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二章 獣王国
逃げれば勝ち
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「それでヒルデ殿、例の件は順調かな?」
「勿論ですよ。我に失敗はない」
夕飯の前の時間、各国の王達と密会を行うヒルデ。
「にしても、わざわざ料理にまで毒を仕込ませる必要は無いのでは無いか?」
「いや。ワインに入れた毒がバレてしまう可能性があるし、それで解毒される可能性もある。毎日の食事の時間の料理に毒を仕込む」
「念入りですね」
「ええ。ミスは許されない。あの獣共は脳筋の集まりですからね。少しのミスですーぐに力を振るう」
「間違いない。⋯⋯こちらは金をお渡ししました」
他の国は毒や食料。自分がどのようにヒルデに手を貸したのかを宣言していく。
それを聞いてうんうんと軽く頷くヒルデ。
「勿論分かっているよ。獣王国の獣共を全員奴隷にした暁には、奴隷を数十個お渡ししますよ」
戦いの道具や夜の道具など、平等に手に入れた奴隷達を個として提出する約束をしていた。
獣人の身体能力は最前線で戦わせるのも良いし、肉の壁としても優秀である。
故に獣人は奴隷として重宝される。
対してエルフは美形が多いので、性奴隷として扱われる事が多い。
それが外道行為と言われようとも、この場所、この世界ではそれは常識的な普通な事である。
奴隷だった経験を持つ亜人も多いのが現実だ。
「にしても、何故わざわざ全ての奴隷を解放したのですか?」
「まずは信頼を築かないといけないんですよ。信頼された方が仕事は楽ですよ」
「いやはや。それも行えるのも、貴公の騎士達の質が高いからだな」
「それはあるな」
そして、密会は長らく行われた。
きっとこの会話を獣王国の誰かが聞いていたら怒髪天を突いていた事だろう。
だが、偶然にも今の時間は全ての騎士は外に出ていた。
本当に、偶然タイミングが合った時に密会は行われていた。
◆
豪華な晩御飯に舌鼓を打つ。
ヒルデ王の気遣いにより、騎士達も同じ食卓で食事を食べている。
数が多いので、ヒスイ、ルー、ビャ、外交官だけではある。
他は他の場所で食事を食べている筈だ。
ワインの方にも毒がある感じはなかった。スープは熱いので、俺以外は後回しにしていた。
獣人が苦手意識あるのは分かるが、エルフのヒスイまで猫舌だとは思わなかった。
「どうですかこの国は?」
「良いですね。何よりも綺麗です。清潔感があって」
技術力の高さもそうだが、本当に綺麗なのだ。
具体的な例は言い難いのはあるが、日本で言うなら田舎だろうか?
都会のようにそこら辺にポイ捨てをされている感じがなかった。
「ええ当然ですよ。汚いと病気になりやすい。清潔は健康に直結します」
きちんと見た訳では無いが、色々な店も見た。
品の並べ方も綺麗だし、街中にはアンケートを集める箱まであった。
国民に寄り添って国を運営する⋯⋯民主主義の気配を漂わせていた。
「今後の発展の為に、ガラス職人の元で数名修行させたいと思います」
「それはいい事ですね。我々も刀鍛冶の方に弟子をとって頂きたい」
刀は素早く斬るのが得意な武器だ。刃が片方しかないのが一番分かりやすい特徴かもしれないけど。
しかし、この世界で広がっている剣は刀ではなく両側に刃がある叩き斬る形の武器である。
それに刀には独自の技術が使われている。
「そうですね。米や餅を食べる人種が増える事も願っております」
「ええ。勿論増えますよ」
食べた事ないだろうに、良く言えたモンだな。
「今度はこちらがヒルデ様をご招待したいと思っております」
「おお! それはありがたい。その際は是非とも、足を運ばせて頂きます」
「その時は国でお祭り騒ぎですね。おもてなし致します」
「楽しみですな」
「ええ」
ヒルデ王の家族達も微笑む。
今更だが、この人にもきちんと娘と息子がいるらしい。
どこかつまらなそうな顔をしているが。
きちんと上辺だけの作り笑顔は出来るようだ。
この会話に本音がどれだけ入っているのかは、正直考えたくないな。
それから時間が進んで皆が眠った頃、俺は外に出ていた。
同盟の内容に不備はなかった。あのまま進めて問題ないだろう。
その事はきちんと王妃の方に伝えてある。
俺は人間の姿で外を歩く。
本当に綺麗だ。家々の隙間から流れる風すら心地よく感じる。
日本で言うならここは都会だ。
コンクリートやレンガの耐久性に優れた家。
それだけじゃない。この国の文明の高さは色んな所に出ている。
それはドッペルゲンガーとしての観察眼が見抜いている。
耐震性も優れているのだ。
