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おんなじみたいです
しおりを挟むしっかり釘を刺したノィユの目が、トートを見あげた瞬間、胡乱になる。
「トートさま、そのお顔は『めちゃくちゃ燃える』とか思ってるでしょう」
「ぐは──!」
ノィユの突っ込みに鼻血が出たらしいトートが耳まで真っ赤だ。
「……弟の情事は……あまり、見たく、ない、かな……」
扉の前でわちゃわちゃされたヴィルが出てきてくれて、遠い目になってる。
「うわあん! お兄さま、僕への愛はないんですか!?」
エヴィが泣いてる。
「……え、いや……エヴィだって、いや、だろう?」
戸惑うヴィルもかわいー!
「お兄さまがしてるところなんて、見たいに決まってるじゃないですかぁあァアア──!」
拳を握って絶叫するエヴィも
「う──!」
鼻血が出たみたいなので、ハンカチを渡してみた。
「ふ、ふんだ!」
今度は受け取ってくれた。よかった。
「お義兄さまのお部屋を寝台2つのものに変えましょう」
鼻血を拭き拭きしながら進言するトートに、エヴィが首を振る。
「だめだめだめ! おっきい寝台をつくって、4人で寝るの! 造るまでは2つの寝台をくっつければいいと思うな!」
4人のなかに加えてもらったのだろうノィユは、ちょっとうれしい。
「えへへ、ありがとうございます、エヴィさま」
照れ照れする頬で見あげたら、ちょっと赤い頬でエヴィは顔を逸らした。
「ふ、ふんだ!」
のびたヴィルの手がエヴィの頭をぽふぽふする。
「おにいさま」
真っ赤になった頬でとろけて笑うエヴィが、めちゃくちゃかわいー。
これがデレ。というかヴィルには常にデレ。ツン皆無だ!
「え、4人で寝るの!? もしかしてひと月、ずっと!?」
トートが泣いてる。
「当たり前でしょ!」
ふんとエヴィは高い鼻を鳴らした。
「え、えぇ……!? あ、あのあの、よ、夜は……」
紅い頬でもじもじするトートに、エヴィの蒼の瞳が吊りあがる。
「お兄さまがいらっしゃるのに、する訳ないだろぉおおァオオ──!」
ぱんちされそうになったのを避けたトートが涙目だ。
「そ、そんな、僕、自慰しすぎて死んじゃう──!」
…………………………。
父と同じみたいだよ。
「……僕、離縁しようかな……」
エヴィの目が本気だ。
「エヴィ、僕を殺す気なの……!?」
トートが号泣してる。
のびたヴィルの手が、トートの肩をぽふぽふした。
「エヴィ、つんでれ」
ツンデレを覚えてくれたヴィルが、めちゃくちゃかわいーです!
従僕の皆さんが運んできてくれた寝台を、皆でわあわあ言いながらくっつけました。
ノィユも白いシーツをぱんぱんして、お手伝いした。
役に立つ3歳児なのです!
シーツの角を三角にするんだよ。
バイトか何かで覚えたよ。家では全く実践しなかったよ。
従僕さんと一緒に寝台を動かしてるネァルガ家当主が輝いて見える。
地位の高い人って、踏ん反り返ってるイメージしかなかった!
「ネメド王国最高峰なのに、寝台を動かしてくださるトートさま、めちゃくちゃかっこいーです。さすがエヴィさまが選ばれた方ですね!」
思わず拍手しちゃったノィユに、トートとエヴィが真っ赤になった。
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