【完結】残念な悪役の元王子に転生したので、何とかざまぁを回避したい!

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また吹っ飛んだ!

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 うんうん頷いてたら、

 ちゃちゃん、ちゃらん、ららん♪

 キォタナ魔法学園ののどかなチャイムが鳴った。


 実技の時間が終了し、下校時間になったらしい。
 校舎の方から鞄を持った生徒たちがやってきて、中でぴんくの髪が揺れる。


「わー、魔力最低クラスって、やっぱり魔法もしょっぽいね──。
 あ、ごめえん、ほんとのこと言っちゃったあ♡」

 きゃはきゃは笑う主人公レイトは、顔だけは可愛い。

 魔力最低クラスの皆の目は、氷だ。



「頭わるい、魔力最低のお前なんか、悪役にさえふさわしくないんだよ!」

 ど────ん!!

 ぶつかられた俺は、足を懸命に踏ん張ったけど、やっぱり吹っ飛んだ。


 …………おかしい。

 筋トレの効果が出てないよ、ディー!


「だいじょうぶ?」

 尻もちをついた俺に、心配そうに手を出してくれたのは、金の髪のアルフォリアだった。


「……あ、ごめん。
 俺にさわられたく、ないよね」

 アルフォリアがさみしげに目を伏せる。


「殿下──♡
 一緒に帰りましょ──♡」

 にこにこするレイトを、ちらりとも見ることなく、アルフォリアは背を向ける。


「なんっっで、お前のほうが声掛けられてるんだよ!!」

 尻もちをついたままの俺を蹴ろうとするレイトの足を、ジェミが片腕で止めた。


「それはあまりに酷いんじゃないか」

 隣のキーザも頷く。


「品性が、まるでないよね」

「お前に品性言われたくねえよ、下半身男め!!」

 ぴんくの髪を逆立てるレイトに、ちょっぴし同意してしまう俺。

 ごめんよ、キーザ!


 だって、キーザのふつうのエンドは、下半身ゆるゆるを改めて主人公一筋らぶらぶエンドだったけど、メリバエンドみたいなのは、キーザのハーレムの一員になるんだよ?

 キーザを取り囲む沢山の美少年のなかのひとりになって、美少年たちと一緒にキーザにご奉仕する。

 キーザにヤられるのを足を開いて待つ全裸の美少年たちのうちのひとりになるという、プレイヤーにとっては楽しい? 主人公にとっては多分厄災ルート! 


 あれを避けたいなら、多分キーザには近づかなそう。
 最初から、キーザへの物言い酷かったしな!

 たぶん、レイトはキーザを避けてる。


 避けられて、ちょっとキーザはうれしそうだけど!



「……この間は、本当にすまなかった」

「酷いことして、ごめんなさい」

 ジェミとキーザが謝ってくれるのにびっくりする暇もなく、レイトがぴんくの髪を逆立てる。


「ちょっと、何したわけ?
 そんなイベントなかったでしょ!?」

「お前には関係ない」

 ジェミに一刀両断されたレイトが、わーわーしている間に、傍に来たトエが俺を立たせて、お尻についた泥を払ってくれた。


「ほら、行くよ」

「う、うん。
 ありがとう、トエ」

 ちいさく笑ったトエと一緒に、鞄を取りに校舎へ戻ろうとしたら、ぴんくの髪がばさばさ揺れた。



「僕はお前を認めないからな────!!」



 拳を振りあげる主人公は、やっぱり可愛い。


 顔だけは!!







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読んでくださって、心からありがとうございます!

リユィとディゼの漫画です。もしよかったら!

漫画だよ!
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