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一章 同格の管理者
12話 皐月の姉
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ここは虚無の部屋。
そこに皐月は来ていた。
「姉ちゃん。来たよ。ほい、好きな酒」
「これはこれは。親愛なる妹よ」
皐月の前は牢屋だった。
特別性の檻で作られたその監獄の中でジャラジャラと音を鳴らしながら皐月に似たような人が出て来た。
龍人族であり、額からは2本の角を生やしていた。
両手首、両足首、そして首に鎖を付けられた皐月の姉。
「ねぇ姉ちゃん」
「なんだい?」
檻の隙間から手を出して酒を取ってぐびぐびと飲み始める。
「もう、力は制御出来てんるんでしょ! 出て来ても良いじゃん! 良かったら皐月が⋯⋯」
「止めて皐月。それに、力が制御出来るように成ったなんて、主様にはとっくに気づかれてるよ。てか、あんたが1番遅いよ」
「へ?」
「そうだな~確か4年前か」
「え、そんな前から」
「全く会いに来ないからだよ。主様なんて週一で来るぞ! 姉として悲しいよ。あ、でも主様が来てくれるのは嬉しいか」
「じゃあ、なんで出て来ないんだよ!」
「この空間は我々にしか入れない。さらに、気配その他諸々が完全に遮断される。⋯⋯分かるか? 外からは絶対にここの事はバレない」
「⋯⋯」
「考えてみ? 誰にも知られてない。相手には分かってない。絶対に分からない、最強最悪の最終兵器と言う存在を。それは、主様方を安心させられる事が出来る」
「⋯⋯確かに」
「それに、なんかカッコイイしな!」
「それが本音か。暇じゃない?」
「問題ないぞ? 外の景色も動物型人形達から見せて貰えるし、ここの掃除の人工人間冥土達も気さくに話し掛けてくれるし、何より週1で主様に確定で会える! まぁ、皐月も最高戦力の1人として頑張れ! こっちもこっちで楽しくやってるよ。あと少しでゲームの図鑑埋めも終わりそうだし。次は色プラス個体厳選をするだけだ!」
「⋯⋯そか」
皐月達はその後楽しく会話をしながら酒を飲みかわし、別れた。
◇
翌日、俺達は『ダンジョンタワー』に来ていた。
タワーと言ってもビルだ。
ビルの中に階層ごとにクラス訳されたゲートが設置されている。
俺達が目指すのはSSで最上階の階層だった。
中に入ると、4つくらいの紫色のゲートがあった。
ゲートの前の看板には「アイテム」「防具」「武器」「素材」とそれぞれ書いてあった。
これはこのダンジョンの中で主に手に入る報酬だ。
流石に総合的に全部のアイテムを用意しての報酬はエナジーが足りないので実質無理。
アビリティオーブもそこまで数はない。
オーブは作るのにえぐい量のダンジョンエナジーを使うので、手に入れるにはそれ相応の難易度となる。
挑戦者の感情をどれだけ引き出せるかがエナジーの手に入る量の基本となる。
だからこそ、オーブによってはアホみたいに強いモンスターやトラップがあったりする。
今回入るのはアイテムらしい。
自身を強化したりするアイテムはいくつあっても良いからだ。
連携力の練習も兼ねている。
今更だが、このチームは殆どが前衛となっている。
後衛はレーヴァテインさん、雪姫、美穂さん、俺(カミラ)である。
中に入り早速カミラを召喚して中を進む。
レンジャーが居ないのでトラップを警戒しながらだ。
SSクラスのダンジョンの序盤で出て来るモンスターのクラスはSぐらいだろうか?
