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一章 同格の管理者
43話 異能の強さ
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「ふむ」
カマキリの鎌にトンボの顔を持つモンスターの前にはショートヘアの美人が裸で立っていた。
ミツルである。
力を解放して本来の姿と力を手にしたミツルの種族は擬似人間である。
今の彼女を一言で表すなら、近接キラーだろうか。
「ギシシ」
「あまりジロジロ見るなよ」
「それは無理と言うモノだ」
「だよね。でも、あんまり裸を見られるのは好かないん、だよ!」
「ふむ。速い! しかし、姿が見えてたらお前の強みはないだろう!」
モンスターはミツルのパンチに合わせて鎌を腕に向かって振るうが、その鎌は腕を通り抜ける。
「は?」
「はっ!」
ミツルの拳はトンボの顔を強く殴った。
(ど、どう言う事だ。鎌が当たらず相手の拳は当たるのか)
「はぁ。本当嫌に成るよねこの力。異能に頼りきったクソみたいな力。だから、あの事件では折角強くなっても意味がなかった。ほんと、泣きたくなる」
悲しい顔をするミツルは連撃をモンスターに放つ。
しかし、モンスターも賢い。すぐさま見方を変えて攻撃を躱し、魔法で攻撃する。
「魔法を放つ時に鎌を振るうのか」
モンスターの魔法は鎌に風の魔力を纏わせて斬撃を放つタイプだった。
これには鎌の力も必要とし、少しばかりは物理攻撃としての性能が存在する。
そして、物理攻撃としての性能がある場合、ミツルには当たらない。
「な、に?」
「残念。さぁ、始めようか無謀で泥沼な殺し合いを」
ミツルは物理攻撃を完全に無効化する事が出来る。
しかし、それは体質で異能である。
タクヤは技能で瞬時に人形を作り操る事が可能で、外部的な異能効果は無かった。
ミツルの傷が徐々に再生して行く。
「無謀か。そう見えんが」
「まぁね」
シュシュ、ミツルは拳をその場で振るいながら自分の体を確かめる。
「自分の姿を他の人が見るのって慣れてないからね。それに、この体は再び封印される。そう言う約束だからね」
「成程、神絡みか」
「そそ、神の話で一つ質問。な~んで、あんたの主は変な神に従ってんの?」
「さぁな。サポーター殿なら知っているかもだが、我々は命令に従うだけだ」
(強制命令、か。こいつの強さ的に真の魔王には成ってないのかな? 傲慢の魔王に近いな)
ミツルは少し考える。
(傲慢の魔王は、嫌いだ。あんなのは、管理者じゃない)
ミツルは高速で移動して高速の連撃を放つ。
「ふん。モンスターの体力は沢山だ。長引⋯⋯くはぁ!」
「これまた残念、連撃の中に透明な拳が入ってます。きちんと見なー」
理不尽極まりない攻撃。
腕が何本も生えているように見える連撃の中には目視が極限まで難しい透明の拳も入っていると言う。
モンスターはただ、本当にただの生きるサンドバックになった。
◇
「あああああああああああああ!」
鞭を弾丸を生成し、放ってちぎり脱出するヤユイ。
生命力──魔力を吸われてかなり弱っている中での解放。
しかし、本来の姿の力がタクヤとミツルよりも高い為、本当の姿では無い。
メイド服から禍々しい漆黒と深紅のドレス。
「はぁ。はぁ。この形態だと、まだ内部的異能は使えないんだけど。はぁ。タクヤは存分に人形を作ったんだろうな。はぁ。終わらせよ」
「きゅ、急にめっちゃ喋るわね。てか、鞭はいくらでも再生するんだけど? それに飛び道具は効かないって分かっているよね?」
「なぁ。弾は道具か?」
「当たり前じゃない」
「そうか。でもなぁ。こっちから見たら銃弾ってのは子なんだよ。銃が親。そんな親子で戦うんだ。そして、子はいずれ独り立ちする」
