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自慢じゃないよ!

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「そうそう、俺らほんとにご縁がなくてさー」

 ガチムチ青年が眉をさげた。

 いや、あなたは一部の方から垂涎の的なのでは!?
 見てるだけでさわりたくてたまらなくなる、つやつやのはちきれる筋肉!
 むっちりガチムチは、BL界で大絶賛だよ!

「もういいよー、仲間内でくっつこうよー、僕のを嵌めてあげるから!」

 にこにこしながら愛くるしい青年がガチムチ青年のたくましいお尻の間に指を這わせてる。
 むっちりなお尻を割り開いてるよ!
 あの、僕、3歳児です! 挙手したくなるのをあわあわ止めた。

「ひぃいいい──! 死ぬから止めてぇエエエ──!」

 ガチムチ青年が泣いてる。本気だ。

「いひひひひ」

 邪悪そうな魔法使いのおじいちゃんが、邪悪そうに笑ってる。

「え、もしかして嵌めて欲しいの? やだあ、言ってくれたらいいのにー!」

 きゅ、とお尻を両手で鷲掴みにされたおじいちゃんが

「ひぃいいいイイイ──!」

 泣いてる。本気だ。

「……………………」

 茶色いフードの瓶底眼鏡のおじいちゃんが、ぷるぷるしてる。笑ってるみたいだ。

 笑っていいのかどうなのか解らず(初対面で失礼になったら大変だからね!)とりあえず硬直していたら、可愛い青年と魔法使いおじいちゃんが、ヴィルの腕のなかのちっちゃいノィユに気づいた。

「何そのちっちゃいの」
「親戚の子どもかの? かーいーのう。幾つかの?」

 顔を覗きこまれたノィユは、ヴィルが下ろしてくれたので、胸に手をあて膝を折る。

「ノィユ・バチルタ、3歳です。ヴィルの伴侶です。よろしくお願いします!」

 丁寧に頭をさげた。

「……………………え………………?」

 皆がヴィルを凝視した。

「………………………………え……………………?」

 ヴィルはちょっと恥ずかしそうに、朱い耳でささやいた。

「伴侶、できた」

「ひぃいいイイイ──!」
「売れ残り同盟から、裏切り者がぁあアア──!」
「ひどいよう、ヴィル──! 僕たちを置いていくなんて──!」
「……っ!」

 皆が泣いてる。
 ごめんなさい。

「でもノィユ、3歳、だから、ちゃんと、伴侶に、なれる、の、15年、後」

 ヴィルの言葉に顔を見合わせた皆が、ノィユとヴィルを見比べる。

「な、なるほど?」
「じゃあ15年の間に、皆で伴侶を見つければ取り残されないってこと?」
「……15年か……過ぎると一瞬だぞ……」
「…………………………」

 嘆きつつも、皆、ちょっと落ち着いてくれたみたいだ。
 よかった。

 15年は大きいよね。
 ごめんよ、ヴィル──!
 そしてより辛いのは、間違いなく僕だ──!

 えちえちヴィルと死ぬほどしたいのは僕だからね。
 ヴィルじゃないからね。

 涙を流しそうなノィユを、ヴィルのてのひらがぽふぽふしてくれる。やさしい。


「ヴィルよ、確か救援と言っておったが、まさか自慢じゃないだろうな?」

 邪悪な魔法使いおじいちゃんの目が胡乱だ。

 ヴィルが自慢してくれたら、とってもうれしいのですが!

 ただの紹介だよ。

 でも批難囂々になることを覚悟で、それでもちゃんと伴侶と紹介してくれたことが、とってもうれしい。

 ふわふわ熱い頬でヴィルの手を握ったら、ほんのり朱い頬で握り返してくれた。


「くぅうう──!」
「い、いちゃいちゃしてやがる──!」
「…………っ!」


 皆が泣いてる。

 ごめんなさい。



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