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私らしいボス戦
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「取り敢えず、田中さんは降りてください。魔法の準備を」
「あ、うん」
「私の指示で動いてください。絶対に勝ちます」
「わ、分かった!」
「あ、隙を見て背中を火属性魔法で炙ってください。成る可く、柔らかくなる様に」
「はい!」
地面に田中さんを降ろして、ヒノの上に立つ。
魔剣をしまって包丁を一本取り出す。
オークの周りを飛んで、鉈を躱しながらヘイトを集める。
少し離れた位置の地面に着地する。
『おおおおおお!』
オークは咆哮して、地面をノシノシと駆ける。
「枕に攻撃力は無い。大した攻撃には成らない。だけど、工夫次第では、強い武器なんだ」
細長く捻れ、先端を尖らせるヒノ。ドリルの様な見た目だ。
ぎゅぎゅっと細くして行き、【硬質化】で硬く成る。
本当は防御力を上げて盾にするスキルだろうが、これは攻撃にこそ意味がある。
回転し始めるヒノ。正にドリルと思わんその動きで、飛来する。
空気を螺旋状に切り裂きながらオークの目に向かって突き進む。
オークは油断しないで動きを良く見て、鉈を振るい弾く。
「お前さ、遠距離攻撃を防ぐ時って、最初に鉈、振るうよな?」
鉈を大振りで振るうオーク。それに寄って、視界はかなり塞がる。
太い腕等の体格も原因だろう。
しかも、大振りなので、すぐさま攻撃に移せば回避も防御も不可能。
ヒノが弾かれ、半分が曲がるが、そのエネルギーすら利用して、私をオークに向かって放つ。
「肉や骨が硬くても、瞳は柔らかいよなぁ!」
吹き飛ばされる勢いを利用して、包丁を目に突き刺す。
グサリ、何時もとは違う感触に苛まれる。
気持ち悪さは不思議と感じない。今はただ、相手を殺す事に必死なのだ。
生きたい。死にたくない。人間としての当然の考え。そして闘争本能。
『おおおおおお!』
「うるさいよ」
腰にセットしていた『爆発石』と言う、ダンジョンで手に入った爆弾的な道具。
利用出来ると思って乱獲した。手に入れるのは大変だった。爆発させない様に即死させなといけないからね。
利用方法は簡単。軽い衝撃を与えれば良い。
相手の口の中に入れれば、簡単に爆発する。
「おお!」
ヒノが私を包み込み、ゴロゴロ転がり、止まる。
痛みに震え、血がチョロチョロ流れる右目を抑えて、私を見ている。
「痛そうだね。辛いよねぇ。悪いが、それはお前が私に与えた痛み寄りも弱いんだよボケっ!」
そう言うと、再び咆哮を上げて地面を駆けるのではなく、地面を抉って、その瓦礫を放って来る。
ヒノの力があれば、飛びながら回避は可能。
「右目を狙って、火属性の魔法を!」
「火属性魔法、火の小槍!」
正確に命中し、貫かれた瞳が焼かれる。それに寄って、ヘイトが田中さんへと移る。
ヒノがオークの上空へと飛んで、回転する。
「目が回るぜ」
そのまま自由落下して行く。落下して行く度に増える運動エネルギー。
それを全て利用して、再びダンジョンで手に入れた戦鎚を出して行く。
「くらえ、ダンジョン入手、売値1000円の重みを!」
私の力では持てなかったただ重いハンマーを振り下ろす。
ブヂッと鈍い音を響かせながらオークの頭を撃ち落とす。
少しオークの膝が曲がったが、生きている様だ。
安心して欲しい。私も死んだとは微塵思ってないし考えてない。
「ヒノ、昇れ! 田中さんは走って離れて!」
「う、うん」
ハンマーを捨てて上空へと昇る。怒り浸透のオークがヒノを見上げる。
どんな目をしているか、場所的に見えない。
「爆ぜろ」
そして、ヒノの口を広げてパラパラと『爆発石』を落として行く。
一つ二千円で売れるが、利用価値があり、残していた。
ドバドバン、と連鎖で爆発して行く。
爆炎に包み込めるオークを見下ろし、オークはその中でも蠢く。
「ひぇー。流石はボスですかそうですか。楽に死んでくれたらどれ程嬉しい事か」
あともう一つの目を潰さないといけないのに。
「あ、そうだ。田中さん。服を脱ぐって意識しておいてください!」
「へ?」
そうじゃないと、ヒノを使った速攻着替えが出来ない。
さて、そろそろ爆炎が収まるので、私は落下する。
魔剣を構えて。
「死ねーーー(棒)」
『うおおおおお!』
赤く輝く鉈を振るう。斬撃でも飛ばすのだろうか?
