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イォルート?
しおりを挟む「ほんとに?」
イォを見あげるメファの瞳が、きらきらしてる!
食いつかれると思っていなかったらしい、灰の眉をあげたイォが頷く。
「エルフ印のえっちな薬、であんたの顔載せたら、最高に売れるんじゃね?」
俺はイォの隣でしっかり頷いた。
「爆売れ間違いなし」
「そ、そうかな」
メファが頬に手をやった。
はちみつの目が、ぎらぎらしてる。
「リユィも載せたら2倍?」
「かも?」
イォが笑って、メファに肩を掴まれた。
「薬一本売れたら、価格の2%をリユィにあげるから、瓶に顔を貼らせて!!」
「……え、いや、……えっちな薬の瓶に俺の顔……??
な、なんか、だめな気がする…………!」
かあちゃんと元魔王の親父が怒りそうな気がするんだけど!
ディゼも怒りそうなんだけど!
ぶすくれたメファは、ちょっと考えたらしい。
「う、うん。僕の顔がえっちな薬の瓶に貼られてるのも、物凄く怒られそうだ。
じゃあ、かわいいちいさな似顔絵にして貼ろう!
リユィ、絵描ける?」
「棒人間」
「え――――!!」
『使えない従業員め』の視線が刺さって、俺はふくれる。
「メファは?」
「糸人間」
隣でイォとイヌタとターチが吹き出して笑う。
「かーわいーの。
俺、絵、描けるよ」
「ほ、ほほほほほんと!?」
跳びあがる、目がきらきらのメファに、おかしそうにイォが頷く。
「こんな感じ」
ターチに紙とえんぴつを借りたイォが、メファの似顔絵を描いてくれる。
ちっちゃくデフォルメされた絵は、即商用にできそうなほど可愛かった。
「うわ! か――わ――い――――!!」
メファとふたりで、手をとりあって跳ねる。
イヌタもターチも、手をとりあって跳ねた。
赤くなったイォが、笑う。
「きもちわるいとか言われてたから。うれしー」
ちいさな微笑みに、俺の目が吊りあがる。
「レイト?」
目を瞬いたイォが、頷いた。
「……なんか、このゲームの主人公、やな感じ」
悪役の俺に言われるなんて、相当だぞ、レイト!!
思わず言っちゃった俺に、イォは目を見開いた。
「……げーむ。……主人公。
レイトが言ってた。
俺は主人公だ、王太子の伴侶になってやる、俺がこの国の、
世界の頂点に立ってやるって」
やっぱり主人公はアルフォリアルート、もしくはハーレムルート狙いだ。
「お前も、何か知ってんの」
「お前じゃなくて、リユィ」
ふくれたら、イォは喉の奥で笑った。
「リユィ」
やわらかに掠れた、甘い声が、俺を呼ぶ。
灰の尻尾がぱたりと揺れて、灰の瞳がひらめいた。
うお!
かっこいー!
なんだこのきらきら!
………………。
思い出したけど。
これ、イォルートに入った時に出る、甘いささやきと、ご褒美スチルじゃ
なかった……?
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