51 / 115
はぁあ~♡
しおりを挟む「ノィユの背中、流して、あげる」
ほんのり赤い頬で、ヴィルが笑ってくれる。
「きゃ──!」
燃える頬でもだもだしたノィユは、エヴィにラリアットされそうであわあわ大人しくなった。
「お、おおおお願いします!」
「うん」
うれしそうに、照れくさそうに笑ったヴィルが、ノィユのちいさな背中を、やさしく、やさしく洗ってくれる。
「ふへへへへ……!」
よだれが垂れそうなノィユに
「きぃいいイイイ──!」
エヴィがハンカチを噛みたそうな、すんごい顔になってる。
「……エヴィのも、洗う?」
ヴィルが首をかしげて
「あ、ありがとうございます、お兄さま──!」
真っ赤なエヴィが悶えてる。
トートがさみしそうな顔をしてるので
「じゃあ、トートさまのお背なは、僕が!」
しゃっと手を挙げたノィユに、殺人光線が突き刺さる。
「はぁあァアァア──!?」
すんごい顔のエヴィに叫ばれた。
「ご、ごめんなさい、トートさまのお背なは、エヴィさまのものでしたね!」
あわあわ控えたノィユに
「べ、べべべべべ別に──!」
耳まで真っ赤なエヴィがぷいと横を向いて
「エヴィ──!」
とろける顔で、トートがエヴィに抱きついてる。
やっぱり、仲良し伴侶です。
おっきなお風呂に皆でつかると
「はぁあ~~♡」
エヴィの唇から、いい声がこぼれて、皆で笑った。
「な、なんだよ! お風呂にはいったら『はー』だろ!」
「うんうん、そうだね、エヴィはとびきり可愛いよ」
トートがにやけ崩れてる。
ヴィルが笑って、ノィユも笑った。
「お義兄さまのことは心配だったから、僕はノィユが伴侶になって、よかったなって思ってる。借金はひどいけど、15年の猶予があるからエヴィもちょっと落ち着いてくれるかもしれないし」
笑うトートに、ノィユは申し訳なく頭を下げる。
「借金は死ぬ気で何とかします」
「援助はしないけど、知恵なら貸してもいいかな。まあほんとうにどうしようもなくなったら、頼っていいよ」
トートが意外に逞しい胸を叩いてくれる。
「大丈夫。ヴァデルザでも、何とか」
ヴィルの言葉に、ノィユはぶんぶん首を振る。
「僕と両親で、絶対に何とかします! ヴィルにもヴァデルザ家にもネァルガ家にもご迷惑は決してお掛けしません!」
拳を握るノィユに、トートは微笑んだ。
「その心意気をうれしく思うよ。でも聞いてるとバチルタ家って借金を寄せ集める才能があるんじゃない? 酷いことになった時の保険にね」
不吉な予言にカタカタしてしまうノィユの背を、ヴィルが抱きしめてくれる。
「ノィユが、がんばるの、応援する」
「ありがとう、ヴィル。トートさま、エヴィさま」
「僕は何にも言ってないよ」
ふんと鼻を鳴らすエヴィに、微笑む。
「反対しないでくださったから。トートさまのお言葉を許してくださるということでしょう?」
ちょっと赤くなったエヴィが叫ぶ。
「援助はしないからな!」
「はい! 両親と一緒に、頑張ります!」
どうやって借金返すのかとかまだ全然ノープランなんだけど、気持ちだけは、死ぬ気で頑張る!
