【完結】もふもふ獣人転生

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おはようございます

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 主人公アリアスは治療のため、毎日ジェディス邸を訪れることになった。

 桜の髪をふわふわ揺らしてやってくるアリアスは、とても可愛い。
 痛む足をこらえて健気に微笑み、よろけてジゼに支えられて、抱きつくみたいに密着して、真っ赤になっているアリアスも、大変愛らしい。

 そんなのを詳しく見てたらリトの胸が潰れて砕けるので、従僕として働く毎日をご紹介するのです!

 ジゼの一日は、早朝のお勉強から始まる。
 ジゼは朝一番が一番頭が冴えているらしく、領地からの報告に目を通し、本日のお勉強の範囲をざっと予習し、いままで学んだことをざっと復習する。帝都学究院で新たに創出された技術や魔法、新たに提出された論文にも目を通したら朝ご飯だ。

 なのでリトの一日は、ジゼより早く起きることから始まる。
 前世は早起き苦手で、就職は『早起きしなくていいところ』が給与よりも最大の希望条件だったのを憶えてる。目覚ましをかけるとストレスなのか夜中に何十回も起きて体調がおかしくなって眩暈と吐き気と不眠で働けなくなるんだよ。そんなのばっかり覚えてないで、BLゲームのジゼルートを思い出してよ!

 泣きながら早起きする。
 この世界はBLゲームの世界だからか、帝都学究院の研究の成果なのか、目覚まし時計があるんだよ。すごい。
 ジリリリ鳴る目覚ましを、必死の思いで止めるのが、一日の始まりだ。

 今世のリトは獣人なので、人間よりもだいぶ丈夫みたいだ。
 早起きもだいじょうぶ!
 顔を洗って、口を濯いで、寝ぐせの髪を直して、ちょっとぺしょんとなった耳としっぽをブラッシングしたら、ほわほわ復活だ。

 ジゼが選んでくれた真っ白な従僕服に身を包み、ジゼの瞳の色のリボンを襟元にきゅっと結ぶ。沸かしたてのお湯をポットに詰めたら、ふわふわ揺れる耳としっぽで、ジゼが起きたい時間ぴったりにジゼの寝室の扉の前に立つ。

「ジゼしゃま、おあよ、ござまし。リトでし。お目覚め、時間でし」

 ノックの音は硬くてびっくりすると思うので、声をかけて、そうっと扉を開ける。

「ジゼしゃま、おあよ、ござまし。リトでし」

 寝台の傍まで行って、ささやく。

 白い枕に埋もれていた月の髪が波打って、月の睫が微かに揺れる。

「……り、と……?」

「おあよ、ござまし、ジゼしゃま。朝でし。今日、いいお天気、でし」

 やさしく声をかける。
 叩き起こしたり、毛布を引っぺがしたりしないよ!
 おっきい声もあげない。

 昨夜の執務の状況と、机の散らかり具合と、ジゼの寝起き具合と、今日の予定を考えて、持ってきた熱いお湯で朝一番のお茶を淹れる。

 お茶の爽やかな香りが寝室に満ちてゆくと、ジゼの瞼が開いてく。

「……りと……?」

「おあよ、ござまし、ジゼしゃま。お茶、緑花茶でし」

 朝一番におすすめのお茶で、ジゼのすきなお茶だ。
 たぶん、今日の気分なはず……!

「……りと」

 ちょこっとふくれた頬で、名を呼ばれる。
 お茶を淹れる手を止めたリトは、瞼の向こうから現れた蒼の瞳を覗きこむ。

「おあよ、ござまし、ジゼしゃま」

「……起きた」

「あい、おあよ、ござまし」

「……ほうびは」

 ふくれるジゼの顔が尊すぎる──!

 拝んでいいですか──!




 ごめん、聞く前に拝んでた。






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