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ほわほわ
しおりを挟むジゼ + リト + レォン + サザ = めちゃくちゃ目立つ!
「ジェディス侯爵家のジゼさまか!?」
「なんかくっついてる!」
「なんかもふもふしてる!」
「なんかぱたぱたしてる!」
してます。
もふもふ。
ぱたぱた。
「く──!」
くすぐったいらしいジゼしゃまのお顔が、真っ赤だ。
サザとジゼしゃまをくすぐらないように、ふあふあのしっぽを抱っこしたいけど、レォンしゃまを抱っこしているのです!
「おお!」
もふもふのしっぽに、レォンしゃま、大喜び!
ほわほわの耳でほっぺをくすぐられるらしいジゼしゃまが、うっとりしかけてあわあわ手綱を握った。
「地方では行き届かぬ場合もあるし、まず帝都から差別を撲滅したいと、帝都に獣人の孤児院を創設したんだ。各地で保護された身寄りのない獣人の子たちを集めてる。数少ないが大人の獣人たちには差別されない職場で働いてもらおうと、頑張っているところだ」
サザの背に揺られながら説明してくれるジゼのほっぺがほんのり赤い。
「ありあと、ござまし」
頭をさげたら、しっぽが上がったらしい。
「わ……!」
ジゼしゃまのご尊顔を、しっぽが直撃した!
ほわほわが、なでなでしてる!
「……く──!」
耳まで真っ赤になったジゼに、わたわたしたら、またしっぽが──!
「ふぇ、ジゼしゃま、ごめなしあ」
しっぽだけじゃなく、ほわほわの耳がどうしても当たるので、めちゃくちゃくすぐったいと思う!
しょんぼりするリトを抱っこしてくれるジゼの手に力が籠もる。
「リトが謝ることなど、何もない」
ジゼのほっぺが、リトの耳の間にうまる。
「至福だ」
とろける甘い声が、ふわふわの耳を揺らす。
「ぴゃ──!」
ジゼのとびきりいい声を耳に注がれたリトが飛びあがって、リトを抱っこしていたジゼもいっしょに跳びあがって、リトに抱っこされていたレォンも跳びあがって、ジゼに手綱を握られたままのサザが
『ぐえ!』
「あばばばば! ご、ごめなしあ!」
あわあわ落ちてきたリトとジゼとレォンを受けとめたサザが
『ぐお!』
重み + 衝撃!
「ごめなしあ──!」
わあわあ泣くリトに、首を振ったジゼがサザの首を撫でる。
「いや、俺が至らなかった。すまない、サザ、大丈夫か。口を痛めなかったか?」
心配の声に、サザはジゼの手に首を摺り寄せた。
「今は辛くないなら、後でテデに診てもらおう」
ブルン!
たてがみを揺らすサザに、ジゼが微笑む。
「サザは強いな」
耳のうえのジゼを見あげたリトは、ぱちぱち拍手する。
「ジゼしゃま、サザ、言葉、わかゆ?」
「なんとなく」
はにかむように微笑むジゼが、世界の至宝だ──!
街中なので、ぽくぽく進むサザは、どんなに目立ってもジゼを乗せて歩けることがとても楽しいらしい。
ごきげんにたてがみを揺らして、ジゼとリトとレォンを乗せてくれる。
向かうのは帝都の南端だ。
帝都の民を刺激しないよう、でも獣人が人間になじめるよう、帝都の外れにある大きな屋敷を孤児院に改装したという。
「強制労働させていた商人たちの財産と邸宅を没収して造ったんだ」
氷の瞳のジゼが、唇の端をあげた。
「召し上げた財はすべて獣人のために使う。ルァル殿下のご裁断だ」
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