日本と比べたら当然低い耐震性だが、最初に入国した国の家よりも地震に強いのは確かだ。
近くに大きな川がある訳でも、山がある訳でもない。
自然災害が多いとは思えない。ま、素人の考えだけどね。
もしかしたら、この国は大昔から地震が良くあったのかもしれない。
段差は少なく、階段も少ない。
バリアフリーの実現もしているようだ。
自動ドアはギルドなどにはあった。魔力を感知して開くようだ。
車椅子や介護、障害者への理解も進んでいるように見える。
さらに窓。
ガラスの普及は素晴らしい。しかも、これには防音性も含まれている。
この国の技術の高さは見惚れる程だ。
本当に、この国と同盟を結ぶ事が出来れば国としての発展は約束されるだろう。
「見せかけだけは素晴らしいんだよなぁ」
と、こんな事は言ってはダメだな。
しかし、本当に見ている分では素晴らしいの一言でこの国は収まる。
だけど、その裏側では人を道具として扱う奴隷制度が存在したのも事実。
美しさの裏には汚れあり。
「お姉さん。うちで休んで行かない?」
「ん?」
イケメンの男に話しかけられた。
金髪、正装、煌びやか。ピアスなどもしている。
なんだろうか。こう言う人種を俺は良く見た事がある。
いや、女の方にこう言う事をされた覚えがある。
えーと。あ、思い出した。
ホストだ。ホスト勧誘だ。
興味がなくてスルーしていたけど、会社の付き合いで行った事があるめっちゃ高い場所。
大して面白くも何もないのに金だけかかるあの場所。⋯⋯まぁ、そんな事言えるの俺だけみたいだったけどさ。
さて、この場合はどうする?
てかなんでホストの男が俺に話しかける?
色々と考えて止まってるから相手も疑問符を浮かべているよ。
「あ、そうか。リーシアの大人の姿だから、見た目は女性なのか」
「ん?」
「あぁすまない。今は持ち合わせがないんだ。また今度」
「えーツケでも良いよ? 俺とお話しない?」
「すみません興味ないです」
「そんな事言わないでさぁ」
⋯⋯面倒くさ。
「お⋯⋯私、同性愛者ですから」
「そっか。残念。そう言う場所を紹介しようか?」
あるのかよっ! そう言う理解度もこの国は高いのね素晴らしいと思うよ!
「い、いえ! 本当に結構ですから!」
「あ、ちょっと」
無理だと悟った俺は走って逃げる事にした。
鍛えた人間以外に俺のスピードに着いて来れる訳がない。
逃げれば勝ち。良い言葉だ。
「勿論ですよ。我に失敗はない」
夕飯の前の時間、各国の王達と密会を行うヒルデ。
「にしても、わざわざ料理にまで毒を仕込ませる必要は無いのでは無いか?」
「いや。ワインに入れた毒がバレてしまう可能性があるし、それで解毒される可能性もある。毎日の食事の時間の料理に毒を仕込む」
「念入りですね」
「ええ。ミスは許されない。あの獣共は脳筋の集まりですからね。少しのミスですーぐに力を振るう」
「間違いない。⋯⋯こちらは金をお渡ししました」
他の国は毒や食料。自分がどのようにヒルデに手を貸したのかを宣言していく。
それを聞いてうんうんと軽く頷くヒルデ。
「勿論分かっているよ。獣王国の獣共を全員奴隷にした暁には、奴隷を数十個お渡ししますよ」
戦いの道具や夜の道具など、平等に手に入れた奴隷達を個として提出する約束をしていた。
獣人の身体能力は最前線で戦わせるのも良いし、肉の壁としても優秀である。
故に獣人は奴隷として重宝される。
対してエルフは美形が多いので、性奴隷として扱われる事が多い。
それが外道行為と言われようとも、この場所、この世界ではそれは常識的な普通な事である。
奴隷だった経験を持つ亜人も多いのが現実だ。
「にしても、何故わざわざ全ての奴隷を解放したのですか?」
「まずは信頼を築かないといけないんですよ。信頼された方が仕事は楽ですよ」
「いやはや。それも行えるのも、貴公の騎士達の質が高いからだな」
「それはあるな」
そして、密会は長らく行われた。
きっとこの会話を獣王国の誰かが聞いていたら怒髪天を突いていた事だろう。
だが、偶然にも今の時間は全ての騎士は外に出ていた。
本当に、偶然タイミングが合った時に密会は行われていた。
◆
豪華な晩御飯に舌鼓を打つ。
ヒルデ王の気遣いにより、騎士達も同じ食卓で食事を食べている。
数が多いので、ヒスイ、ルー、ビャ、外交官だけではある。
他は他の場所で食事を食べている筈だ。
ワインの方にも毒がある感じはなかった。スープは熱いので、俺以外は後回しにしていた。
獣人が苦手意識あるのは分かるが、エルフのヒスイまで猫舌だとは思わなかった。
「どうですかこの国は?」
「良いですね。何よりも綺麗です。清潔感があって」
技術力の高さもそうだが、本当に綺麗なのだ。
具体的な例は言い難いのはあるが、日本で言うなら田舎だろうか?
