万能ドッペルゲンガーに転生したらしい俺はエルフに拾われる〜エルフと共に旅をしながらドッペルゲンガーとしての仕事を行い、最強へと至る〜

ネリムZ

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アンデッドの国

プレイヤー

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 絶対に無理だと、大切な子からはっきりとそう言われた。
 確かに、不可能に近い事かもしれない。
 だけど、俺ならなんとか出来るかもしれない。
 しかし、彼女がそれを望んでないように見える。
 この惨劇を引き起こしたのに手を貸して、その罪に押しつぶされそうになっている気がする。

「おやおや。まさかまた人間か? プレイヤーは俺以外全員人間なのか?」

「「「ッ!」」」

 不意に現れた膨大な魔力。
 上を見上げればマントを羽織ったスケルトンが佇んでいた。
 空を飛ぶスケルトン、変身先を見たら“デッドロード”と言う種族だった。

「デッド、ロード」

「お? なんだ。まさか俺の種族を見ただけで看破したんか? なかなかやるやんか。リーシア、そこのエルフを殺せ」

 リーシアの瞳が赤く発光して、ヒスイに襲い掛かる。
 短剣を引き抜いて防ぎ、遠くに向かって一緒に吹き飛んで行く。

「ヒスイ!」

「おっと。お前は俺だ」

「⋯⋯」

 放たれた炎の球体を回避した。

「へー。ヘルフレイム。なかなかの威力やんけ」

 ヘルフレイム⋯⋯その魔法は周囲の家屋を巻き込んで破壊した。
 灼熱の業火で焼き払い、地形を変更する。
 しかもそれは火災となり、さらに周囲を燃やして行く。
 一撃の威力が高い。だけど、そこには確実に手加減が含まれている。

「お前、プレイヤーとか言ってたな。もしかして、転生者か!」

「ああ。そうや。お前も同じプレイヤーやろ」

「知らん」

 そんなゲームみたいな事言ってるなんて、馬鹿なのか?
 ここは現実だ。ゲームじゃない。

「何か言いたそうやな。⋯⋯元日本人なのにこんな事出来るのかって聞きたいんか? 可能や。そもそも人間が⋯⋯」

「興味無い。ここの人間が死のうがな⋯⋯だが、リーシアを苦しめた事は許せない」

 真っ黒な骨をしているデッドロード。
 そいつには肉がないから表情が分からない⋯⋯だけど、何故か笑っている気がした。

「正義ぶってのんかぁ? 奴の知り合いかなんだか知らんがなぁ。俺は使えるもんは使う! あのエルフも、お前も使ってやるよ!」

 こいつの言葉には嘘は無かった。
 だからこそ、俺はキレた。

「使うと言う事はアンデッドにするって事だよな?」

「当たり前だろ?」

「なら、一度殺すのか?」

「かもな?」

「そうか」

 なら、お前は殺すべき敵だ。

 そう判断した俺のスピードには躊躇いもなく速い。
 先程の威力を見るからに魔法が主な武器だ。
 だったらその発動が出来ない状態で戦えば良い。
 相手の懐に入り、拳を突き出す。骨如き、これで砕けると思った。

 ドンっ! そんな鈍い音が空気を激しく揺らしながら鳴り響いた。
 だが、相手の骨には一切の傷が無かった。

「今、何かしたか?」

「まじかよ」

 傷一つつかないのか。
 人間の体でも身体能力はかなり上昇している。
 だと言うのに、相手の体にダメージを与えられなかった。

「反撃やで!」

 そして、相手は拳を突き出して来た。
 それには水が纏っており、突き出しと同時に伸びる。
 地形を抉りながら進む水圧に空を飛んで抜け出す。

「なんや翼か!」

「お前、もしかして⋯⋯」

「こちとら、遠近両用や!」

「ちくしょう」

 拳をドラゴンの鱗にして突き進む。
 ジャンプした相手と拳を衝突し合う。
 鱗にヒビが入る。炎を纏った相手の拳の方が強かったらしい。
 そのまま回転して俺を蹴飛ばす。

