【完結】残念な悪役の元王子に転生したので、何とかざまぁを回避したい!

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ディー強い♡

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 イォって確か、すきすきメーターある程度上がらないと名前で呼んでくれなくて、名前呼ばれると、ルート確定だった気が、す、る……??


 狼の牙をのぞかせて、イォが笑う。

「薬を売りに来る時は、連絡しな。
 俺が護衛してやる。
 下町の裏通りを、こんなちっちぇえかわいーのが歩いてたら、犯されるぞ」

「ちぇちぇえ言うな!」

 ……かわいーのはうれしいけど、犯されるんだな……

 さすがR18BLゲームの世界!

 何でもかんでも、危機はえろい。


 ふくれる俺を隣に、メファは頷く。

「街に出るなら、護衛は必要かなって思ってた。
 街で魔法ぶっ放すと、騎士団が殺到するんだよね」

 ………………。

 前、ぶっ放したんだな。

 メファ、めちゃくちゃかわいーからなあ♡
 狙われるのも大変だ!


「リユィもだからね?」

 きゅ、と上目遣いで、ふくれるメファは、かわい──!!


「??なにが?」

「かわいーのが」

 ぎゅ、と後ろからイォに抱き締められる。

 ちょっと犬っぽいような、あったかい、やさしい、いー匂いがした。


「イォ、いー匂いする」

「つがいの匂いじゃね?」

 くつくつ喉の奥でイォが笑う。

 狼みたいな、牙が剥かれる。
 俺の首に刺さる前に、降ってきた腕に抱き寄せられた。


「こ──ら──リユィ。
 お仕置きだな?」

「ディー♡」

 きゅう、とディゼの腕に抱きついたら、真っ赤になったディゼが叫ぶ。


「なんだその♡の顔は!
 お仕置きにならないだろ!!」

 ぎゅうぎゅう抱きしめられるとか、お仕置きとか、正しくご褒美♡ だよね?

 突然降ってきたディーと、とろけて笑う俺を指して、メファが笑う。


「そーゆー訳だから」

「……あぁ、そう」

 イォの声が、一段低くなる。


「まあ、寝首かかれねーよーに、がんばれ」

 にやりとイォが唇の端をあげた瞬間、ディーの身体から殺気が溢れた。


 ドォン────!!


 吹き飛んだイォに、ディーの唇が、うっすら笑みを描く。


「獣人が、魔族と闘えると、思ってるのか……?」


 ひそやかな声だった。

 ぐ、と唇を噛むイォを守るように、イヌタとターチが跳びあがる。


「そこまで!!」

「喧嘩はだめよー。余所でやってもだめ!!」

 ターチがムキムキの腕を腰にあてて、ディーは鼻を鳴らした。


「そっちが売ったんだ」

「……化け物だと思うかよ」

 吐き捨てたイォは、口のなかが少し切れたのかもしれない、凛々しい眉を顰めた。

 ディゼ、角と翼を魔法で隠したら、超絶かっこいー、長身のお兄さんだからね。
 ちょっと? 全然? ふつうじゃないと思うけど、人っぽいかも。


「思えよ。突然現れただろ」

 鼻を鳴らすディーに、メファが笑う。


「確かに。
 ディゼって気さくだから気を抜いちゃうけど、すんごいんだね」

 ふふんとディゼが逞しい胸を張る。


 何しても、ディゼはかっこいー♡



 強い魔族は殺気だけで、人間も獣人も吹っ飛ばせるからな。


 でも倒れたイォは、ちょっと心配だ。


 俺はぱたぱた、イォに駆け寄った。









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読んでくださって、心からありがとうございます!

リユィとディゼの漫画です。もしよかったら!

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