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一章 同格の管理者

10話

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 アドベンチャーラー協会はビルである。
 大きなギルドのギルドホームも大抵はビルらしい。
 中に入ると、沢山の人が受け付けをしており、公務員の人達が頑張っていた。
 警備員は全員能力者だろう。

 いやまさか、この俺がアドベンチャーラー登録をする日が来るとは思ってもみなかった。
 管理者である事がバレないようにひっそりと、一般人として生きるつもりだったから。

 登録する用の受け付けに向かい、登録の事を話す。
 まずは適性検査、つまりはアビリティの調査に入る。
 この場で出来るようなアビリティならこの場で披露したら良いようだ。
 ザ、モンスターの奴は辺りを騒がしてしまうので、小さなモンスターにしておこう。

 可愛いし小さいと言ったらスライムかな?
 でも、ウチのダンジョン複数の種類のスライムがいるんだよな。
 便利な奴にしておこう。

「サモンズスペルカード、シャンプースライム、召喚サモン

 クラスが上がると神からアビリティが新たに貰える。
 最初の奴よりかは劣るが、便利な奴も多いし、複数の中から1つ選べる。
 その中の1つ、寧ろコレしか使ってないまであるアイテムストレージからスペルカードを取り出す。

 スペルカードを使って、出て来た白色のスライム。
 これでアビリティは証明出来た。
 次に移る。

 次は証明写真を撮るようだ。
 アドベンチャーラー登録すると、アドベンチャーラーの証明カードのような物が発行される。
 それに、証明写真を貼るので、それを撮るようだ。

 撮り終わったら自分の役割、ゲームで言うと職業か、それを決める。
 自分で自分の役割を決めて、同時に名前や年齢等も書いて行く。

 これで概ね終了だ。
 後はアドベンチャーラーカードが発行されるまで待機するだけ。
 待機している間は暇なので、イヤホンを使って音楽でも聞いて待っておく。

 数分したら渡された番号符が液晶テレビに映るので、自分の番号が来たので受け付けに再度訪れる。
 アドベンチャーラーの基本が書いた本とカードが渡される。
 これで正真正銘俺もアドベンチャーラーに成った。

 雪姫に連れられ、再度あの訓練場に戻った。

「さて、君の実力を見せて貰おうか」

「実力と言われましたも、俺は召喚士サモナーなのでモンスターの力ですがね」

「それを召喚出来るのは君の力だろ?」

「そうですかね?」

 フェンが話しかけて来た。
 取り敢えず、今日は皆の実力見せ合い会と成るようだ。
 最初は俺らしい。
 新人から先にやるのは良いのか悪いのか分からんな。
 後にやったら皆の実力の高さに自信を無くすのか、先にやって調子に乗るのか。
 ま、俺はそんな事に成らないように謙虚に行こう。

 さて、実力を見せるにしてもどの程度が良いのか。
 そもそも俺が召喚するモンスターは全てがダンジョンのモンスターだ。
 変に迷宮用のモンスターを出したら今後バレる可能性がある。
 勿論見た目が被るって言う事もあるだろう。

 だが、念には念をだ。
 戦闘用だけど迷宮のモンスターには参加して居ない人。
 皐月?
 あかんな。皐月がこんな所で実力を見せたらこの地下どころか建物も危うい。

 かと言ってそこまで広さがある訳でも無い為、大きなモンスターは出せない。
 アダマンでも良いと考えたが、あいつは確かボーナスステージの管理人だった気がする。
 1度出してしまったが、今回は今後とも付き合う可能性の高い複数の目もある。
 誰か勘づくかもしれない。

 アダマンは止めて他の奴にしよう。
 誰が適任かな?

「よし、サモンズスペルカード、人工戦闘冥土バトルオートマタ:カミラ、召喚サモン

 スペルカードを前に投げる。
 スペルカードが強い光を放ち、カードが消える。
 同時に光の中からメイド姿のツインテールの赤髪の女の子が出て来る。
 バトルオートマタ、役割と言うか設定は管理室の警備を仕事にしたメイドだ。
 戦闘力も申し分ないし、尚且つ身長が俺と同じくらい。

 カミラはバトルオートマタの中では上の下、全体で見たら中の中だ。
 迷宮にも出ないし、問題ないだろ。
 人間を召喚した感になるが、人工的に作られた人間なので問題ない、と説明したら納得するかな?

「メイド姿で戦えるのか? にしても、良い趣味してんな」

「はは」

 敢えて言おう。
 人工人間冥土オートマタメイド以外のメイドは基本的に自らの志願者だ。
 だからこそ、種族名がバトルオートマタなのだ。
 何故そんなにメイドにこだわるかは教えてくれない。

「どれでカミラの実力を示せば良いですか?」

「そうだね。では、あの的でどうだい? 超合金の塊さ」

「分かりました。カミラ、あの的に攻撃して」

「壊しても宜しいですか?」

「止めておいて」

「畏まりました」

 カミラは懐から1個のハンドガンを取り出した。
 武器をスペルカードにする人も居れば現物で持っている人も当然居る。

 ハンドガンの照準を合わせて、引き金を引いた。

「おいおい。旧世代のハンドガンで何が出来る?」

 今時の銃なども基本はダンジョンからの生産品だ。
 アビリティや管理者の力で作られた武器の方が、化学の結晶である武器よりも強いのだ。
 しかし、カミラの銃の見た目は確かに旧世代だ。
 だが、その中は全くの別物となっている。

 にしてもカミラ、良くこの状況を瞬時に理解したな。
 何かしらの質問が来ると思ったけど。
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