「何を言って?」
「分かんなくて良いよ。今のお前程度では自分の異能は防げない! 異能のランクが違うってのを見せてやるよ」
右の掌を地面に向ける。
顔色が悪く、弱々しいヤユイ。
「弾の根城」
無数の魔法陣がヤユイとサキュバスを包み込むように展開されて行く。
「ん?」
その一つから紅き閃光が迸る。
サキュバスが躱す。そう、反射的に躱したのだ。
「え」
頬から赤い筋が出来上がり、少しだけ血が垂れる。
それに触れてサキュバスは驚愕した。
(確かに異能は発動していた。そもそもあれは継続的に発動されているパッシブだ。なのに、なのになのに)
「なんであたんだよくそがあああ!」
「あははははは。あははははははは! はははははははは! ご自慢の顔に僅かな傷が付いただけでそんなに怒るのか! 良いよ。似合ってるよ! あははははははは! ⋯⋯ダメだな。アイツみたいだ。仕方ないけどさ。嫌だな。天音に近づいた性格が良いよ」
「何を言っているこのアマがッ!」
「鞭、邪魔」
ヤユイの元に鞭が伸びるが、その鞭が大量の紅いの弾丸に寄って粉々になる。
再生した鞭はサキュバスの手に収まり、そのサキュバスに向かって大量の魔法陣から、一つ一つ毎秒二十個の弾丸が放たれる。
「お前の鞭でどれだけ防げるかな!」
ヤユイは悪魔のような笑みを浮かべて、サキュバスが鞭を高速で振るっているのを眺めていた。
無駄な足掻き。そもそも足掻きに成っているかも疑問だった。
「じっくり痛んで⋯⋯死ね」
右手を握り、親指だけ上げて、それをゆっくりと下げる。
「あははは! ははははははは!」
サキュバスが穴だらけになり、消える。
断末魔が未だに脳を震わせるヤユイは、禍々しい姿から元のメイド服の姿に戻った。
「ふひー天音、寝る」
気絶するヤユイ。
◇
「全部やられちゃったな」
手を叩き賞賛を送る金栗。
「さて、行こうか。最大限のおもてなしをしないと。僕の情報外のモノを沢山見せてくれたんだから」
カマキリの鎌にトンボの顔を持つモンスターの前にはショートヘアの美人が裸で立っていた。
ミツルである。
力を解放して本来の姿と力を手にしたミツルの種族は擬似人間である。
今の彼女を一言で表すなら、近接キラーだろうか。
「ギシシ」
「あまりジロジロ見るなよ」
「それは無理と言うモノだ」
「だよね。でも、あんまり裸を見られるのは好かないん、だよ!」
「ふむ。速い! しかし、姿が見えてたらお前の強みはないだろう!」
モンスターはミツルのパンチに合わせて鎌を腕に向かって振るうが、その鎌は腕を通り抜ける。
「は?」
「はっ!」
ミツルの拳はトンボの顔を強く殴った。
(ど、どう言う事だ。鎌が当たらず相手の拳は当たるのか)
「はぁ。本当嫌に成るよねこの力。異能に頼りきったクソみたいな力。だから、あの事件では折角強くなっても意味がなかった。ほんと、泣きたくなる」
悲しい顔をするミツルは連撃をモンスターに放つ。
しかし、モンスターも賢い。すぐさま見方を変えて攻撃を躱し、魔法で攻撃する。
「魔法を放つ時に鎌を振るうのか」
モンスターの魔法は鎌に風の魔力を纏わせて斬撃を放つタイプだった。
これには鎌の力も必要とし、少しばかりは物理攻撃としての性能が存在する。
そして、物理攻撃としての性能がある場合、ミツルには当たらない。
「な、に?」
「残念。さぁ、始めようか無謀で泥沼な殺し合いを」
ミツルは物理攻撃を完全に無効化する事が出来る。
しかし、それは体質で異能である。
タクヤは技能で瞬時に人形を作り操る事が可能で、外部的な異能効果は無かった。
ミツルの傷が徐々に再生して行く。
「無謀か。そう見えんが」