他の人のダンジョンを攻略するのは初めてだ。
俺の傘下のアイツは攻略とは言わんだろ。多分。
だから詳しい事は知らない。
ただ、数回攻略された事があるらしい。
管理者が引越しを決めると、当然ダンジョンの移動がある。
ダンジョンを移動するにしてもまずは入る必要がある。入るには管理者もゲートを通らないといけない。
だが、俺にはスペルカードがある。
それは他の人には分からない。だからこそ、俺は引きこもり扱いされているのだ。
ダンジョンの移動は可能だ。
だが、俺はやらない。
ダンジョンを移動するには1度消さないといけない。
ダンジョンを1度消すと元ゲートの場所に自分が転移してしまうのだ。
付近の監視カメラに見つかる。
壊せば良い。変装すればいい。
当然そう思う。俺だってやろうとした。
だが、意味が無かった。
今時の監視カメラは衛生から撮られるので壊しても意味無いし。
変装も見破られるかもしれない。
それに、俺のような場合は他のデメリットもある。
なので、移動する事が出来ないのだ。
ダンジョンも開けないし。
部屋には開けない。家族がいるから。
ダンジョンが開けないと、地上の情報収集を担当させている奴もダンジョンに強制送還され消えるし、尚且つ俺がダンジョンに入れない。
仲間達が永久に動かなくなる。
とまぁ、様々な理由があって出来ないのだ。
「では、入りましょうか! 地味に初めての本格的な訓練です」
楽しみだ。
他の管理者がどのように迷宮を作っているのか。
モンスターの住処、管理の仕方、それをカモフラージュする技量。
とても気になる。
まさか管理室をただ広げてそこで全部管理するってのはないだろう。
それはそれで不便だし、いずれ限界が来ると思う。
エナジーもかなり使うし。
中は煌びやかな洞窟だった。
様々な鉱石によって彩られた綺麗な空間。
僅かな光を鉱石が反射している。
⋯⋯魔力の流れ的に大きさは勝っている。大きさは!
しっかし、ここまで凄いと感じるとは。
鉱石の配置もしっかりしている。
お陰で松明やランタン等のまさに人工的な光で灯りを付けている俺の1層とは違う。
本当にファンタジーの中に入った感がある。
これは、結構勉強になるかも。
こう言うのは不慣れだったしなぁ。
迷路も苦手だったし。
迷宮の内装を本気で行ったのは中学2年の時だし。
「この鉱石は掘りますか?」
フェンさんが雪姫に問う。
「いえ。目的は身体強化系のアイテムですので、今回は無視で行きます」
「分かりました」
やばい。ちょっとワクワクしている自分がいる。
帰ったら俺もこんな自然な感じを試してみようかな。
やばい。中学2年の俺が戻って来る。
そこに皐月は来ていた。
「姉ちゃん。来たよ。ほい、好きな酒」
「これはこれは。親愛なる妹よ」
皐月の前は牢屋だった。
特別性の檻で作られたその監獄の中でジャラジャラと音を鳴らしながら皐月に似たような人が出て来た。
龍人族であり、額からは2本の角を生やしていた。
両手首、両足首、そして首に鎖を付けられた皐月の姉。
「ねぇ姉ちゃん」
「なんだい?」
檻の隙間から手を出して酒を取ってぐびぐびと飲み始める。
「もう、力は制御出来てんるんでしょ! 出て来ても良いじゃん! 良かったら皐月が⋯⋯」
「止めて皐月。それに、力が制御出来るように成ったなんて、主様にはとっくに気づかれてるよ。てか、あんたが1番遅いよ」
「へ?」
「そうだな~確か4年前か」
「え、そんな前から」
「全く会いに来ないからだよ。主様なんて週一で来るぞ! 姉として悲しいよ。あ、でも主様が来てくれるのは嬉しいか」
「じゃあ、なんで出て来ないんだよ!」
「この空間は我々にしか入れない。さらに、気配その他諸々が完全に遮断される。⋯⋯分かるか? 外からは絶対にここの事はバレない」
「⋯⋯」
「考えてみ? 誰にも知られてない。相手には分かってない。絶対に分からない、最強最悪の最終兵器と言う存在を。それは、主様方を安心させられる事が出来る」
「⋯⋯確かに」
「それに、なんかカッコイイしな!」
「それが本音か。暇じゃない?」
「問題ないぞ? 外の景色も動物型人形達から見せて貰えるし、ここの掃除の人工人間冥土達も気さくに話し掛けてくれるし、何より週1で主様に確定で会える! まぁ、皐月も最高戦力の1人として頑張れ! こっちもこっちで楽しくやってるよ。あと少しでゲームの図鑑埋めも終わりそうだし。次は色プラス個体厳選をするだけだ!」
