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一章 転生と心

ギルド登録

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 ギルドは大きな建物だった。以上!
 扉は大きく、アニメとかでも執事が開けてそうな大きな扉である。
 そこから入ると思ったら、ヒスイは裏路地へと足を運んだ。

「どうした?」

「あの、さっきの沼蜥蜴リザードマンに成れたりします?」

「⋯⋯するが?」

「あの、少し見た目を変えたリザードマンに成れます?」

「成れると思うぞ」

「お願いします!」

 両手をパチンと合わせて懇願される。

「なぜ?」

「私って、使役者テイマーなんですよ。なので、強い魔物を使役しているってアピールしたいんです」

「冒険者で稼ぐのか?」

「一応登録はしますが、メインはそっちじゃないです。ただ、自分の得意分野の意思表示的な感じです。強力な魔物程信頼が得られますからね。大型の魔物だと、今はいませんがあそこなどに泊める用の場所があちこちにあります」

「超大きい魔物だと、国の中に入れないんじゃないか?」

「その場合はそこら辺で動かしてますね。大きい魔物って大抵強いですから。白竜騎士ホワイトドラゴンナイト童話メルヘンってのがありまして。必要な時に白竜を呼ぶ竜騎士なんですけど、呼ばない時は自由に行動させているらしいです」

「へー」

 とりま配合してみる事にする。今はヒスイの体なので、そのままリザードマンを配合。
 全身は嫌だし、実験も兼ねて同時に【部分擬態】を使う。

「キモっ!」

「こんな感じになるんだな」

 爪が伸び、腕の皮膚は鱗へと変わる。
 あのリザードマンだからか、鱗は青色である。
 コンコンと叩けば音がなり、強度もかなりのもの。
 手刀でも使える事だろう。

 次にリザードマンと配合出来そうなモノで配合し、色々と試す事にする。
 リザードマン、ゴリラ、豹、チーター、これらを組み合わせた。
 すると、いつもとは違う結果となった。

「は?」

「どうしました?」

 擬態先の固有名詞が増えた。
金剛鱗陸蜥蜴クリスタルリザードマン拳闘士ファイター”である。
 見ていたリザードマンの亜種がファイターであるから、これもファイター。
 しかし、これの意外なところは別にある。
 見た事のない魔物に配合次第で成れると言う事だ。
 それだけじゃない。スキルの理解度も半分であり、ある程度扱える。練習次第ではマックにも出来る。

 しかし、これによって色々とやるべき幅が広がった。
 現世の動物同士だけでは配合出来ず、魔物を挟む必要がある。
 だが、その組み合わせ次第では見た事のない魔物に変身が可能。
 しかも、基準は不明だがスキルの理解度が半分から始まる。
 森で見かけたスキルが一個もない“スライム”にも役目があるかもしれない。
 このスライム、誰とも配合出来なかった。しかし、俺は無機物にも成れる。
 それにあの流動的な体⋯⋯楽しみが増えた。
 俺がここまでワクワクするなんて初めてだ。

「あ、あの」

「あぁ。すまない。これで良いか?」

 全体的にリザードマン寄りだが、腕がゴリラの様に太く、それで居て体がとても軽い。
 足の方は豹とチーターを組み合わせ、少しだけ太い感じだ。
 かなりイカつい見た目だと思う。

「それは、ラント形態フォルムですか?」

「それで聞きたいんだが、なんで同じ『リザードマン』なのに陸だの沼だの違うんだ?」

「それは進化が影響していると言われてます。本来は沼、オリジンと言いますね。そのオリジンフォルムなんですが、沼だけでは全員が住みず、外に出た事が始まりだと言われてます。様々な環境に適用する為にリザードマンはその姿を変えた、陸、オーシャンヒンメルと」

 何? 他にもあるのか。

「長い時を生きたリザードマンは竜人に成ると言われてますね。あくまで言い伝えですけどね」

「勉強に成ったよ。ありがとう」

「大丈夫ですよ。ここに来るまでの戦闘全部任せてしまったんですし」

 今度、海と空のリザードマンにも成れるように配合を試してみよう。
 現世の魚とか鳥を組み合わせれば良いかな?
 と、悠長に会話するのは止めて、本題に入る。
 ヒスイが扉を堂々と開けた。
 中には情報交換をしている者や軽い飲食が出来るらしく、飲んだり食べたりしている者もいる。
 冒険者だと思われる見た目の奴から、商人だと思われる見た目の奴まで。
 そのまま一つの受け付けに向かうヒスイを追い掛ける。
 テイマーは僅かだったが居た。

 殆どが小さい奴と言うか、俺が生まれたあの森では見かけなかった弱い魔物ばかりだった。
 小型化したドラゴンとか居たら良いなーとか思ってたけど、居なかった。
 大型の魔物をこの目で見たい。

「すげぞあのエルフ、リザードマンだ」

「見た目的に、陸か」

 分かるのか。
 沼の方はスラリと細身だったが、陸はかなりゴツイ。

「この辺に生息してるか?」

「ないな。エルフの里付近にでも居たのか。にしてもエルフ、服装的に修練か?」

「お、じゃあアレが例の鈍足のエルフか」

 ヒスイが止まる。震えていらっしゃる。

「鈍足って、いやね。確かに同期よりかは遅いかもしれないよ? でもさ、鈍足は無くない? 同期の中でも一番逃げ足は速いのに!」

 逃げ足かよ。

 でも、見ている限り、エルフだからと言って差別する人は居ないようだ。
 獣人も普通に居るし。
 本当に亜人差別があるのか分からなくなる。
 人間絶対主義の国もあるらしいが。
 亜人はそう言う人間に捕まったら奴隷行きとかに成るらしい。金に成ると聞かされた。

「ドッペルさん。行きますよ?」

 俺は頭を前に倒す。言葉が出せないって案外違和感があるな。

 受け付けに進み、ヒスイが会話を始める。
 その言葉を横耳で聞きながら、今目の前に居る受付嬢の目を右目だけ【部分擬態】する。
 それで彼女のスキルを確認出来る。

 うん。この方法を使えば他人のスキルが分かるな。
 ただ、相手の技量までは分からないから注意か。
 基本的な目は鷹などの目が良い動物を使っている。
 流石にそこに真紅眼は混ぜないが。

 無機物にも変身出来るから、強い冒険者の使っている武器も見たい。
 まだ防具や武器にもスキルがあるのか、見れてない。
 宿に入ったら、確認する事にする。
 もしもあるなら、今後の生活に大きく関わる事に成る。

「こちらでよろしいですね?」

「はい。ありがとうございます!」

 登録完了したらしく、免許証の提示の様に俺に見せてくれる。
 取り敢えず親指を上げておく。その瞬間、色んな人が驚く。

「あいつ、かなり頭良いぞ」

「そうじゃなかったら契約出来んだろ。国内で連れ回しているって事は、強制契約じゃないだろ?」

「だろうな。良いよなぁ」

「だな。まぁ、使役魔法は難しいし、魔法自体才能無いと使えないし、パーティに誘うか?」

「入ってくれるかなぁ」

「うーん」

 そんな会話が微かに聞こえる。
 良かった。誰かに絡まれたらどうしようかと、実はヒヤヒヤしていた。
 ヒヤヒヤ? 俺にそんな感情が? 魔物として、主人の心配をしたのだろうか?
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