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ちっちゃいヴィル(Request)
しおりを挟む朝の光が降りてくる。
ネァルガ邸の寝台で、ぽふりといい匂いのするヴィルに抱きついたノィユは、首を傾げた。
「……ゔぃ、る……?」
ぽふ
ぽふ
ぽふ
「ちっちゃい──!」
跳びあがるノィユに、ぽやぽやヴィルのまぶたが開く。
「……のぃゆ……?」
声が高い! 幼い! ちっちゃい!
「かぁわぁいぃいいィィイイイ──!」
きゃ──!
ぱふりと抱きつくヴィルの背丈が、ノィユとおんなじくらいだ。
ちっちゃい!
かわいい!
3歳のヴィル──!
「きゃ──!」
熱々の頬でもだもだするノィユに、ばふんと枕が降ってくる。
「朝から、うーるーちゃーいー!」
もごもごしたエヴィが、まぶたを開ける。
ちっちゃなヴィルを瞳におさめて、絶叫した。
「きゃあぁあぁあァアァアアア──! お兄さまが、ちっちゃいぃいいイイイイイイ──!」
ノィユの10倍くらいの声量でした。
隣で寝てたトートが跳びあがってた。
びくんとふるえたヴィルが、自分の手を見つめてる。
「……ち、ちっちゃ、い……?」
「ヴィル、かぁわぁぃいいいい──!」
ぎゅう!
おんなじ背くらいだから、きゅうって抱っこできる!
「3歳のお兄さまを、この目で見られるなんて──!」
号泣しながらエヴィが拝んでる。
ノィユも一緒に拝んだ。
尊い。
「うひゃあ、これはこれはちいさなお義兄さまで」
3歳のヴィルのちっちゃな顔を覗き込むトートが、めちゃくちゃ楽しそうだ。
「なんか、これ、前もなかったっけ?」
首を傾げるトートにエヴィが頷く。
「あったね。間違いない」
伴侶を持っちゃったヴィルがくやしくて、いじわるなアレですね。
「ヴィル、かわいーかわいーかわいーかわいーかわいー!」
ぎゅうぎゅう抱きしめて、ちゅっちゅしちゃう!
「……の、ノィユ……」
耳まで真っ赤なヴィルのほっぺが、ふにふにだよ!
「はぅあ──! ヴィル、だいすきぃいい!」
ちゅう!
ぽふん!
ちっちゃく噴火したヴィルが、とびきりかわいー!
「く──! な、何回ちゅうすれば気が済むんだ、このえろ3歳児め──!」
エヴィが真っ赤な顔でもだもだしてる。
「……エヴィもさせてもらったら……?」
トートが泣きながら勧めてる。
「いやそれは犯罪の匂いしかしないので!」
首まで真っ赤なのに自制できるエヴィがすごい。
「これ戻るのかな? 伺うためにも王宮に行ってみる?」
ちっちゃなヴィルの頭を、とてもうれしそうにトートがなでなでしてる。
「戻らなくてもいいなあ、かわいー、お義兄さま」
「一緒に歳とれるね、ヴィル!」
きゅう
抱きついたら、こくんと頷いたヴィルが
きゅう
抱っこしてくれる。
「か──わ──い──い──!」
ノィユとエヴィの二重奏に、顔を出したロダがちっちゃくなったヴィルに跳びあがった。
「3歳に戻られましたか!」
「……いや、たぶん、いじわる……」
「なんと愛らしい!」
ロダにもぎゅうぎゅうされたヴィルが、真っ赤な頬で照れ照れしてる。
尊い。
いちおう戻るのか聞きに王宮に行ってみました!
「な、ななななななんだこの可愛くてたまらない子は──! そ、そうか、ノィユに振られた俺に遣わしてくださった天使なのだな! よし、きみを伴侶にしよう!」
拳を握るザファ王太子殿下に、ヴィルはふるふる首を振る。
「伴侶、いる、から。だめ」
「……………………え………………?」
「僕が、ヴィルの、伴侶です!」
胸を張るノィユとヴィルを見比べたザファがあんぐりしてる。
「………………………………え…………………………?」
二度目の恋が、砕け散ったザファが、泣いてる。
ご、ごめんなさい!
でもヴィルは、僕の、伴侶です!
「ご、ごめんよ、ザファ、振られ遺伝子が強固すぎて!」
「俺とアォナで倍増してるんじゃないかな……」
王配殿下と陛下が申し訳なさそうに眉をさげてた。
「一日で戻るから、今日一日、ちっちゃいヴィルをめいっぱい楽しんでね!」
笑顔で手を振ってくれた。
ぎゅうぎゅう抱っこして、ちゅっちゅ攻撃をしまくりにしまくりました。
首まで真っ赤なちっちゃなヴィルが、とってもとってもとってもとっても、かわいかったです!
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読んでくださって、ありがとうございます!
煌様のリクエストで、ヴィル幼児化してお揃いになるお話でした!
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