 空気を切り裂きながら地面に衝突してクレーターを作り出す。
 激しい衝撃が全身を巡る。飛行機から重りを持って落ちたみたいだ。

「なんやこの程度か。ま、人間のプレイヤーは対して強くないけどなぁ。レベルはいくつや?」

「レベル? ふざけているのか。ここはゲームじゃない。現実だ! プレイヤーだのレベルなど、そんな概念はない!」

「⋯⋯お前、バカか? ここはゲームだよ。そして俺達は駒だ! ステータスを見ただろ? プレイヤーはプレイヤーと戦って殺し合い、神々を喜ばせる。その為にこの世界に来てるんや! 最高やで! 殺しても何とも思わない。誰かに咎められる事も無い。自由や!」

「何が自由だ。何がゲームだ。何が神だ!」

 そんなモノの為に、あのような姿にリーシアを変えたと言うのか。
 そんなの、許せない。

 正直、俺も人間が死のうが殺そうがなんとも思わない。
 既に二人殺しているし。
 でも、俺は自分を大切にしてくれた人達は助けたいって守りたいって思う。
 俺は自分勝手だ。

「違うか。俺も自由だ。自由に怒って、自由に戦う」

「せや! ここは自由! そしてお前はその自由を俺に捧げる! ボンボヤージュや!」

 俺の額から二本の角が生え、尻から尻尾が生える。
 背中から四本の翼が生え、手足が鱗に早変わり。
 爪は鋭く伸び、心臓などを守る場所が鱗に変わる。
 マントは服に変わる。

「龍人スタイル」

 そのまま相手に向かって突き進む。
 デッドロード、死の王。
 その名に相応しい性能を持っているが、勝てない相手ではない。
 魔力を右手に込めて、それを突き出す。

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!」

「【発勁】」

 さらにチャクラを込めた。
 その拳は炎の拳を易々と弾いた。

「なに!」

 驚いた相手を無視して重心を前に倒し、懐に入り込んで顎に向かってアッパーを放つ。
 その時に腕がゴリラ⋯⋯いや、本物のドラゴンのように膨れ上がった。
 当然火力が上がり、それは時速100キロを超えたトラック並のダメージが出る。

「それは危険やな」

「ちぃ」

 しかし、反対の手を間に挟まれて塞がれた。
 しかも膝の打ち込みが俺の腹に入る。

「くっ」

「ほう。我慢強いの!」

「ああああ!」

 さらにその膝に魔法が込められる。
 それは灼熱の痛みを与えて来た。そう、痛みだ。
 普段痛みを感じない俺に明確な痛みを与えて来たのだ。

「吹き飛べや!」

 さらに風の魔法で俺は後ろに吹き飛び、何回も地面をバウンドした。

「この程度か?」

「まだ、まだまだ!」

 俺はゆっくりと立ち上がり傷を再生させる。
 体術に優れて、魔法にも優れているって、魔物として優秀だ。
 だけど、俺は人間じゃない。ドッペルゲンガーだ。

「その龍化の術、弱点はどんどんと魔力を減らす事や」

「お前は魔力を感じる取る事も見る事も出来ないのか?」

「そんな基礎、出来るに決まってるやろ?」

 そして俺の事をまじまじと見る。

「あぁん? そう言えば、変な魔力だよなぁ。それに量も」

 俺は悪魔と話した。
 色々な情報を得た。
 そして、魔性としての純粋な魔力を得たらしかった。
 魔界のエネルギーは本来悪魔にしか扱えない。
 だが、悪魔に成れる俺だから使える。

「純粋魔力はこの世の魔力とは圧倒的に質が違う」

「あん?」

「この世界は不純物だらけだ。⋯⋯デッドロード。俺の魔法、受けてみろよ!」

【詠唱破棄】【創造魔法】【自由魔法】【魔力完全制御】【魔法火力強化】【魔力親和】などの魔法に関する幅広い優秀なスキル。
 お陰で今までの努力が水の泡⋯⋯いや、努力があったからこそ魔法の練度は高いのかもしれない。

 さらに今から俺は精神生命体になる。これにより物理攻撃無能だ。
 さらに【始祖化】と言う憤怒の悪魔のスキルを発動する。
 どす黒いオーラを纏い、龍人の特徴部分が漆黒に染まる。

「なんや、その姿」

「お前のパッシブスキルは優秀だな。お陰様で、俺の魔法はお前に並ぶ!」

 さぁ、受けてみろよ!
 殆どお前のスキルで強化された魔法攻撃をなぁ!
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