70 / 115
だめらしい
しおりを挟む合意なのに、だめだなんて、なんて世知辛い!
ノィユは涙をのんだ。
ここは、ひっそり、こっそり、ヴィルとえちえちな夜を──!
「契約しましたから! 違反したら、ヴィルお坊ちゃまの額に『契約違反 凌辱』出ますから! 時刻と回数まで王家に報告が上がって永代保管されますから!」
「ありえないぃいイイ──!」
ロダとエヴィが絶叫してる。
「ご、ごめんなさい! 僕、僕、我慢します──!」
号泣しながら誓う。
「……俺も。……ごめん、つい、口から、本音、出た」
「うわあん、ヴィル、僕、ちっちゃくてごめんなさい──!」
泣きながらお膝に抱きついたら、真っ赤なヴィルが首を振る。
「……ちっちゃいノィユ、だから、俺の、伴侶に、なって、くれた。ノィユがおっきく、なるまで、ずっと、傍に、いられる。……うれしい」
真っ赤な頬で、笑ってくれる。
「うわあん、ヴィル、あいしてる──!」
ぎゅうぎゅう抱きついたら、ぎゅうぎゅう抱きしめてくれる。
「……俺も」
ヴィルのあまいささやきに至上のしあわせを噛み締める息子に、両親が生温かい目になってる。
「いやもう僕も、おかあさんの攻撃をかわすのが大変で──! 鼻血と自制と自慰で死ぬかと思ったよ。なつかしいなあ」
うむうむする父に(いやその陽の精霊みたいな顔で、ひとりえっちするんだ、じゃなくて、そんなことを3歳児の息子だけじゃなく、息子の伴侶とそのご家族とロダにまで打ち明けていいのか、父!)
「……はァア──!?」
母の後ろにおどろおどろしい闇が出現してる。
こわい。
ノィユはきゅっと、拳を握る。
「ぼ、僕、誘惑しないように、がんばるね!」
………………。
ちょっと沈黙したヴィルは、ふるふる首を振る。
朱い頬で、ささやいた。
「……ゆうわく、して」
「──っ!」
最愛の伴侶が凶悪に可愛いです。
3歳児の理性を殺しにきてる──!
ありがたすぎる至福なお野菜たっぷりご飯を食べて、皆でおっきいお風呂に入ったら(ヴィルとふたりで入ろうとすると、絶対にエヴィとトートが割り込んでくる仕様だよ)ヴィルと一緒に眠ります!
これぞ伴侶!
枕を持って、ヴィルの寝室(ノィユが襲おうとしてると判断されたのか、部屋を分けられた。しょんぼり)に行ったら、枕を持ったエヴィが来てて、枕を持ったトートまで来てた。
「お兄さまを犯罪者にしないためだよ、当然でしょ!?」
「僕はエヴィと一緒に寝るために」
…………………………。
「……皆で寝る……?」
あぅあ──!
伴侶になったばっかりなのに──!
今が蜜月なのに──!
いや死ぬまで蜜月だけど、はじめての蜜月だよ!
居候で寄生してる最底辺の極貧のくせに態度がでかいと叱られそうだが、ノィユがジト目になるのは仕方ないことだとゆるしてほしい!
だって、ちっともヴィルとふたりきりでいちゃいちゃできないよ……!
伴侶になったばっかりなのに!
しかも!
義弟伴侶と一緒に寝るだなんて──!
「……僕とヴィルが寝てるとなりで、えちえち始めないでくださいね……」
釘を刺してみた!
「な、ななななな、な──!」
噴火してるエヴィが、かわいい。
761
お気に入りに追加
3,365
あなたにおすすめの小説
【完結】悪役令息の従者に転職しました
*
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。
依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました。
皆でしあわせになるために、あるじと一緒にがんばるよ!
本編完結しました!
時々おまけのお話を更新しています。
ハイスペックストーカーに追われています
たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!!
と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。
完結しました。
マリオネットが、糸を断つ時。
せんぷう
BL
異世界に転生したが、かなり不遇な第二の人生待ったなし。
オレの前世は地球は日本国、先進国の裕福な場所に産まれたおかげで何不自由なく育った。確かその終わりは何かの事故だった気がするが、よく覚えていない。若くして死んだはずが……気付けばそこはビックリ、異世界だった。
第二生は前世とは正反対。魔法というとんでもない歴史によって構築され、貧富の差がアホみたいに激しい世界。オレを産んだせいで母は体調を崩して亡くなったらしくその後は孤児院にいたが、あまりに酷い暮らしに嫌気がさして逃亡。スラムで前世では絶対やらなかったような悪さもしながら、なんとか生きていた。
そんな暮らしの終わりは、とある富裕層らしき連中の騒ぎに関わってしまったこと。不敬罪でとっ捕まらないために背を向けて逃げ出したオレに、彼はこう叫んだ。
『待て、そこの下民っ!! そうだ、そこの少し小綺麗な黒い容姿の、お前だお前!』
金髪縦ロールにド派手な紫色の服。装飾品をジャラジャラと身に付け、靴なんて全然汚れてないし擦り減ってもいない。まさにお貴族様……そう、貴族やら王族がこの世界にも存在した。
『貴様のような虫ケラ、本来なら僕に背を向けるなどと斬首ものだ。しかし、僕は寛大だ!!
