上 下
27 / 141

ディーのもの*

しおりを挟む



「ああもう、だから、そんな顔するな……!」

 尖った耳の先を紅くしたディゼが叫んで。
 俺は、ぎゅう、とディゼの手を握った。


「……ディーのおっきいの……嵌めて欲しい。
 ずっと、ずっと、して欲しかった」

 囁きを攫うように、抱き締められた。


 ぎゅう、とお尻を掴まれたら、

「ぁん……♡」

 甘えるような、悦びの声がこぼれた。

 ぴるんと♡の尻尾が揺れたのが解る。


「さわってい?」

 やさしく尻尾を撫でてくれるディゼに、熱い頬で首を振る。


「そ、そこは、だ、だめ……!」

「角は?」

「きゅ、急所だから……!」

 泣きだしそうな俺を抱きしめて、ディゼはちょっとつまらなそうに唇を尖らせた。


「唯一には、触らせるんじゃねえの?」

 ふくれるディゼに、俺は、かあちゃんから教えてもらったことを思い出す。


『魔族の角と、淫魔の尻尾。
 どちらも急所で、どちらも大切。
 大切な人にも、触らせちゃいけないよ』

 やさしいのに、いかめしい声が、今も俺の頭の奥で響く。


『リユィが、リユィじゃなくなるから』

 かあちゃんの、真っ直ぐな、紫の瞳を思い出す。


「俺が、俺じゃなくなっちゃうんだって。
 だから、だめ。
 ごめんね、ディー」

 ぎゅう、と抱きついたら、鼻を鳴らしたディゼが抱きしめてくれる。


「じゃあ、他のとこ、可愛がる」

 ぎゅ、とお尻を掴まれたら、


「あんっ♡」

 こぼれるのはやっぱり、悦びの声だ。


 は、はずかし……!
 期待してます♡ えっちしてして♡ なの丸バレだ────!!


 毎晩、俺のお尻を弄っていたから、ディゼは、俺のどこが気持ちいいのか、俺のお尻がどれくらい広がるか、全部知ってる。

「……濡れてる」

 熱い吐息で囁かれて、ビクンと震えた俺は、ディゼに縋る。


「……って、……入れて、欲しぃ……」

「ああもう、煽るな!」

 真っ赤な顔でディゼが叫んで、懐からえっちなオイルの入った小瓶を取り出した。

 淫魔の俺のお付きだったから、ディゼはいつでも俺にえっちなことができるように、えっちオイルを常備させられてたんだよ! かわいそうに……!!


「……ごめん」

 しおしお悄気たら、ディゼのおっきい手が、俺の頭をぐしゃぐしゃ掻き混ぜた。


「責任とって、俺のになれ」

 唇の端をあげて、ディゼが笑う。


「ご褒美が過ぎる……!」

 ディゼに抱きついて泣いたら、くちゅりとディゼの指が、俺のお尻のなかに入った。

「……ぁ……♡」

「泣いて、やめてって言っても、やめらんねえぞ?」

 くちゅくちゅ、俺のお尻を弄る指に、いつもみたいに、甘えるように腰を振りながら、ディゼのうなじに腕を回す。


「あ、ぁん……♡
 い、言わない、もん……!」

 ぎゅうう、と抱きついたら、ディゼが、可愛くてたまらないものを見るかのように、やわらかに目を細めて笑ってくれる。

 ちゅ、と唇が重なって、離れる。
 甘えるように追いかけたら、ふに、と唇に指をあてられた。


「ん……ふ……♡」

 唇を開いて、いつもみたいに、ディゼの指を嘗める。

 ディゼの指は、どこを擦ると俺がきゅんきゅんしちゃうのか、全部知っていて、やわらかに、舌を、口蓋のうえを、やさしくいじめてくれる。


「んん……ぁ、んぅ♡」


 ぴちゃり、くちゅり、甘えるようにディゼの指を噛んだら、喉の奥でディゼが笑った。

「嘘だったら、何してくれる?」

 ディゼの囁きに、俺はうっとり、ディゼを見あげる。


「何でも、ご奉仕する。
 ……俺には、ご褒美だけど」

 そっと、ディゼのに、服のうえから触れる。

 ビクリと微かに、ディゼがふるえた。




 熱くて、おっきくなってる。


 俺の、せいで……?


 思うだけで、どきどきする。









しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生令息は冒険者を目指す!?

葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。  救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。  再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。  異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!  とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A

異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします。……やっぱり狙われちゃう感じ?

み馬
BL
※ 完結しました。お読みくださった方々、誠にありがとうございました! 志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。 わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!? これは、とある加護を受けた8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。 おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。 ※ 独自設定、造語、下ネタあり。出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。 ★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★ ★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

僕の策略は婚約者に通じるか

BL
侯爵令息✕伯爵令息。大好きな婚約者が「我慢、無駄、仮面」と話しているところを聞いてしまった。ああそれなら僕はいなくならねば。婚約は解消してもらって彼を自由にしてあげないと。すべてを忘れて逃げようと画策する話。 フリードリヒ・リーネント✕ユストゥス・バルテン ※他サイト投稿済です ※攻視点があります

【完結済】(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。

キノア9g
BL
完結済。騎士エリオット視点を含め全10話(エリオット視点2話と主人公視点8話構成) エロなし。騎士×妖精 ※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。 気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。 木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。 色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。 ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。 捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。 彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。 少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──? いいねありがとうございます!励みになります。

精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる

風見鶏ーKazamidoriー
BL
 秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。  ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。 ※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。

攻略対象5の俺が攻略対象1の婚約者になってました

白兪
BL
前世で妹がプレイしていた乙女ゲーム「君とユニバース」に転生してしまったアース。 攻略対象者ってことはイケメンだし将来も安泰じゃん!と喜ぶが、アースは人気最下位キャラ。あんまりパッとするところがないアースだが、気がついたら王太子の婚約者になっていた…。 なんとか友達に戻ろうとする主人公と離そうとしない激甘王太子の攻防はいかに!? ゆっくり書き進めていこうと思います。拙い文章ですが最後まで読んでいただけると嬉しいです。

【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺

福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。 目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。 でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい… ……あれ…? …やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ… 前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。 1万2000字前後です。 攻めのキャラがブレるし若干変態です。 無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形) おまけ完結済み

悪役令息に転生したのでそのまま悪役令息でいこうと思います

マンゴー山田
BL
『君に幸あれ!-セントアリュウス学園-』というタイトルの18禁BLゲーの悪役令息、レイジス・ユアソーンに転生してしまった僕。 おかしい。僕はこのゲームをプレイした覚えはないというのに…。 だが転生してしまったのならしょうがない!前世の記憶を思い出したからには全力で悪役を楽しむぞー! 当然、怪我とか迷惑がかかるようないじわるはしないけどね!  ※注意事項がある話に※マークを付けました。こちらのマークがある場合は必ず読む前のご注意をお読みください。 ※小説家になろうさんでも公開しております。 ※小説家になろうさんにてこちらの作品のTwitterまとめが置いてあります。(Twitterまとめは量が多いのでこちらでは公開しません)

処理中です...