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森の奥には
しおりを挟む春は遠足、お弁当をつくるミニゲームがあって、極上をつくれると、すきすきメーター爆上がり、失敗をつくると、すきすきメーター爆下がり、すべての努力が泡となる、かなり厳しいイベントだった。
お気楽BLゲームなのに、イベントだけはちょっと難しかったなあ。
はー。
お弁当かー。
ディゼにつくる?
えへへへへ♡
顔が、崩れたんだと思う。
席に戻ってきた俺に、隣のトエが、肩を揺らして笑ってた。
授業は、頑張って受けた!
楽しい = 理解できる、じゃない気がするけど、頑張った!
ら、放課後!
バイトだよ!
らんらんスキップで、俺はメファの薬草苑へと向かう。
…………………………。
……もしかしなくても、俺、いろいろ古い?
なんか死語あったら、突っ込んでね!
俺、前世おじさんみたいだから。
小躍りって死語なんだって、学習したよ!
でも、やばいは、だいじょぶだと思うんだけど、死語なの?
泣いちゃう!
知ってる?
おじさんてさ、今流行ってる、今使われてると思って、死語使ってるんだよ。
痛いよ!
解らないあなたは、若いよ!!
ふんふんキォタナ学園のBGMを歌いつつ、俺はきらきらな校舎を抜けた北の奥にそびえる森に向かう。
この誰も来ない森のなかに、メファの秘密の薬草苑がある。
メファルートに入ると行けるようになるんだけど、俺は従業員だからね!
ふふんと胸を張りつつ、緑の樹々を覗き込む。
高く高く伸びた樹々と、ちいさな樹の下には、ふかふかそうな落ち葉が降り積もり、ときおり緑の草や白い花を覗かせた。
誰も通ったことがないような森のなかには、うっすらと獣道が通っている。
頑張る草花を踏まないように気をつけながら、俺はそうっと獣道を辿った。
たぶん、メファが歩いてできた、細い細い、ちいさな道だ。
薄暗い森の樹々の葉を透かして、ほのかに春の陽が射しこむ。
青く輝くとんぼが、そろそろ歩く俺の隣で、不思議そうに羽ばたいた。
前が急に、明るくなる。
「おお!」
密林のようだった森が、開ける。
ちいさな泉が、清らかな水を湛え、春の光をきらめかせた。
泉のうえには、深い森を切り取るように、真っ青な空がまるく広がった。
辺りには不思議な形をした緑の草が、たくさん生えている。
大気を吸いこむだけで、指先まで洗われる気がするほど、緑の香が濃い。
吹き渡る春の風に、ちいさな白い花が、ひらひら揺れた。
やってきた白い蝶が、花にとまり、また羽ばたいて、舞いあがる。
この緑の楽園が、メファの薬草苑だ。
きれいな泉が傍にあるから、水やりはちょっと楽かも。
ふんふん鼻歌で、ちいさな小屋を開けたら、
キシャアァアアア────!!
触手な魔物が現れた!
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