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やらかしました……
しおりを挟むハゥザ学園長の主人公に対する塩対応に、茫然としてるキーアの衣の裾を、ネィトがひく。
「きーちゃん、闇の魔法、自主練、してみる?」
小首をかしげるネィトの、トマがブラッシングしてくれた闇の髪が、さらさらしてる。かわいい。
さすが主人公と戦える、ハイスペック悪役令息!
主人公マェラが、きゅるきゅる♡攻撃を繰りだしてるのだとしたら
悪役令息ネィトは、きらきら✨☆攻撃な気がする。
可愛い系 VS きれい系?
エフェクトとしては?
見た目はどっちも、かわいーよ!
でもちょっとネィトのほうが、まなじりがきつめで、闇の髪に紫苑の瞳なので、きれいっぽく見えるんだよね。
前のキーアが大すきなのは、ネィトです。
紀太は、主人公としてプレイしてたから主人公びいきだったんだけど、前のキーアと一緒になっちゃったら、ネィトかわいい! ってなってきたよ。
「きーちゃん?」
ネィトがふしぎそうに、反対側に小首をかしげてる。
かわいい。
じゃなかった、授業中でした!
「自主練かあ。じゃあ、ネィトが魔法を使うところ見せてくれる? 勉強になるかも!」
たぶん、感覚派なネィトの魔法は『すげー!』で終わると思うけど、いちおうね!
ゲームで見たままの魔法なのか、知りたいよ!
「うん!」
ふわふわ紅いほっぺで、闇の魔力を解放しようとするネィトを、ハゥザが止めた。
「きみ、ちょっとキーアに、なれなれしいんじゃない?」
『なでなでして』って言った、あなたが言う!?
びっくりするキーアの隣で跳びあがったネィトが、ぎゅっとキーアの手を握る。
「きーちゃんは、僕の伴侶です!」
ぷるぷるしてる。
ラスボスなハゥザ殿下に立ち向かえるネィトが、すごい!
拍手しそうになって、あわてて止まった。
「(予定)ね」
訂正してみました。
ぷっくりネィトがふくれてる。かわいい。
「………………うそ」
ぽかんとハゥザが口を開けて、ルゥイを振りかえる。
「……まあ、うん。母に言って、正式な記録を確認したけど、キーアが5歳のときに伴侶(予定)契約が結ばれてるから、もう10年だね」
「えへん」
ちっちゃな胸を張るネィトが、かわいい。
「……ふーん、そうなんだ……♡」
………………え。
ちょっと、ハゥザ殿下の目の輝きが、あやしくなったんですが──!
「叔父上、人のものを奪うの、大すきだから……」
ルゥイの目が遠くなる。
「ぎゃ──! 俺はまだ(予定)ですから!」
あわあわルゥイの後ろに隠れたら、ハゥザがにっこり笑った。
「たのしみが増えたよ」
とろけるようにあまい笑みを浮かべないでください──!
こ わ い──!
カタカタするキーアと、ぷるぷるするネィトのうえから、真っ暗なローブの人が降ってくる。
「うわあ。またハゥザが魔の手を伸ばしてる」
忌まわしそうにため息をつく魔法使いに、ハゥザはふんと鼻を鳴らした。
「僕の純粋な気持ちが、どうしてわからないかな」
「わかりたくないから」
「なるほど」
わかりあってる!
目深に顔を覆う真っ暗なフードをばさりとあげると、つややかな闇の長い髪が流れる。
けぶるように長いまつげが、深淵を映すような闇の瞳を彩った。
キーアよりほんのすこし小さな少年の華奢な手足が、真っ暗なローブのなかで泳いでる。
息がとまるほど愛くるしいかんばせに、キーアは目を瞠る。
時空を超えるとも謳われる、魔法科の隠しキャラ、フィリ・メディさまだ──!
ルゥイの若葉の瞳がまるくなる。
「伯父上、お久しぶりです。相変わらずご健勝そうで、何よりです」
微笑むルゥイに、その場にいた、キーアを除く全員が仰け反った。
そう、主人公とも戦えるような愛くるしいかんばせ、どう見ても同い年、もしくは年下にしか見えないフィリは、ルゥイ殿下のおとうさんの、お兄さんなんだな!
間違いなく時空を超えてる。
「えぇえぇえ──!」
皆の驚愕の声を気持ちよさそうに受けたフィリは、微笑んだ。
「今日も僕の愛らしさが輝いていて、うれしいよ。
ひとりだけ、僕に驚嘆してない子がいるのが不服だけど」
顔を覗きこまれたキーアは跳びあがる。
「いえ! あまりの愛らしさにびっくりして止まってしまっただけです。フィリさまはロデア大公国で一番お可愛らしいと思います!」
あわあわよいしょするキーアに、フィリの闇の瞳が細くなる。
「……へぇ。僕の名前を知ってるんだね」
可愛らしい声が、低くなる。
BLゲーム知ってるよチートじゃなくて、マイナス補正──!
また、やらかしたみたいです……
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インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画
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