【完結】もふもふ獣人転生

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うりゃー!

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「やろう!」

 ルァルの声とともに、カィトが撃ち込んだ槍の柄をルァルとジゼ、カィトが握る。

「おい、ノァ」
「アリアス殿」

 カィトとルァルに呼びかけられた二人は

「無理無理無理無理無理!!」

 ぶんぶん首を振ってた。
 戦力外みたいだよ。見守り隊だよ。

「ノァはやればできる子なのに」

 吐息するカィトの隣で、ルァルが笑う。

「行くぞ」

 皆の上腕二頭筋が盛りあがる。
 衝撃と出血に備え、テデの掌から緑の光が迸る。

「今です!」

「せーの!」
「うりゃ──!」

 青筋が額にビキビキするほど力を籠めて、引き抜こうとして──

『うぎゃギャギィア──!』

 衝撃に思わず暴れてしまったのだろう闇龍の巨大なしっぽに吹っ飛ばされそうになった3人が、あざやかに跳んで回避した。

 すごい。
 光になってる。

「無理無理無理無理無理無理無理ィイ──!!!」

 抱きあうノァとアリアスが涙目だ。


 も、もしかしてこれは、ノァ×アリアスルート!? いやアリアス×ノァルートの可能性も!

 だめだめだめだめだめ!!

 アリアスに許されているのは、ジゼ×アリアス、もしくはアリアス×ジゼルートのみなのです!


「アリアスしゃま、今、ジゼしゃま、ぴゅん! 光、なりまた! かこぃー!」

 ジゼのかっこよさをアピールしてみた!


 アリアスじゃなくて、ジゼが真っ赤になってうずくまった。
 隣のルァルが肩を揺らして笑ってる。

『僕、痛いのに、リト、ひどいー!』

 何を言っているのか解らなくても、リトがジゼのかっこよさを力説しているっぽいことは理解したらしいレォンが涙目だ。

「ご、ごめなしあ! 今、大変、じゅーよー、議題が!」

 あわあわ鉤爪を握るリトに、レォンの目が胡乱だ。

「は、反省したでし。ごめなしぁ」

 ぺしょりと垂れた耳としっぽで謝った。
 すんすん鼻を鳴らしたレォンが、リトのちっちゃな指を鉤爪で握る。

『にぎてて』

「あい!」

 ぎゅ、とレォンの鉤爪を握るリトを隣に、ルァルとカィト、ジゼは難しい顔だ。

「俺たちの力では、闇龍様の歯を抜くには不足やもしれん」

 ルァルの言葉に、カィトも頷く。

「渾身の力を籠めましたが、ぴくりとも動かなかった」

「痛みを与えただけでしたね」

 氷魔法で虫歯を冷やしながら、ジゼも吐息した。

「人間の力では不足なのやもしれぬ」

 ルァルの言葉にカィトも項垂れた。

「……我らはまだ12歳ですしね」

 あまりに皆、きらきらしてるから忘れがちだけど、お子さまクエストでした!
 龍の歯を引っこ抜くのは辛いかもしれない。

 あわあわしたリトは、レォンの鉤爪を握る自分の手を見つめる。

 5歳だ。

 でも、人間じゃない。
 獣人だ。

 身の丈の3倍の長さと10倍を超える重さの石材を幾つも運ばされてた。
 餓死しそうな状態で。

 泥水のなかに倒れた日が遠くなってしまうほど、今のリトはジゼのおかげで、おなかもぽんぽん、耳としっぽもふさふさだ。

 あの時よりずっと、身体の奥に力を感じる。

 ジゼとレォンのためなら、きっと、鞭打たれて働かされた時よりずっと、力を出せる。


「僕、やてみましあ!」




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