【完結】最愛の推しを殺すモブに転生したので、全力で救いたい!

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要開発?*

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 唇が、重なる。

 吐息が、とろける。


 熱が、濡れた舌が、吐息が、すがる指が、からまりあって、熔けてゆく。



 深く、深く、口づけたら。

 指をからめて、抱きしめたら。


 畏れ多いとか、世界一むかつくモブなのにとか、42年清らかだった、友達ひとりもいないおじさんなのにとか、さみしい涙がこぼれることが、あまい涙に変わってゆく。


「レトゥリアーレ、さま……」

 ささやいたら、レトゥリアーレは僕の頬を、やさしく撫でた。


「私がルルと名づけたように、ルルだけの名を、私につけて」

 繋がる指に、やさしい瞳に、零れ落ちる銀糸の髪に、そっと指をすべらせて、最愛の推しを見あげる。


 僕だけの、レトゥリアーレの名。

 僕だけが呼ぶ、あなたの名。


「……レリア」

 囁いたら、透きとおる蒼の瞳を細めて、レトゥリアーレがとろけるように笑ってくれる。


「ルルだけの、私の名」


 絡まる指先に、レトゥリアーレが口づける。



「……れりあ」

 燃える耳で囁いて、抱きしめる。


 重なる唇に、からまる舌に、濡れた粘膜のとろけるやわらかさと、甘い恍惚に夢中になる僕の肌を、レトゥリアーレの指が辿りゆく。

 うなじから胸へ、脇腹から太ももへ、肌に直接ふれる指の熱に、息をのむ。


 血濡れた僕のローブが、剥ぎ取られる。

 恥ずかしいとか、みっともないとか、中身はおじさんなのにごめんなさいとか、封じるみたいに、抱きしめられた。


「ルル」


 あなたが、抱きしめて、名を呼んでくれる。

 それだけで。



 愛しいとか、切ないとか、くるしいとか、傍にいたいとか。

 思いがあふれて。

 何も、言葉にならなくて。


 ふるえる指で、レトゥリアーレの指を握る。



「ルル」

 滲む涙に口づけて、零れる吐息をさらったレトゥリアーレが、僕につけた名を呼んでくれる。


「レリア」

 僕だけの名を呼んだら、重なる唇が、熔けた。



「……ん、ふぁ……ん……んっ……」


 長い指が、僕の乳首を摘みあげる。



 ……………………。


 正直に言います!
 僕、前世は後ろも前も清らかさんで、今世ほんとは赤ちゃんなので!
 いやいやいや、合法な18歳ですよ、でも経験値がありません……!
 なので、正直に申しあげます!


 ぜんっぜん! 気持ちよくないです!
 ちょっと敏感ぽい皮膚を抓まれてるかんじ。

 ぐにぐに。
 ふつう。

 僕、後ろも前も清らかだったけど、42歳だったから、めちゃくちゃいっぱいR指定のBLのオンライン小説を読みまくってたよ。

 乳首でイっちゃう♡ とか定番だったよ!
 大すきだったよ!


 ……でもあの、実際、全然気持ちよくないんですけど。

 ぐにぐに。


 え、みんなほんとに気持ちいいの?
 攻が頑張ってるから、いちおう喘いどこっかー、の演技じゃなくて?
 もしかして、要開発?

 え、レトゥリアーレが僕の乳首を開発してくれるとか、想像するだけで暴発する──!


「……あ……レリア──!」

 あわあわして、レトゥリアーレの手を止めたら、ちいさく笑ったレトゥリアーレが、僕の乳首に口づけた。

 カリ、と甘噛みする白い歯に、カラダがふるえる。


「ぁ、や──!」


 視覚の暴力────!!!

 待って待って待って、壮絶美貌の最愛の推しレトゥリアーレさまが、ぼぼぼぼぼぼぼ僕のちち乳首を、か噛んでる──────!!


 推しのいる方、ちょっと想像してみてください。

 最愛の推し、超絶美貌の推し、何もかもが尊い推しが、自分に口づけて、抱きしめて、その麗しの唇で、自分の乳首を噛んでると。


 快感じゃない。
 視覚でイける。


「ま、待って待って待って、レリア────……!」

「気持ちいい?」

 僕の乳首のうえで、くすくす笑うレトゥリアーレの唇が、濡れていて、それだけでほんとに暴発する。


 白い歯が、僕の乳首を、やわらかに噛んだ。


「あぁ──……!」

 ビクビクふるえた僕は、今世で初めての精を吐き出した。

 僕の噴きあげた白濁が、レトゥリアーレの艶やかな肌を、汚してる。


「ご、ごめ、なさ──!」

 耳まで燃えて、顔を覆う僕の耳朶に、レトゥリアーレは囁いた。


「乳首でイっちゃったね。
 かわいい、ルル」


 なでなでして、ちゅっちゅしてくれるのは、うれしいのですががががが!!



 全力で違います!!

 レトゥリアーレが、えろくてイった!!



 とか恥ずかしくて言えないよ!!



「ふえぇええ!」











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