「まぁね」
シュシュ、ミツルは拳をその場で振るいながら自分の体を確かめる。
「自分の姿を他の人が見るのって慣れてないからね。それに、この体は再び封印される。そう言う約束だからね」
「成程、神絡みか」
「そそ、神の話で一つ質問。な~んで、あんたの主は変な神に従ってんの?」
「さぁな。サポーター殿なら知っているかもだが、我々は命令に従うだけだ」
(強制命令、か。こいつの強さ的に真の魔王には成ってないのかな? 傲慢の魔王に近いな)
ミツルは少し考える。
(傲慢の魔王は、嫌いだ。あんなのは、管理者じゃない)
ミツルは高速で移動して高速の連撃を放つ。
「ふん。モンスターの体力は沢山だ。長引⋯⋯くはぁ!」
「これまた残念、連撃の中に透明な拳が入ってます。きちんと見なー」
理不尽極まりない攻撃。
腕が何本も生えているように見える連撃の中には目視が極限まで難しい透明の拳も入っていると言う。
モンスターはただ、本当にただの生きるサンドバックになった。
◇
「あああああああああああああ!」
鞭を弾丸を生成し、放ってちぎり脱出するヤユイ。
生命力──魔力を吸われてかなり弱っている中での解放。
しかし、本来の姿の力がタクヤとミツルよりも高い為、本当の姿では無い。
メイド服から禍々しい漆黒と深紅のドレス。
「はぁ。はぁ。この形態だと、まだ内部的異能は使えないんだけど。はぁ。タクヤは存分に人形を作ったんだろうな。はぁ。終わらせよ」
「きゅ、急にめっちゃ喋るわね。てか、鞭はいくらでも再生するんだけど? それに飛び道具は効かないって分かっているよね?」
「なぁ。弾は道具か?」
「当たり前じゃない」
「そうか。でもなぁ。こっちから見たら銃弾ってのは子なんだよ。銃が親。そんな親子で戦うんだ。そして、子はいずれ独り立ちする」
「何を言って?」
「分かんなくて良いよ。今のお前程度では自分の異能は防げない! 異能のランクが違うってのを見せてやるよ」
右の掌を地面に向ける。
顔色が悪く、弱々しいヤユイ。
「弾の根城」
無数の魔法陣がヤユイとサキュバスを包み込むように展開されて行く。
「ん?」
その一つから紅き閃光が迸る。
サキュバスが躱す。そう、反射的に躱したのだ。
「え」
頬から赤い筋が出来上がり、少しだけ血が垂れる。
それに触れてサキュバスは驚愕した。
(確かに異能は発動していた。そもそもあれは継続的に発動されているパッシブだ。なのに、なのになのに)
「なんであたんだよくそがあああ!」
「あははははは。あははははははは! はははははははは! ご自慢の顔に僅かな傷が付いただけでそんなに怒るのか! 良いよ。似合ってるよ! あははははははは! ⋯⋯ダメだな。アイツみたいだ。仕方ないけどさ。嫌だな。天音に近づいた性格が良いよ」
「何を言っているこのアマがッ!」
「鞭、邪魔」
ヤユイの元に鞭が伸びるが、その鞭が大量の紅いの弾丸に寄って粉々になる。
再生した鞭はサキュバスの手に収まり、そのサキュバスに向かって大量の魔法陣から、一つ一つ毎秒二十個の弾丸が放たれる。
「お前の鞭でどれだけ防げるかな!」
ヤユイは悪魔のような笑みを浮かべて、サキュバスが鞭を高速で振るっているのを眺めていた。
無駄な足掻き。そもそも足掻きに成っているかも疑問だった。
「じっくり痛んで⋯⋯死ね」
右手を握り、親指だけ上げて、それをゆっくりと下げる。
「あははは! ははははははは!」
サキュバスが穴だらけになり、消える。
断末魔が未だに脳を震わせるヤユイは、禍々しい姿から元のメイド服の姿に戻った。
「ふひー天音、寝る」
気絶するヤユイ。
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