許す。喜べ、貴様を今日から王族である僕の傍に置いてやろう!』
そいつはバカだった。しかし、なんと王族でもあった。
王族という権力を振り翳し、盾にするヤバい奴。嫌味ったらしい口調に人をすぐにバカにする。気に入らない奴は全員斬首。
『ぼ、僕に向かってなんたる失礼な態度っ……!! 今すぐ首をっ』
『殿下ったら大変です、向こうで殿下のお好きな竜種が飛んでいた気がします。すぐに外に出て見に行きませんとー』
『なにっ!? 本当か、タタラ! こうしては居られぬ、すぐに連れて行け!』
しかし、オレは彼に拾われた。
どんなに嫌な奴でも、どんなに周りに嫌われていっても、彼はどうしようもない恩人だった。だからせめて多少の恩を返してから逃げ出そうと思っていたのに、事態はどんどん最悪な展開を迎えて行く。
気に入らなければ即断罪。意中の騎士に全く好かれずよく暴走するバカ王子。果ては王都にまで及ぶ危険。命の危機など日常的に!
しかし、一緒にいればいるほど惹かれてしまう気持ちは……ただの忠誠心なのか?
スラム出身、第十一王子の守護魔導師。
これは運命によってもたらされた出会い。唯一の魔法を駆使しながら、タタラは今日も今日とてワガママ王子の手綱を引きながら平凡な生活に焦がれている。
※BL作品
恋愛要素は前半皆無。戦闘描写等多数。健全すぎる、健全すぎて怪しいけどこれはBLです。
.
悪役側のモブになっても推しを拝みたい。【完結】
瑳来
BL
大学生でホストでオタクの如月杏樹はホストの仕事をした帰り道、自分のお客に刺されてしまう。
そして、気がついたら自分の夢中になっていたBLゲームのモブキャラになっていた!
……ま、推しを拝めるからいっか! てな感じで、ほのぼのと生きていこうと心に決めたのであった。
ウィル様のおまけにて完結致しました。
長い間お付き合い頂きありがとうございました!
身代わりになって推しの思い出の中で永遠になりたいんです!
冨士原のもち
BL
桜舞う王立学院の入学式、ヤマトはカイユー王子を見てここが前世でやったゲームの世界だと気付く。ヤマトが一番好きなキャラであるカイユー王子は、ゲーム内では非業の死を遂げる。
「そうだ!カイユーを助けて死んだら、忘れられない恩人として永遠になれるんじゃないか?」
前世の死に際のせいで人間不信と恋愛不信を拗らせていたヤマトは、推しの心の中で永遠になるために身代わりになろうと決意した。しかし、カイユー王子はゲームの時の印象と違っていて……
演技チャラ男攻め×美人人間不信受け
※最終的にはハッピーエンドです
※何かしら地雷のある方にはお勧めしません
※ムーンライトノベルズにも投稿しています
竜王陛下、番う相手、間違えてますよ
てんつぶ
BL
大陸の支配者は竜人であるこの世界。
『我が国に暮らすサネリという夫婦から生まれしその長子は、竜王陛下の番いである』―――これが俺たちサネリ
姉弟が生まれたる数日前に、竜王を神と抱く神殿から発表されたお触れだ。
俺の双子の姉、ナージュは生まれる瞬間から竜王妃決定。すなわち勝ち組人生決定。 弟の俺はいつかかわいい奥さんをもらう日を夢みて、平凡な毎日を過ごしていた。 姉の嫁入りである18歳の誕生日、何故か俺のもとに竜王陛下がやってきた!? 王道ストーリー。竜王×凡人。
20230805 完結しましたので全て公開していきます。
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。
前世が飼い猫だったので、今世もちゃんと飼って下さい
夜鳥すぱり
BL
黒猫のニャリスは、騎士のラクロア(20)の家の飼い猫。とってもとっても、飼い主のラクロアのことが大好きで、いつも一緒に過ごしていました。ある寒い日、メイドが何か怪しげな液体をラクロアが飲むワインへ入れています。ニャリスは、ラクロアに飲まないように訴えるが……
◆いつもハート、エール、しおりをありがとうございます。冒頭暗いのに耐えて読んでくれてありがとうございました。いつもながら感謝です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる