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雷の夜(お気に入り2000御礼。ヤクルトジャンパー様リクエストありがとうございます!)
しおりを挟む真夜中を、閃光が染める。
その瞬間、ジゼは跳び起きた。
ドドガァシャァア──ン!!
邸が揺れるほどの雷鳴が轟く。
いつもなら多少は驚くジゼは、その殷々たるいかずちに微塵も心を揺らすことなく、駆けた。
頭の芯が、ビリビリする。
リトが、泣いてる。
「ぴゃー!」
従僕の住まう部屋の、薄めの扉の向こうから、声がする。
「リト!」
思わず扉をブチ開けたジゼとともに、雷閃が世界を染める。
バリバリバリィイイイイ──!
「ぴゃ──!」
ボワボワの耳としっぽになって、布団を被って小さく丸くなっていたリトが、涙の瞳で跳びあがる。
「リト──!」
うるうるのリトの目がジゼを見た瞬間、ぽろぽろ涙が零れ落ちた。
「ジゼしゃま──!」
ばすん!
ボワボワの耳としっぽとお布団に包まれたリトに突撃するように抱きつかれたジゼは、難なくその衝撃を抱き留めた。
「リト」
「ジゼしゃま、ジゼしゃま、ジゼしゃま──!」
泣きじゃくるリトを、抱きしめる。
「怖かったな」
こくこく、こくこく頷くリトを、お布団の包みから掬い出したジゼは、いつもの3倍くらいにボワボワになったリトのしっぽに顔を埋めた。
「……はぅぁ」
こぼれたジゼのとろける吐息を撃ち倒す
ドドガガガシャァアァン──!
「ぴゃ──!」
ぎゅうぎゅう抱きついて、ぽろぽろ涙をこぼすリトが、めちゃくちゃかわいー♡ とか悶えている場合ではない!
理性を総動員したジゼは、キリっと引き締めた顔で告げる。
「一緒に寝よう」
……なんか、口から出た。
いやこれはリトを安心させるためであって、やましい気持ちは、これっぱかしもない!
…………………………………………たぶん。
リトのうるうるの目が、見あげてくれる。
ほわほわ、リトの頬が赤くなる。
ふんふんしてる。
ぼわぼわの耳としっぽが、揺れている。
かわい──!
悶えそうになったジゼと、愛くるしさ炸裂のリトを撃ち壊す
ビカ──っ!
「あぅあ──!」
ドォオオォオオン──!
「ぴゃ──!」
ボフボフになって、ちいさく丸くなるリトを、雷から守るように、ジゼの腕が抱きしめた。
ジゼは自室の寝室にリトを運び込んだ。
リトがお日さまに干してくれるからふかふかの白い布団に、ボワボワのリトを包む。
「傍にいる」
抱きしめて囁いたら、すんすん鼻を啜ったリトが、ジゼの小指を握った。
「ジゼしゃま……」
涙の滲む瞳を、恐怖にふるえる耳を、ボワボワのしっぽを、包みこむように抱きしめる。
「リト」
きみの名を囁いて、抱きしめる。
きみの名を、この唇で紡ぐたび、きみへの想いが、あふれてく。
きみを怯えさせるすべてから、守りたい。
雷光じゃなく、俺の目を見て
雷鳴じゃなく、俺の鼓動を聞いて
きみのなかからいかずちを追い出して、俺でいっぱいにしてあげる。
きみが、やすらかに眠れるように。
抱きしめて、抱きしめて、縮こまる背を撫でて、ふるえる耳を、ぼふぼふのしっぽをやさしく撫でる。
「リト」
どきどきが、伝わるかな。
俺のなかには、いかずちなんて、ひと欠片もなくて
きみで、いっぱいなんだ。
「リト」
ささやいたら、泣き疲れたのだろう、リトは眠っていた。
睫に溜まる涙を、やさしく払う。
真っ赤な頬を、そっと掌で包んだ。
やすらかな寝息が、胸をくすぐる。
いつものふわふわとほわほわに戻った耳としっぽが、ジゼに甘えるように寄り添った。
雷鳴が、遠くなる。
「おやすみ、リト」
ささやいて、ちいさな手を握る。
「……ジゼしゃま……」
きゅう
とろけた頬で、閉じられたままの瞼で抱きついてくるリトを、抱きしめた。
────────────
はじめましての方、いつも見てくださる方、心からありがとうございます!
ヤクルトジャンパー様のリクエストで、夜に雷で怯えるリトをジゼが自分の部屋に誘って、安心して寝てるリトを愛おしい目で観察するジゼでした!
最初間違えてリト視点で書いていて、終わりかけになってやっとジゼだ! と気づいて書き直しました……(笑)
ジゼはリトセンサー搭載です(笑)ゲォルグはセバセンサー搭載、家系です(笑)
楽しんでくださったら、とてもうれしいです!
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