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たすけ来た!

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「うわ──ん!
 たすけて、ゾイ!」

「はあ!?
 時間外労働! 就業規定にない労働! 暗黒反対!」

 断られた!
 当たり前だ!


「ふぇえ」

 お米と鍋を前に泣いていたら、ちいさな笑い声が降ってきた。


「手伝おうか」

 やわらかな声に、顔をあげたら、金の髪がさらさら揺れる。


「……アル」

 ふうわり、アルフォリアが笑う。


「呼んでくれた」

 とろけたかんばせは、すぐに悲痛に歪んだ。


「……この間は、ひどいことして、ほんとにごめん」

 深々と頭をさげるアルフォリアに、頷いた。


「怖かったし、苦しかった。
 他の人にも、あんなことしないで」

 アルフォリアは、拳を握る。


「……俺たちは……行動を制御されてる。
 思うとおりのことが言えないし、思うとおりに振る舞えない。
 リユィと一緒にいたら大丈夫かと思ったのに、違ってた」

 苦しい声に、頷いた。


「強制力?」

「……おそらく」

 アルフォリアは、唇を噛み締める。


「あんなこと、死んだってしたくなかった。
 なのに俺の身体も口も、勝手に動く。
 止められない。
 ……あの、ぴんくの髪の主人公に逢った時みたいに」

 ちいさな声に、俺は首を傾げる。


「でもこの間、レイトのこと無視してなかった?」

 ちょっと考えたアルフォリアは、目を瞠る。


「……そうだ。無視できた。
 そのことにさえ、気づけてない……?」

 握られたアルフォリアの拳が、ふるえてる。


「アルも、大変なんだね」

 俺を見つめたアルフォリアは、囁いた。


「……リユィも」

 俺は、アルフォリアを見あげる。


「あの後は、ぶつかられて、吹っ飛ばされて、やなこと言われるくらいかな」

 さいあくなのは、モブレだ!
 触手の産卵は回避できたっぽいから、一番やなのは、モブレ!

 後は、あれさえ回避できたらと思うのに、いじわるメーターは限界突破!
 たぶん、めちゃくちゃ危険だ。

 でも俺には伝家の宝刀、かあちゃんの折れる魔法と、ディーのたすけがある、はず!


「心配なのは、アルだよ。
 ちゃんと寝れてる?」

 碧の瞳を瞬いたアルフォリアは、笑った。


「寝てない。
 リユィはほんとに俺のこと、何でも知ってるんだね。
 俺が、何も言わなくても。
 それはなんだか、さみしい」

 目を伏せるアルフォリアに、あわあわする。

 そ、それはそうだ!
 自分でも秘密にしてることを、全然親しくない人が知ってたら仰け反るよね。
 きもちわるいよね!


「ご、ごめんなさい、アル。
 あの、わるぎはなくて……」

「解ってる」

 頷いたアルフォリアの瞳が、やわらかに細くなる。


「……リユィがアルって呼んでくれるの、うれしい。
 なにか、いいもののように聞こえる。
 ありがとう、リユィ」

 微笑むアルフォリアの瞳から、涙が落ちた。








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