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いちゃいちゃ
しおりを挟む「……えーと、あのー……」
リトの隣で赤い頬で気まずそうにしているアリアスに、まだ青い顔で心配そうにしてくれていたルァルが眉をあげる。
「ああ、よくやってくれた。我らにとっては一瞬だったが、異なる次元での光の精霊さまの試練は大変なものだと聞く。よく戻ってきてくれた」
「……僕のこと、忘れてましたよね?」
ジト目の突っ込みに、ルァルは陽の髪を掻きあげる。
「まさか」
爽やかに全否定するルァルにも、アリアスの目は胡乱だ。
ルァルの陽の瞳が、面白そうに瞬いた。
「光の精霊さまに選ばれ、光魔法が使えるようになったようだな」
「リトのおまけで」
ふてくされるアリアスに、ジゼの腕のなかのリトが跳びあがる。
「ましゃか!」
腕のなかのリトの額を見つめたジゼは、月の眉を顰めた。
「……これは……光の魔紋……?」
「ジゼさまぁあァア──! お呼びと伺いましたァア! まさかまさかまさかお怪我を!?」
全力疾走してくれたのだろう、ぜえぜえしながら駆け込んだテデは、居並ぶルァルとノァ、カィトに硬直した。
「た、たたたたた大変なご無礼を──!」
「よい。診てやれ」
ルァルが手を振ると、深々頭をさげたテデがジゼに駆け寄る。
「ジゼさま──!」
「リトを、頼む」
『またか──!』
顔に大書きしたテデがリトを睨みつけた目が、愕然と見開かれた。
「……こ、れは……強制覚醒? 無理矢理叩き起こされた魔力が、己の身体を傷つけるものです。魔力が落ち着いて馴染んでくれば心配はいらないのですが、しばらくは安静に……ってリト、魔力あったの──!?」
茫然と叫ぶテデに、髭のおじいちゃん魔導士が近づいた。
「ほうほう、これは確かに、光の魔力よのう」
リトの顔を覗き込もうとするおじいちゃんを、ジゼが制する。
「まず治療を」
白い眉をあげたおじいちゃんは、皺の瞼に埋もれる細い目をますます細めた。
「そのような顔をするようになられましたか」
きょとんとするジゼの隣で、テデの目が、おどろおどろしくなってる。
「ジゼさまは、以前と変わらず、至高の御方にございます!」
テデの宣言に、ルァルは眉をあげた。
「それは俺に対する挑戦か?」
「ひィイ──! も、申し訳ございません、次期帝王──!」
謝りはするが『ジゼは至高』を訂正しないテデに、リトは思わずうむうむした。
喉を鳴らして笑うルァルの後ろでカィトが吐息する。
「殿下がお咎めにならないから、仕方なく俺が言う。不敬だぞ」
「ま、誠に申し訳ございません!」
「申し訳ございません、よく言い聞かせておきます」
テデとともに頭を下げるジゼに
「何を?」
ノァが突っ込んだ!
「ルァル殿下の素晴らしさを」
即答するジゼに、声をたててルァルが笑った。
「思ってもないくせに」
「思ったことしか言いません」
真っ直ぐなジゼの瞳に、 陽の瞳がまるくなる。
「……え? ほんとうに? ジゼは俺を、評価してくれているのか?」
ぽかんとしたのは、ジゼだ。
「ありえぬ優秀さを見せつけておいて、今更何を」
当たり前のことのように告げたジゼに、ぽかんとしたルァルの耳が朱くなる。
「──っ!」
真っ赤になった顔を片手で覆うルァルと、によによするノァとカィトと、きょとんとしているジゼを横目で見たテデが肩を落とした。
「治療するね。ごめん、リト、重体なのに目の前でいちゃいちゃして」
「お前が謝るな!」
叫ぶルァルのまなじりが真っ赤だ。
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