都会のようにそこら辺にポイ捨てをされている感じがなかった。
「ええ当然ですよ。汚いと病気になりやすい。清潔は健康に直結します」
きちんと見た訳では無いが、色々な店も見た。
品の並べ方も綺麗だし、街中にはアンケートを集める箱まであった。
国民に寄り添って国を運営する⋯⋯民主主義の気配を漂わせていた。
「今後の発展の為に、ガラス職人の元で数名修行させたいと思います」
「それはいい事ですね。我々も刀鍛冶の方に弟子をとって頂きたい」
刀は素早く斬るのが得意な武器だ。刃が片方しかないのが一番分かりやすい特徴かもしれないけど。
しかし、この世界で広がっている剣は刀ではなく両側に刃がある叩き斬る形の武器である。
それに刀には独自の技術が使われている。
「そうですね。米や餅を食べる人種が増える事も願っております」
「ええ。勿論増えますよ」
食べた事ないだろうに、良く言えたモンだな。
「今度はこちらがヒルデ様をご招待したいと思っております」
「おお! それはありがたい。その際は是非とも、足を運ばせて頂きます」
「その時は国でお祭り騒ぎですね。おもてなし致します」
「楽しみですな」
「ええ」
ヒルデ王の家族達も微笑む。
今更だが、この人にもきちんと娘と息子がいるらしい。
どこかつまらなそうな顔をしているが。
きちんと上辺だけの作り笑顔は出来るようだ。
この会話に本音がどれだけ入っているのかは、正直考えたくないな。
それから時間が進んで皆が眠った頃、俺は外に出ていた。
同盟の内容に不備はなかった。あのまま進めて問題ないだろう。
その事はきちんと王妃の方に伝えてある。
俺は人間の姿で外を歩く。
本当に綺麗だ。家々の隙間から流れる風すら心地よく感じる。
日本で言うならここは都会だ。
コンクリートやレンガの耐久性に優れた家。
それだけじゃない。この国の文明の高さは色んな所に出ている。
それはドッペルゲンガーとしての観察眼が見抜いている。
耐震性も優れているのだ。
日本と比べたら当然低い耐震性だが、最初に入国した国の家よりも地震に強いのは確かだ。
近くに大きな川がある訳でも、山がある訳でもない。
自然災害が多いとは思えない。ま、素人の考えだけどね。
もしかしたら、この国は大昔から地震が良くあったのかもしれない。
段差は少なく、階段も少ない。
バリアフリーの実現もしているようだ。
自動ドアはギルドなどにはあった。魔力を感知して開くようだ。
車椅子や介護、障害者への理解も進んでいるように見える。
さらに窓。
ガラスの普及は素晴らしい。しかも、これには防音性も含まれている。
この国の技術の高さは見惚れる程だ。
本当に、この国と同盟を結ぶ事が出来れば国としての発展は約束されるだろう。
「見せかけだけは素晴らしいんだよなぁ」
と、こんな事は言ってはダメだな。
しかし、本当に見ている分では素晴らしいの一言でこの国は収まる。
だけど、その裏側では人を道具として扱う奴隷制度が存在したのも事実。
美しさの裏には汚れあり。
「お姉さん。うちで休んで行かない?」
「ん?」
イケメンの男に話しかけられた。
金髪、正装、煌びやか。ピアスなどもしている。
なんだろうか。こう言う人種を俺は良く見た事がある。
いや、女の方にこう言う事をされた覚えがある。
えーと。あ、思い出した。
ホストだ。ホスト勧誘だ。
興味がなくてスルーしていたけど、会社の付き合いで行った事があるめっちゃ高い場所。
大して面白くも何もないのに金だけかかるあの場所。⋯⋯まぁ、そんな事言えるの俺だけみたいだったけどさ。
さて、この場合はどうする?
てかなんでホストの男が俺に話しかける?
色々と考えて止まってるから相手も疑問符を浮かべているよ。
「あ、そうか。リーシアの大人の姿だから、見た目は女性なのか」
「ん?」
「あぁすまない。今は持ち合わせがないんだ。また今度」
「えーツケでも良いよ? 俺とお話しない?」
「すみません興味ないです」
「そんな事言わないでさぁ」
⋯⋯面倒くさ。
「お⋯⋯私、同性愛者ですから」
「そっか。残念。そう言う場所を紹介しようか?」
あるのかよっ! そう言う理解度もこの国は高いのね素晴らしいと思うよ!
「い、いえ! 本当に結構ですから!」
「あ、ちょっと」
無理だと悟った俺は走って逃げる事にした。
鍛えた人間以外に俺のスピードに着いて来れる訳がない。
逃げれば勝ち。良い言葉だ。
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