1,119
お気に入りに追加
3,496
あなたにおすすめの小説
【完結】ここで会ったが、十年目。
N2O
BL
帝国の第二皇子×不思議な力を持つ一族の長の息子(治癒術特化)
我が道を突き進む攻めに、ぶん回される受けのはなし。
(追記5/14 : お互いぶん回してますね。)
Special thanks
illustration by おのつく 様
X(旧Twitter) @__oc_t
※ご都合主義です。あしからず。
※素人作品です。ゆっくりと、温かな目でご覧ください。
※◎は視点が変わります。
竜王陛下、番う相手、間違えてますよ
てんつぶ
BL
大陸の支配者は竜人であるこの世界。
『我が国に暮らすサネリという夫婦から生まれしその長子は、竜王陛下の番いである』―――これが俺たちサネリ
姉弟が生まれたる数日前に、竜王を神と抱く神殿から発表されたお触れだ。
俺の双子の姉、ナージュは生まれる瞬間から竜王妃決定。すなわち勝ち組人生決定。 弟の俺はいつかかわいい奥さんをもらう日を夢みて、平凡な毎日を過ごしていた。 姉の嫁入りである18歳の誕生日、何故か俺のもとに竜王陛下がやってきた!? 王道ストーリー。竜王×凡人。
20230805 完結しましたので全て公開していきます。
祝福という名の厄介なモノがあるんですけど
野犬 猫兄
BL
魔導研究員のディルカには悩みがあった。
愛し愛される二人の証しとして、同じ場所に同じアザが発現するという『花祝紋』が独り身のディルカの身体にいつの間にか現れていたのだ。
それは女神の祝福とまでいわれるアザで、そんな大層なもの誰にも見せられるわけがない。
ディルカは、そんなアザがあるものだから、誰とも恋愛できずにいた。
イチャイチャ……イチャイチャしたいんですけど?!
□■
少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです!
完結しました。
応援していただきありがとうございます!
□■
第11回BL大賞では、ポイントを入れてくださった皆様、またお読みくださった皆様、どうもありがとうございましたm(__)m
悪役側のモブになっても推しを拝みたい。【完結】
瑳来
BL
大学生でホストでオタクの如月杏樹はホストの仕事をした帰り道、自分のお客に刺されてしまう。
そして、気がついたら自分の夢中になっていたBLゲームのモブキャラになっていた!
……ま、推しを拝めるからいっか! てな感じで、ほのぼのと生きていこうと心に決めたのであった。
ウィル様のおまけにて完結致しました。
長い間お付き合い頂きありがとうございました!
【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺
福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。
目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。
でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい…
……あれ…?
…やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ…
前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。
1万2000字前後です。
攻めのキャラがブレるし若干変態です。
無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形)
おまけ完結済み
噂の冷血公爵様は感情が全て顔に出るタイプでした。
春色悠
BL
多くの実力者を輩出したと云われる名門校【カナド学園】。
新入生としてその門を潜ったダンツ辺境伯家次男、ユーリスは転生者だった。
___まあ、残っている記憶など塵にも等しい程だったが。
ユーリスは兄と姉がいる為後継者として期待されていなかったが、二度目の人生の本人は冒険者にでもなろうかと気軽に考えていた。
しかし、ユーリスの運命は『冷血公爵』と名高いデンベル・フランネルとの出会いで全く思ってもいなかった方へと進みだす。
常に冷静沈着、実の父すら自身が公爵になる為に追い出したという冷酷非道、常に無表情で何を考えているのやらわからないデンベル___
「いやいやいやいや、全部顔に出てるんですけど…!!?」
ユーリスは思い出す。この世界は表情から全く感情を読み取ってくれないことを。いくら苦々しい表情をしていても誰も気づかなかったことを。
寡黙なだけで表情に全て感情の出ているデンベルは怖がられる度にこちらが悲しくなるほど落ち込み、ユーリスはついつい話しかけに行くことになる。
髪の毛の美しさで美醜が決まるというちょっと不思議な美醜観が加わる感情表現の複雑な世界で少し勘違いされながらの二人の行く末は!?
【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~
綾雅(要らない悪役令嬢1巻重版)
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」
洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。
子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。
人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。
「僕ね、セティのこと大好きだよ」
【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印)
【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ
【完結】2021/9/13
※2020/11/01 エブリスタ BLカテゴリー6位
※2021/09/09 エブリスタ、BLカテゴリー2位
【BL】こんな恋、したくなかった
のらねことすていぬ
BL
【貴族×貴族。明るい人気者×暗め引っ込み思案。】
人付き合いの苦手なルース(受け)は、貴族学校に居た頃からずっと人気者のギルバート(攻め)に恋をしていた。だけど彼はきらきらと輝く人気者で、この恋心はそっと己の中で葬り去るつもりだった。
ある日、彼が成り上がりの令嬢に恋をしていると聞く。苦しい気持ちを抑えつつ、二人の恋を応援しようとするルースだが……。
※ご都合主義、ハッピーエンド
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる