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くるくる
しおりを挟む手のなかの、つやつやの闇色の珠と、ジゼを見比べたリトが笑う。
「おそろぃ、でし!」
きょとんとしたジゼが首を傾げて、ふうわり笑ったゲォルグが頷いた。
「ジゼは確かに、世界の至宝だ」
透きとおる蒼の瞳をまるくしたジゼの眦が、紅く染まる。
「……ありがとう、リト。父上も」
わしゃわしゃ、ゲォルグがジゼの頭をかき混ぜる。
くすぐったそうに、うれしそうに首をすくめるジゼが、最高にかわぃ──!
熱い頬を手で覆ってもだもだするリトに、レォンのちっちゃな唇が、ちょこんと尖った。
「リト」
きゅ、と裾を引っ張られたリトが、首を傾げる。
「あい、レォンしゃま」
おっきな闇色の瞳が、リトを見あげてくれる。
「……なんでもない」
真っ赤なほっぺで、ぽそぽそ呟いた。
「はぅあ──!」
ちっちゃいレォンしゃま、かあい──!
熱い頬を手で覆ってもだもだするリトに、ジゼの頬がふくれる。
「リト」
拗ねたみたいに手を繋ぐジゼに
「はぅあ──!」
燃える胸が、ぎゅ──っとする……!
魔力のちいさくなったレォンに安堵したように、セバはいつものとおりに完璧な家令の顔に戻って微笑んだ。
「闇龍様のお部屋をご用意いたします。人と同じようなお部屋でよろしいですか?」
「リトと同じ部屋で構わんぞ!」
「絶対絶対絶対絶対絶対絶対だめだ────!」
絶叫するジゼも、URで、大変大変、かこぃーのでし!
闇龍レォンが、何かちょこっと魔力操作を間違ったりして、突然
ドッカ──ン!
となっても皆が大丈夫なように、森の向こうの使っていなかった別邸を急遽大掃除して、レォン専用のお屋敷にすることになりました!
リトも頑張ってお手伝いした。
ほっかむりして、はたきで埃、ぽふぽふしたよ!
ふわふわの耳と、ほわほわのしっぽが、埃取りになってた。
埃吸着しまくり!
せつない!
「よりもふもふしておる!」
レォンが埃まみれのしっぽを喜んでくれた。
「リト──!」
埃玉になったリトから、ジゼがあわてて埃をはたき落としてくれる。
「ごほ! こほ! くしゃん!」
「ジゼしゃま、埃まみれ、なちゃう!」
「リトがこんなに頑張っているのに、領地経営などしていられるか!」
氷の目を吊りあげるジゼに
「いや、掃除より領地経営してください、ジゼさま」
後ろからセバが突っ込んでる。
主邸から森を挟んでちょこっと離れたところにある別邸は2階建てで、使っていなかったのが勿体ないくらい、玄関ホールの奥に聳える螺旋階段がつやつやだ。
「らせん!」
「くるくる!」
手すりをお掃除しつつ、くるくる回って遊ぶリト、否! 懸命にお掃除するリトと一緒に、ぱたぱたちっちゃな翼を羽ばたかせながらレォンが回ってる。
「……かわいーのが増えてる……!」
足と魔力覚醒の治療に来てくれたテデが、悶えてる。
「リトの具合はどうだ、テデ」
心配そうにテデに問いかけるジゼに
「ジゼさま、ちょっとお勉強とか領地経営とか鍛錬とかしましょうか」
セバが突っ込む。
「今、リトが大変な時なんだぞ!」
螺旋階段でくるくる回っているリトを指したジゼに、セバとテデが白い目になってる。
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