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新しい任務だよ

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「イォ、だいじょうぶ?」

 床に座り込んだままのイォは、俺を見あげて、拗ねたみたいに目を伏せる。
 灰の尻尾が、ふさりと揺れた。


「すんごいの、ついてんだな」

「えへへ♡
『こら!』って言われるのうれしーから、ちょっと俺がだめなんだけど」

 笑う僕を、後ろからディーが、ぎゅうぎゅう抱きしめる。


「あ──も──かわい────!!」

「ディー、かこいー♡」

 きゅうきゅうディーに抱きつく僕に、イォもイヌタも、ターチもメファも、げんなりしたらしい。


「あ、後は余所でゆっくりやってちょうだい。
 絵を瓶に貼った試作品を持ってきてね。
 薬師組合と国とかけあってみるから!」

 ターチの言葉に、ディゼの腕から抜けた俺とメファがそろって頭をさげる。


「よろしくお願いします!」

「ちっちゃい精霊さんふたりで、か──わい♡」

「ちっちゃい言うな!」

 拳を掲げる俺に、ターチもイヌタもイォもディゼも顔を覆って、メファのチョップが降ってくる。


「ふあ!」

「ほら!!!
 僕は! ちっちゃく! ないですから!!」

 メファが俺の頭のてっぺんをチョップして、自分の背丈と比べて胸を張るのに、ターチもイヌタもイォもディゼも、お腹を抱えて笑った。


 たぶんね、目測ね、俺、138cmくらい。
 …………え、さば読んでる? 聞こえませ──ん──!

 メファ、150cmくらいだと思うな。
 12cmはでかいから、メファが憤慨する気持ちもわかるよ!


「リユィと一緒だと、僕までちっちゃい枠にされる!
 納得いかない!!」

 はちみつの髪をほわほわ揺らして、ぷりぷりするメファは、ちっちゃくて、かわい──♡


「ちっちゃいリユィに、任務だよ」

「ちっちゃい言うな!」

 ぷんすかする俺より、メファのがぷんすかしてる!


「このイォが描いてくれた、かわいー僕を、たくさん複製して瓶に貼りたい!
 が、しかし印刷魔道具は高額すぎて予算を遥かに上回るので、何とか解決策を見つけてください!
 以上です!」

 ぷりぷりしたままのメファに、任務をもらったよ!


 え、むつかし過ぎない?









 おんぼろ寮のちっちゃい俺の部屋で、ディゼが誇らしげに魔道具を掲げる。

「リユィのかあちゃんに、最強の防音魔法もらってきた!」

 今宵こそ防音魔法最強!

「たっぷりお仕置きできるな」

 にっこりするディゼに、♡の目になりかけた俺は、あわあわ手を挙げる。


「ディー、俺、筋トレしたい!」

「…………は?」

 俺は掲げた拳を握る。


「主人公に吹っ飛ばされない筋力をつけたい!」

「…………あー…………」

 爪先からつむじまで、俺の背丈を確かめるように見つめたディゼは頷いた。


「ちょっと無理?」

「ひでえ!
 や、やってみなきゃ、わかんねーだろ!」

 ちょっと涙目になった俺の頭を、ディゼの大きな掌が、わしゃわしゃ掻きまぜる。


「だな。
 じゃあ、してみよっか。お仕置きも兼ねて」


 にっこり、ディゼが笑う。


 な、なんか背筋が寒くなった気がするけど、気のせいかな。










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