ビンゴである。赤い斬撃を私に向かって放って来た。
「スキル使えるのかよ」
背中に隠れていたヒノが通常サイズに成り、私の落下軌道を変えて躱す。
目の前を過ぎ去る斬撃に怯えながらも、オークを見る。
「光とお別れをすませな」
魔剣の大きさと鋭さがあれば、目を突き刺せる。
血が噴水の様に出て来る。血を成る可く浴びる事にする。
ヌメっとした感覚に吐き気がする。臭い汚い。
最悪だ。もう帰りたい。
「ヒノ!」
手を伸ばして来るので、すぐさまヒノを左手で掴み、空を飛んで脱出する。
ヒノ飛び回避は良く使う。
「さーて、終わりにしようか」
私はすぐに田中さんに肉薄して、ヒノで包み込む。
適当にとある物を吐き出して、私はオークの上空に向かって、水の入ったペットボトルを投げる。
それを魔法で撃ち落として貰い、中の水がオークに降り掛かる。
「あの⋯⋯」
「シーー」
ここで音は出してはダメだ。重要なのは、相手の行動。
相手は化け物だ。だけど、考える知能はある。
鉈で遠距離攻撃をプログラムされたモンスターの様に弾いていたが、現実的に無意識で行う事がある。
それに掛ける。
「⋯⋯ニィ!」
私は笑みを浮かべた。相手の動きを見て、確実に勝てると分かったからだ。
相手は両目が機能しなく成った。痛みに悶えながらも、痛みを与えたゴミを処分する為に、その殺意を持って行動する。
ここで当然の事が思い浮かぶ。
目が見えない人はどの様に周囲を確認する?
棒を使って感覚で確認する。耳を頼りに音で確認する。
そして、無意識で行われるのは、使える中で一番優秀なモノを利用する事。
オークは、田中さんに向かって、鉈を振り下ろした。
ドンっと地面を殴った。埋まる鉈。かなりの力を込めた様だ。
田中さん⋯⋯そこには田中さんの服があった。
私のジャージも近くに置いてあったのだが、魔法を使う後方役を先に狙った様だ。
「豚は鼻が利く。だから鼻を利用して、臭いで場所を把握する。分かり易くてありがたいよ!」
私と田中さんの服を適当に放り出し、私達は水を浴びた。
成る可く臭いを落とす為だ。ジュースでも買っておけば、もっと成功率は上がったかもしれない。
ジャージにはオークの血もあるので、余計に信憑性を上げる。
服は念の為、今は着ないでおいた。
つまり、田中さんも私も裸だ。
「お前に水を掛けたのは、臭い分散と、電気を良く通す為」
さぁ、最後の準備と行こうか!
「あ、うん」
「私の指示で動いてください。絶対に勝ちます」
「わ、分かった!」
「あ、隙を見て背中を火属性魔法で炙ってください。成る可く、柔らかくなる様に」
「はい!」
地面に田中さんを降ろして、ヒノの上に立つ。
魔剣をしまって包丁を一本取り出す。
オークの周りを飛んで、鉈を躱しながらヘイトを集める。
少し離れた位置の地面に着地する。
『おおおおおお!』
オークは咆哮して、地面をノシノシと駆ける。
「枕に攻撃力は無い。大した攻撃には成らない。だけど、工夫次第では、強い武器なんだ」
細長く捻れ、先端を尖らせるヒノ。ドリルの様な見た目だ。
ぎゅぎゅっと細くして行き、【硬質化】で硬く成る。
本当は防御力を上げて盾にするスキルだろうが、これは攻撃にこそ意味がある。
回転し始めるヒノ。正にドリルと思わんその動きで、飛来する。
空気を螺旋状に切り裂きながらオークの目に向かって突き進む。
オークは油断しないで動きを良く見て、鉈を振るい弾く。
「お前さ、遠距離攻撃を防ぐ時って、最初に鉈、振るうよな?」
鉈を大振りで振るうオーク。それに寄って、視界はかなり塞がる。
太い腕等の体格も原因だろう。
しかも、大振りなので、すぐさま攻撃に移せば回避も防御も不可能。
ヒノが弾かれ、半分が曲がるが、そのエネルギーすら利用して、私をオークに向かって放つ。
「肉や骨が硬くても、瞳は柔らかいよなぁ!」
吹き飛ばされる勢いを利用して、包丁を目に突き刺す。
グサリ、何時もとは違う感触に苛まれる。
気持ち悪さは不思議と感じない。今はただ、相手を殺す事に必死なのだ。
生きたい。死にたくない。人間としての当然の考え。そして闘争本能。
『おおおおおお!』
「うるさいよ」
腰にセットしていた『爆発石』と言う、ダンジョンで手に入った爆弾的な道具。
利用出来ると思って乱獲した。手に入れるのは大変だった。爆発させない様に即死させなといけないからね。
利用方法は簡単。軽い衝撃を与えれば良い。
相手の口の中に入れれば、簡単に爆発する。
「おお!」
