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もう習得
しおりを挟む「ご、ごめなしあ! ちゃ、ちゃと、お仕事、すゆ、でし!」
あわあわリトは階段の拭き掃除を再開する。
「あー、いーからおいで、リト。治癒魔法の時間だよ」
手招いてくれるテデに、リトはあわあわ雑巾を仕舞った。
「いちゅも、ありあと、ござまし!」
ぽふぽふ、足を引き摺りながら駆けるリトに、ぽしぽし大きなしっぽを揺らしながらレォンが続いた。
「リトは具合がわるいのか」
心配そうに眉をさげるレォンに、リトはちっちゃな胸を叩く。
「だいじょぶでし、僕、つぉい子でし!」
ジゼとテデが、わしわし頭を撫でてくれる。
「えへへ」
熱い頬で笑うリトの胸に、テデはそっと緑に光る掌を翳した。
「うん、身体のなかで異物と認識されて攻撃されていた魔力が、だいぶ身体に馴染んできたみたい。過剰な免疫反応が随分よくなってる。よかったね、リト」
「アリアスしゃま、テデ、おかげ、でし! ありあと、ござまし」
丁寧に頭をさげたら、ほわほわの耳をテデの指がくすぐった。
「うん」
恥ずかしそうに、誇らしそうにテデが笑う。
「いつもたすけてくれて、ありがとう」
ジゼの感謝の言葉と微笑みに、鼻血を噴いて倒れそうになったテデが、わたわた鼻を押さえてた。
「どぞ!」
しゃっと、リトは、セバがいつも持たせてくれる白いハンカチを、鼻血なテデに差し出した。
ちょっと仕事ができる従僕なのです!
えへんと胸を張るリトに、セバとジゼが、ちいさきものを見る目になってる。
「あ、ありがと、リト」
白いハンカチが鼻血で赤くなるのは、見ないふりなのです。
ちょっと仕事ができる従僕なのです!
ぽふぽふ揺れるしっぽに、セバとジゼとレォンとテデまで胸を押さえてる。
埃をとって、拭き掃除をして、掃き掃除をして、絨毯とかを陰干しして、お布団をお日さまにあててふかふかにして、カーテンを洗ったら、ぴかぴかのお屋敷になりました!
「がんばた!」
両手を挙げるリトのしっぽが、ぽわぽわ揺れて、ジゼとセバとレォンが顔を覆ってる。
「あ、ありがとう、リト。僕はここで暮らせばよいのかな」
「お気に召しましたか」
心配そうなセバに、レォンが笑う。
「リトが張り切って掃除してくれたからな!」
背伸びして、ちっちゃな手で、頭をなでなでしてくれるレォンが、やさしー。
「えへへ」
ぽかぽかする頬で笑ったら、隣のジゼの唇がちょこっと尖って、きゅ、と手を握ってくれる。
「ジゼしゃま?」
きゅ、と握り返したら、ほんのり赤くなったジゼも、ぎゅ、と握り返してくれた。
「なんでもない」
後ろのセバが、によによしかけて止まる。
「ジゼさま、ちょっとお勉強とか領地経営とか鍛錬とかしましょうか」
銀縁眼鏡の向こうのセバの目が、鋭い。
圧されたジセの目が泳ぐ。
「いや、今、リトが大変な時だから──」
「ジゼしゃま、僕、元気でし!」
力こぶをつくってみた!
………………あんまり盛りあがらなかった。
ぺしょりと耳としっぽが、しょんもりする。
「ぐ──!」
胸を押さえたジゼとセバとレォンとテデまでうずくまる。
レォン、帝都に来たばっかりなのに、もう大流行の癖を会得してるだなんて、すごい!
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