙目になるリトを、ジゼが抱っこしてくれる。
「リトはとてもよく頑張った。主として誇らしく思う」
ふうわり朱い頬で笑ってくれるジゼに、セバの瞳が遠くなる。
「ジゼさまは、もうちょっと領地経営とかお勉強とか頑張ってくださいね」
「ぐ──!」
目を反らしたジゼがもごもごしてる。尊い。
次期帝王ルァルが、いつものお茶会に招いてくれたのは、レォンとジゼとリトだ。護衛としてアオが同行する。
はじめての衛士のお仕事が帝宮なのは大変だと思うけど、ジェディス邸の正門での警護とか、ジゼやゲォルグの警護も経験させてもらったらしいアオのかんばせは、ほんの3日前より凛々しくなった気がした。
「アオ、すごぃ!」
リトの拍手が止まらない。
「ぼ、僕もすごいのだぞ!」
ちっちゃな胸を張るレォンが、めちゃくちゃかわいー。
「レォンしゃま、僕よりずと、ゆーしゅーでし!」
ぱちぱち拍手するリトに、レォンは首を振る。
「リトはとてもよく頑張っている。一緒に学んだ僕が、一番よく知っている!」
『一番』を強調されたジゼの頬がふくれてる。尊い──!
馬車にはレォン、ジゼ、リトと、何かあった時のためにセバも一緒に乗り込んだ。
アオは騎馬だ。
青狼の血を継ぐアオはとても強い獣人なのでふつうなら馬が脅えてしまうのだけれど、ジェディス家の馬は強い。
ゲォルグの馬を筆頭に、ジゼの愛馬サザも、衛士長ダタの馬も根性が違う。
騎馬での警護も練習したんだって。アオ、すごすぎる!
『お前くらい乗せてやらあ!』
衛士たちが騎乗するなかでも鼻息の最も荒い白馬カガが、アオを乗せてくれることになった。
獣人はふつうに馬と会話できるので、アオが肩を揺らして笑ってる。
「よろしく頼む」
「ブルルルン!」
たてがみを振り立てるカガの鼻息に、リトの耳がほわほわ揺れる。
後ろでジゼとセバとレォンとアオが、赤い頬で胸を押さえてる。
「筆頭侯爵ジェディス家の馬車を騎馬のアオが警護するのは、リト以上に帝都の民の印象に残ると思う。よく聞こえる耳では辛いこともあるかもしれないが、背筋を正し、耳としっぽをしゃんとして警護してほしい」
セバの言葉に、ジゼも頷く。
「よろしく頼む」
「は!」
凛々しい顔を引き締めたアオが手を胸に腰を折った。
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