ヒノが私を包み込み、ゴロゴロ転がり、止まる。
痛みに震え、血がチョロチョロ流れる右目を抑えて、私を見ている。
「痛そうだね。辛いよねぇ。悪いが、それはお前が私に与えた痛み寄りも弱いんだよボケっ!」
そう言うと、再び咆哮を上げて地面を駆けるのではなく、地面を抉って、その瓦礫を放って来る。
ヒノの力があれば、飛びながら回避は可能。
「右目を狙って、火属性の魔法を!」
「火属性魔法、火の小槍!」
正確に命中し、貫かれた瞳が焼かれる。それに寄って、ヘイトが田中さんへと移る。
ヒノがオークの上空へと飛んで、回転する。
「目が回るぜ」
そのまま自由落下して行く。落下して行く度に増える運動エネルギー。
それを全て利用して、再びダンジョンで手に入れた戦鎚を出して行く。
「くらえ、ダンジョン入手、売値1000円の重みを!」
私の力では持てなかったただ重いハンマーを振り下ろす。
ブヂッと鈍い音を響かせながらオークの頭を撃ち落とす。
少しオークの膝が曲がったが、生きている様だ。
安心して欲しい。私も死んだとは微塵思ってないし考えてない。
「ヒノ、昇れ! 田中さんは走って離れて!」
「う、うん」
ハンマーを捨てて上空へと昇る。怒り浸透のオークがヒノを見上げる。
どんな目をしているか、場所的に見えない。
「爆ぜろ」
そして、ヒノの口を広げてパラパラと『爆発石』を落として行く。
一つ二千円で売れるが、利用価値があり、残していた。
ドバドバン、と連鎖で爆発して行く。
爆炎に包み込めるオークを見下ろし、オークはその中でも蠢く。
「ひぇー。流石はボスですかそうですか。楽に死んでくれたらどれ程嬉しい事か」
あともう一つの目を潰さないといけないのに。
「あ、そうだ。田中さん。服を脱ぐって意識しておいてください!」
「へ?」
そうじゃないと、ヒノを使った速攻着替えが出来ない。
さて、そろそろ爆炎が収まるので、私は落下する。
魔剣を構えて。
「死ねーーー(棒)」
『うおおおおお!』
赤く輝く鉈を振るう。斬撃でも飛ばすのだろうか?
ビンゴである。赤い斬撃を私に向かって放って来た。
「スキル使えるのかよ」
背中に隠れていたヒノが通常サイズに成り、私の落下軌道を変えて躱す。
目の前を過ぎ去る斬撃に怯えながらも、オークを見る。
「光とお別れをすませな」
魔剣の大きさと鋭さがあれば、目を突き刺せる。
血が噴水の様に出て来る。血を成る可く浴びる事にする。
ヌメっとした感覚に吐き気がする。臭い汚い。
最悪だ。もう帰りたい。
「ヒノ!」
手を伸ばして来るので、すぐさまヒノを左手で掴み、空を飛んで脱出する。
ヒノ飛び回避は良く使う。
「さーて、終わりにしようか」
私はすぐに田中さんに肉薄して、ヒノで包み込む。
適当にとある物を吐き出して、私はオークの上空に向かって、水の入ったペットボトルを投げる。
それを魔法で撃ち落として貰い、中の水がオークに降り掛かる。
「あの⋯⋯」
「シーー」
ここで音は出してはダメだ。重要なのは、相手の行動。
相手は化け物だ。だけど、考える知能はある。
鉈で遠距離攻撃をプログラムされたモンスターの様に弾いていたが、現実的に無意識で行う事がある。
それに掛ける。
「⋯⋯ニィ!」
私は笑みを浮かべた。相手の動きを見て、確実に勝てると分かったからだ。
相手は両目が機能しなく成った。痛みに悶えながらも、痛みを与えたゴミを処分する為に、その殺意を持って行動する。
ここで当然の事が思い浮かぶ。
目が見えない人はどの様に周囲を確認する?
棒を使って感覚で確認する。耳を頼りに音で確認する。
そして、無意識で行われるのは、使える中で一番優秀なモノを利用する事。
オークは、田中さんに向かって、鉈を振り下ろした。
ドンっと地面を殴った。埋まる鉈。かなりの力を込めた様だ。
田中さん⋯⋯そこには田中さんの服があった。
私のジャージも近くに置いてあったのだが、魔法を使う後方役を先に狙った様だ。
「豚は鼻が利く。だから鼻を利用して、臭いで場所を把握する。分かり易くてありがたいよ!」
私と田中さんの服を適当に放り出し、私達は水を浴びた。
成る可く臭いを落とす為だ。ジュースでも買っておけば、もっと成功率は上がったかもしれない。
ジャージにはオークの血もあるので、余計に信憑性を上げる。
服は念の為、今は着ないでおいた。
つまり、田中さんも私も裸だ。
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