【完結】もふもふ獣人転生

いーな

　ジゼのお膝で抱っこされながら、ふにふに試験するリトを見つめていたゲォルグが

「……いーな……」

　ぽつりと呟いた。

　不思議そうに首を傾げるセバに、厨房の隅に置いてある椅子に腰かけたゲォルグがお膝をぽんぽんする。

「セバ」

　とろけるように甘い声がした。
　耳まで真っ赤になったセバが、絶句する。


「……げ、ゲォルグさま、そ、それは……」

「セバ」

　ゲォルグの、とろけるような微笑みは揺らがない。


「あ、あの、子どもたちが見ていますから──！」

　厨房の皆さんもガン見してる。

　微塵も揺らがぬ甘い声で、ゲォルグがお膝をぽんぽんする。


「セバ」

「……──っ！」

　耳まで真っ赤になって、ちいさくなったセバが、ちょこんとゲォルグのお膝のうえに座った。


「いい子いい子」

　とろける瞳で、ゲォルグがセバの蘇芳の髪をなでなでしてる。


「……っ！」

　かわいそうなくらい真っ赤になったセバが、両手で顔を覆ってる。


「おぉお──！」

　厨房の皆さんの目が爛々してる。

　隣の父とセバを見つめたジゼが、ちいさく笑って、きゅっとリトを抱きしめた。


「血は争えないな」

「きゃー！」

　やはりここはゲォルグ×セバ！？　いやこれでセバ×ゲォルグとか──！

　じゅるり
　垂れそうな涎をあわてて拭う。

　両手で頬を抑えてもだもだするリトのしっぽが、ぽふぽふジゼの頬を撫でて、くすくすジゼが甘い声で笑った。


「……あ、あの、試験……」

　真っ赤な頬でリトとジゼ、セバとゲォルグを見つめたレォンのしっぽが、ぽしぽししてる。

　厨房の皆さんが、胸を押さえてうずくまってる。




「こほん」

　真っ赤な顔で、ゲォルグのお膝のうえで咳払いしても、威厳０だよ、セバ！

「試験終了です。それでは採点を……」

「そ、そのままで……？」

　真っ赤なレォンの突っ込みに、ゲォルグの腕ががっちりセバの細い腰をホールドした。


「このままで」

　ゲォルグのとろけるように甘い微笑は揺るがない。


　耳まで真っ赤なセバが、ゲォルグのお膝のうえで、リトとレォンが提出した答案を採点してくれる。

「ほう……！」

　難易度最難関の精霊語で書かれたレォンの答案を難なく読み込んだセバが目を瞠る。

「レォンさまは、大変優秀でいらっしゃいますね！」

「そ、そうか！」

　赤い頬で笑ったレォンが、ちょこんと頭を差しだした。
　お背なで、ちっちゃな翼がぱたぱたしてる。

「な、なでなでしてもいーのだぞ！」

　ふうわり笑ったセバが、レォンのちっちゃな頭をやさしく撫でた。

「えへへへへ」

　真っ赤なほっぺで笑うレォンのぱたぱたが２倍速になって、皆で真っ赤な頬で胸を押さえたら

「……私も」

　拗ねたみたいにゲォルグが唇を尖らせた。


　耳まで紅に染まったセバが、ゲォルグの髪が崩れないようにそうっと頭をやさしく撫でた。

　その指先に甘さが滲んで、ゲォルグの頬をセバの指がゆうるり滑る。

「……っ」

　ほんのり赤くなるゲォルグと一緒に、ジゼもレォンも厨房の皆も真っ赤になった。

　リトの目もきっと爛々だ！
　なんてうるわしいセバ×ゲォルグ！　いや、ゲォルグ×セバ！？

　皆の視線が刺さっていることに気づいたらしいセバが、真っ赤な頬で咳払いしてる。