万能ドッペルゲンガーに転生したらしい俺はエルフに拾われる〜エルフと共に旅をしながらドッペルゲンガーとしての仕事を行い、最強へと至る〜

ネリムZ

文字の大きさ
6 / 75
一章 転生と心

ギルド登録

しおりを挟む
 ギルドは大きな建物だった。以上!
 扉は大きく、アニメとかでも執事が開けてそうな大きな扉である。
 そこから入ると思ったら、ヒスイは裏路地へと足を運んだ。

「どうした?」

「あの、さっきの沼蜥蜴リザードマンに成れたりします?」

「⋯⋯するが?」

「あの、少し見た目を変えたリザードマンに成れます?」

「成れると思うぞ」

「お願いします!」

 両手をパチンと合わせて懇願される。

「なぜ?」

「私って、使役者テイマーなんですよ。なので、強い魔物を使役しているってアピールしたいんです」

「冒険者で稼ぐのか?」

「一応登録はしますが、メインはそっちじゃないです。ただ、自分の得意分野の意思表示的な感じです。強力な魔物程信頼が得られますからね。大型の魔物だと、今はいませんがあそこなどに泊める用の場所があちこちにあります」

「超大きい魔物だと、国の中に入れないんじゃないか?」

「その場合はそこら辺で動かしてますね。大きい魔物って大抵強いですから。白竜騎士ホワイトドラゴンナイト童話メルヘンってのがありまして。必要な時に白竜を呼ぶ竜騎士なんですけど、呼ばない時は自由に行動させているらしいです」

「へー」

 とりま配合してみる事にする。今はヒスイの体なので、そのままリザードマンを配合。
 全身は嫌だし、実験も兼ねて同時に【部分擬態】を使う。

「キモっ!」

「こんな感じになるんだな」

 爪が伸び、腕の皮膚は鱗へと変わる。
 あのリザードマンだからか、鱗は青色である。
 コンコンと叩けば音がなり、強度もかなりのもの。
 手刀でも使える事だろう。

 次にリザードマンと配合出来そうなモノで配合し、色々と試す事にする。
 リザードマン、ゴリラ、豹、チーター、これらを組み合わせた。
 すると、いつもとは違う結果となった。

「は?」

「どうしました?」

 擬態先の固有名詞が増えた。
金剛鱗陸蜥蜴クリスタルリザードマン拳闘士ファイター”である。
 見ていたリザードマンの亜種がファイターであるから、これもファイター。
 しかし、これの意外なところは別にある。
 見た事のない魔物に配合次第で成れると言う事だ。
 それだけじゃない。スキルの理解度も半分であり、ある程度扱える。練習次第ではマックにも出来る。

 しかし、これによって色々とやるべき幅が広がった。
 現世の動物同士だけでは配合出来ず、魔物を挟む必要がある。
 だが、その組み合わせ次第では見た事のない魔物に変身が可能。
 しかも、基準は不明だがスキルの理解度が半分から始まる。
 森で見かけたスキルが一個もない“スライム”にも役目があるかもしれない。
 このスライム、誰とも配合出来なかった。しかし、俺は無機物にも成れる。
 それにあの流動的な体⋯⋯楽しみが増えた。
 俺がここまでワクワクするなんて初めてだ。

「あ、あの」

「あぁ。すまない。これで良いか?」

 全体的にリザードマン寄りだが、腕がゴリラの様に太く、それで居て体がとても軽い。
 足の方は豹とチーターを組み合わせ、少しだけ太い感じだ。
 かなりイカつい見た目だと思う。

「それは、ラント形態フォルムですか?」

「それで聞きたいんだが、なんで同じ『リザードマン』なのに陸だの沼だの違うんだ?」

「それは進化が影響していると言われてます。本来は沼、オリジンと言いますね。そのオリジンフォルムなんですが、沼だけでは全員が住みず、外に出た事が始まりだと言われてます。様々な環境に適用する為にリザードマンはその姿を変えた、陸、オーシャンヒンメルと」

 何? 他にもあるのか。

「長い時を生きたリザードマンは竜人に成ると言われてますね。あくまで言い伝えですけどね」

「勉強に成ったよ。ありがとう」

「大丈夫ですよ。ここに来るまでの戦闘全部任せてしまったんですし」

 今度、海と空のリザードマンにも成れるように配合を試してみよう。
 現世の魚とか鳥を組み合わせれば良いかな?
 と、悠長に会話するのは止めて、本題に入る。
 ヒスイが扉を堂々と開けた。
 中には情報交換をしている者や軽い飲食が出来るらしく、飲んだり食べたりしている者もいる。
 冒険者だと思われる見た目の奴から、商人だと思われる見た目の奴まで。
 そのまま一つの受け付けに向かうヒスイを追い掛ける。
 テイマーは僅かだったが居た。