「⋯⋯そか」
皐月達はその後楽しく会話をしながら酒を飲みかわし、別れた。
◇
翌日、俺達は『ダンジョンタワー』に来ていた。
タワーと言ってもビルだ。
ビルの中に階層ごとにクラス訳されたゲートが設置されている。
俺達が目指すのはSSで最上階の階層だった。
中に入ると、4つくらいの紫色のゲートがあった。
ゲートの前の看板には「アイテム」「防具」「武器」「素材」とそれぞれ書いてあった。
これはこのダンジョンの中で主に手に入る報酬だ。
流石に総合的に全部のアイテムを用意しての報酬はエナジーが足りないので実質無理。
アビリティオーブもそこまで数はない。
オーブは作るのにえぐい量のダンジョンエナジーを使うので、手に入れるにはそれ相応の難易度となる。
挑戦者の感情をどれだけ引き出せるかがエナジーの手に入る量の基本となる。
だからこそ、オーブによってはアホみたいに強いモンスターやトラップがあったりする。
今回入るのはアイテムらしい。
自身を強化したりするアイテムはいくつあっても良いからだ。
連携力の練習も兼ねている。
今更だが、このチームは殆どが前衛となっている。
後衛はレーヴァテインさん、雪姫、美穂さん、俺(カミラ)である。
中に入り早速カミラを召喚して中を進む。
レンジャーが居ないのでトラップを警戒しながらだ。
SSクラスのダンジョンの序盤で出て来るモンスターのクラスはSぐらいだろうか?
他の人のダンジョンを攻略するのは初めてだ。
俺の傘下のアイツは攻略とは言わんだろ。多分。
だから詳しい事は知らない。
ただ、数回攻略された事があるらしい。
管理者が引越しを決めると、当然ダンジョンの移動がある。
ダンジョンを移動するにしてもまずは入る必要がある。入るには管理者もゲートを通らないといけない。
だが、俺にはスペルカードがある。
それは他の人には分からない。だからこそ、俺は引きこもり扱いされているのだ。
ダンジョンの移動は可能だ。
だが、俺はやらない。
ダンジョンを移動するには1度消さないといけない。
ダンジョンを1度消すと元ゲートの場所に自分が転移してしまうのだ。
付近の監視カメラに見つかる。
壊せば良い。変装すればいい。
当然そう思う。俺だってやろうとした。
だが、意味が無かった。
今時の監視カメラは衛生から撮られるので壊しても意味無いし。
変装も見破られるかもしれない。
それに、俺のような場合は他のデメリットもある。
なので、移動する事が出来ないのだ。
ダンジョンも開けないし。
部屋には開けない。家族がいるから。
ダンジョンが開けないと、地上の情報収集を担当させている奴もダンジョンに強制送還され消えるし、尚且つ俺がダンジョンに入れない。
仲間達が永久に動かなくなる。
とまぁ、様々な理由があって出来ないのだ。
「では、入りましょうか! 地味に初めての本格的な訓練です」
楽しみだ。
他の管理者がどのように迷宮を作っているのか。
モンスターの住処、管理の仕方、それをカモフラージュする技量。
とても気になる。
まさか管理室をただ広げてそこで全部管理するってのはないだろう。
それはそれで不便だし、いずれ限界が来ると思う。
エナジーもかなり使うし。
中は煌びやかな洞窟だった。
様々な鉱石によって彩られた綺麗な空間。
僅かな光を鉱石が反射している。
⋯⋯魔力の流れ的に大きさは勝っている。大きさは!
しっかし、ここまで凄いと感じるとは。
鉱石の配置もしっかりしている。
お陰で松明やランタン等のまさに人工的な光で灯りを付けている俺の1層とは違う。
本当にファンタジーの中に入った感がある。
これは、結構勉強になるかも。
こう言うのは不慣れだったしなぁ。
迷路も苦手だったし。
迷宮の内装を本気で行ったのは中学2年の時だし。
「この鉱石は掘りますか?」
フェンさんが雪姫に問う。
「いえ。目的は身体強化系のアイテムですので、今回は無視で行きます」
「分かりました」
やばい。ちょっとワクワクしている自分がいる。
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やばい。中学2年の俺が戻って来る。
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