もふもふ獣人転生

ジゼのリト観察日記（お気に入り１０００御礼。みみみみみ様リクエストありがとうございます！）

芽吹の月　一日

　我が家の天使が、俺の従僕になってくれるという。
　自分から言ったが、諾を聞いた今でも、夢かと思う。
　頬を抓ってみた。
　痛かった。
　後ろでセバがぷるぷるしている。



二日

　天使なリトに、父上もめろめろしていた。ちょっと複雑だ。
　あのふわふわの耳としっぽは、何なんだろう。
　世界最終平和をもたらす、天使としか思えない。

　ああ、ちがう、リトは天使だった。

　あのしっぽが、ふわふわ動いているのを見ているだけで、至上のしあわせが降ってくる。
　間違いなく、世界最終平和だ。



三日

　我が家の天使が、俺の靴を、ふところであたためてくれるという。
　俺が寒くないように。

　愛くるしくて破裂するかと思った。

　俺の天使が、俺を殺しにきている。



四日

　リトの服を、仕立て屋と相談した。
　白熱した。
　服など着られて装飾がなければ何でもいいと思っていたが、沼だった。
　リトを最も引き立てる服について、仕立て屋とひと月ぶっ続けで議論できる。
　果てしない沼に足を踏み入れてしまった。
　楽しい。



五日

　仕立て屋が、リトの服の案を持ってきた。
　白熱した。
　リトがしょんもりしていた気がするが、すまない、天使の服は譲れない。

　そんな我が儘な俺に、リトが礼を言ってくれた。

　天使か。
　ああ、そうだ、リトは天使だった。

　あまりの天使ぶりに、胸を押さえてうずくまってしまった。
　リトが、ふわふわのしっぽと耳をぺしょぺしょにして、心配してくれた。

　天使か。
　ああ、そうだ、リトは天使だ。

　あまりに心配してくれて申し訳ない。
　俺は元気だ。
　リトが天使なだけだ。

　しかし心の臓は破裂寸前だ。

　リトが俺を殺しにきている。

　だいじょばない。



六日

　リトが俺に、茶を淹れてくれた。
　練習だったとか聞こえない。

　リトの茶は、俺のものだ。

　頭の芯がビリビリするので、リトが茶を淹れるとすぐわかる。
　セバが不審な目を寄こしたが、リトに張りついている訳ではない。ちゃんと執務はしている。

　しかし最近、リトのふわふわした耳をさわりたいなとか、もふもふのしっぽをなでたいなとか、あの白い髪をわしゃわしゃしたいなとか、そういうことばかりを、延々、延々考えていて呆けている気がする。

　天使だからな。
　仕方ない。



七日

　リトがセバに茶の淹れ方の教えを受けている。

　おもしろくない。
　非常におもしろくない。

　俺の従僕なのだから、俺の傍にいてくれたらいいのに。

　ずっと。

　情けなくて言えない。
　こんなの俺じゃない。
　思うのに、目はいつもリトを探している。

　ふわふわの耳やしっぽが揺れるたび、鼓動がうるさいくらい、駆けてゆく。
　頬が熱い。
　頭がいつもぼんやりして、リトのことを考えている。
　阿保になったようで心配だ。
　だが、リトのおかげで阿呆になるなら、いいと思う。

　リトは、俺の天使だから。



　きみを、たすけられたことを、心から誇りに思っている。


　生きていてくれて、ありがとう

　俺の傍にいてくれて、ありがとう



　ずっと、感謝を伝えるから

　ずっと、ずっと、大切にするから



　どうかこれからも、俺のそばに









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　お気に入り１０００、ありがとうございます！　感謝の気持ちを籠めてお書きしました。

　みみみみみ様のリクエストで、ジゼのリト観察日記でした！

　リトを拾ったところから始めようとしてしまい、なんか違うと思って（笑）あわてて最近のにしてみました！
　ジゼの頭のなかを、はじめて知りました（笑）

　とても楽しいリクエスト、ありがとうございます！