 殆どが小さい奴と言うか、俺が生まれたあの森では見かけなかった弱い魔物ばかりだった。
 小型化したドラゴンとか居たら良いなーとか思ってたけど、居なかった。
 大型の魔物をこの目で見たい。

「すげぞあのエルフ、リザードマンだ」

「見た目的に、陸か」

 分かるのか。
 沼の方はスラリと細身だったが、陸はかなりゴツイ。

「この辺に生息してるか?」

「ないな。エルフの里付近にでも居たのか。にしてもエルフ、服装的に修練か?」

「お、じゃあアレが例の鈍足のエルフか」

 ヒスイが止まる。震えていらっしゃる。

「鈍足って、いやね。確かに同期よりかは遅いかもしれないよ? でもさ、鈍足は無くない? 同期の中でも一番逃げ足は速いのに!」

 逃げ足かよ。

 でも、見ている限り、エルフだからと言って差別する人は居ないようだ。
 獣人も普通に居るし。
 本当に亜人差別があるのか分からなくなる。
 人間絶対主義の国もあるらしいが。
 亜人はそう言う人間に捕まったら奴隷行きとかに成るらしい。金に成ると聞かされた。

「ドッペルさん。行きますよ?」

 俺は頭を前に倒す。言葉が出せないって案外違和感があるな。

 受け付けに進み、ヒスイが会話を始める。
 その言葉を横耳で聞きながら、今目の前に居る受付嬢の目を右目だけ【部分擬態】する。
 それで彼女のスキルを確認出来る。

 うん。この方法を使えば他人のスキルが分かるな。
 ただ、相手の技量までは分からないから注意か。
 基本的な目は鷹などの目が良い動物を使っている。
 流石にそこに真紅眼は混ぜないが。

 無機物にも変身出来るから、強い冒険者の使っている武器も見たい。
 まだ防具や武器にもスキルがあるのか、見れてない。
 宿に入ったら、確認する事にする。
 もしもあるなら、今後の生活に大きく関わる事に成る。

「こちらでよろしいですね?」

「はい。ありがとうございます!」

 登録完了したらしく、免許証の提示の様に俺に見せてくれる。
 取り敢えず親指を上げておく。その瞬間、色んな人が驚く。

「あいつ、かなり頭良いぞ」

「そうじゃなかったら契約出来んだろ。国内で連れ回しているって事は、強制契約じゃないだろ?」

「だろうな。良いよなぁ」

「だな。まぁ、使役魔法は難しいし、魔法自体才能無いと使えないし、パーティに誘うか?」

「入ってくれるかなぁ」

「うーん」

 そんな会話が微かに聞こえる。
 良かった。誰かに絡まれたらどうしようかと、実はヒヤヒヤしていた。
 ヒヤヒヤ? 俺にそんな感情が? 魔物として、主人の心配をしたのだろうか?
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。

お小遣い月3万
ファンタジー
 異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。  夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。  妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。  勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。  ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。  夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。  夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。  その子を大切に育てる。  女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。  2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。  だけど子どもはどんどんと強くなって行く。    大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。

屑スキルが覚醒したら追放されたので、手伝い屋を営みながら、のんびりしてたのに~なんか色々たいへんです(完結)

わたなべ ゆたか
ファンタジー
タムール大陸の南よりにあるインムナーマ王国。王都タイミョンの軍事訓練場で、ランド・コールは軍に入るための最終試験に挑む。対戦相手は、《ダブルスキル》の異名を持つゴガルン。 対するランドの持つ《スキル》は、左手から棘が一本出るだけのもの。 剣技だけならゴガルン以上を自負するランドだったが、ゴガルンの《スキル》である〈筋力増強〉と〈遠当て〉に翻弄されてしまう。敗北する寸前にランドの《スキル》が真の力を発揮し、ゴガルンに勝つことができた。だが、それが原因で、ランドは王都を追い出されてしまった。移住した村で、〝手伝い屋〟として、のんびりとした生活を送っていた。だが、村に来た領地の騎士団に所属する騎馬が、ランドの生活が一変する切っ掛けとなる――。チート系スキル持ちの主人公のファンタジーです。楽しんで頂けたら、幸いです。 よろしくお願いします! (7/15追記  一晩でお気に入りが一気に増えておりました。24Hポイントが2683! ありがとうございます!  (9/9追記  三部の一章-6、ルビ修正しました。スイマセン (11/13追記 一章-7 神様の名前修正しました。 追記 異能(イレギュラー)タグを追加しました。これで検索しやすくなるかな……。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

処理中です...