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表情などはご自由にご想像ください

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 「ほ~ら。これが欲しいんでしょ? 素直に言いなさい」

 「ほ、欲しい⋯⋯です。お、じょうしゃま」

 「だったらその情けない顔を必死に動かしなさい」

 レッドオーガの討伐のご褒美として俺は何故か、ゼラモードの時に使う下着を摘んで唯華の顔の上でヒラヒラさせている。

 意味は無いけど手足をロープで拘束し、意味は無いけど腹の上に俺が乗っている。

 特に面白味は無いが、恍惚とした表情を浮かべヒラヒラさせている下着をハムハムしようと必死に舌を伸ばしていた。

 「お、じょうしゃまの匂いっ!」

 「洗濯したのだから匂わないわよ!」

 と、反射的にツッコミを入れてしまった。

 “頑張れ頑張れ!”
 “ご褒美なの?”
 “ご褒美以外に何に見えると言うのだ”
 “ゼラ様のゴミを見る目、最高です”

 “まだだ。まだゼラ様なら攻められる!”
 “もっと魅せてくれよ!”
 “これで終わらないよな?”
 “もっとやれよ”

 “これだけだとつまらんぞ”
 “おいおい”
 “一番の見所はオーガをワンパンした事か”
 “オーガも使って何かして欲しい”

 ふむ。これだけで終わろうと思ったけどそれはダメそうだな。

 ここは心を鬼にして何とかせねばならんか。

 「はぁ。はぁ」

 白い息を口から等間隔で吐き出す唯華を見たら、固めた決意が鈍りそうだった。

 その兆候が現れたのだろう。少しだけ尻を上げて逃げようかと考えた。

 「グッ」

 ダメである。

 このままでは視聴者の求めているエンタメは提供できない。

 ほんと、何でこんなコンセプトで来てしまったのか。

 全力で拒否しておけば良かった。唯華に押される形で採用するんじゃなかった。

 「ふぅ」

 上げた身体を力強く下げて腹を押し込む。

 普通ならば苦しいだろうが、唯華の筋力と少女の体重ではあまり圧迫感は与えられない。

 だが、僅かな一点に集中する衝撃は反射的に空気を逆流させる。

 「うぐっ」

 唾液でテカテカと光を反射する生暖かい舌に左手の人差し指を当てて、撫でる。

 「ひゃっ」

 フーっと耳に息を当てると、可愛らしい声を出した。

 そのまま囁く。

 「ねぇ、ゼラ様の下着コレ欲しい?」

 「ほ、欲しい⋯⋯でしゅ」

 耳に空気を当てられるとくすぐったく感じる。唯華も例外では無い。

 身体の震え方が微妙に変化したのだ。

 身体を起こして、物欲しそうな顔をしている唯華の舌に親指も追加してこねくり回す。

 「ねぇ、欲しい?」

 なるべく悪魔のように⋯⋯相手の心を恐怖に陥れるように⋯⋯悪そうな笑みを浮かべた。

 すると、彼女の歪んだ笑みはさらに深みを増して俺の神経を逆撫でする。

 「ほ、欲しいです」

 “何してるの?”
 “でもエロいな”
 “ベロを執拗に攻めてる”
 “それだけなのに、凄くエロいのはなぜ?”

 俺は唯華の舌を引っ張り出して、親指と中指で挟む。

 そして喉奥に突っ込むのでは無いか、そう思わせる程に舌正中溝を滑らせるように人差し指を差し込む。

 それだけでも苦しさは来るだろう。

 ずっと口を開けているため、口の中に溜まっていた唾液が耐えきれずに外に流れ出した。

 ベトベトとした唾液が顎なども輝かせる。

 「汚いわね」

 「~~~~~ッ!!!」

 「お~いしい」

 俺は顎の唾液をペロッと舐め取り、ごくんっと飲み込んだ。

 「ねぇ、欲しい?」

 何が悲しくて、変身先で使う下着を自分の顔横でヒラヒラさせないといけないのか。

 不思議だ。

 「ほ、ほひいです」

 「え? 何言ってるか分からないな~。ちゃんと言いなさいよ~」

 言えない状況を作っておきたがら何を言っているのか。

 冷静な俺は自分に対してツッコミを入れる。平常心を保つために。

 “最高だぜ!”
 “やっぱゼラ様だな!”
 “ちょっと鬼畜なの良き!”
 “そろそろメイドさんのパンティが濡れそう。あ、もう手遅れか”

 下半身を前後に動かして、腹への圧迫感を増やして行く。

 彼女に対して効果があるか分からないが、唾液の放出量が増したのできっとあるのだろう。

 「ほら、もう一度ちゃんと言いなさい。欲しいの?」

 「ほ、ほひいでしゅ」

 「だ~か~ら~ちゃんと言いなさいよ。そんなんじゃ分からないじゃない。もしかして⋯⋯いらないのかしら?」

 顔を左右に揺らして否定する。⋯⋯そこは肯定してくれても良いんだよ?

 続けるしかないのか。

 「じゃあどうするのか、ちゃんとこの口で言いなさい」

 そう言いながら指への力を上げる。下着を唯華の眼前に持って行き、見せつけるように揺らす。

 下着へと視線が動く。恍惚としており飛び出さん勢いで力強くなる。

 「お、おいいえいぅ」

 「何言ってるか分からないな~だらしなく喘いでみっともない。その汚いヨダレにまみれた顔⋯⋯何て無様なの」

 「う、いあえん」

 ゾクッ⋯⋯俺の中で何かが鼓動した。

 もっと攻めたい。もっと唯華の乱れる顔が見たい。

 もっと⋯⋯。

 「ッ!」

 “ゼラ様?”
 “止まった?”
 “様子が変なんだけど”
 “賢者タイムの我もしかと見た”

 今、俺は何を考えていた?

 普段の俺ならそんな事考えないはずだ。

 ⋯⋯ゼラになりかけてる?

 まずいな。早く切り上げて帰らないと取り返しのつかない事になる。

 どうにか終わらせる方法を⋯⋯。

 「⋯⋯ぇ」

 消え入るような小さな声。

 俺達の前に巨大な蜘蛛が現れていたのだ。

 全然気づかなかった。

 蜘蛛特有の見るだけで嫌悪感が出る見た目が⋯⋯とにかく怖かった。

 その証拠に今の俺、半泣きだもん。

 「食べ⋯⋯」

 食われてしまうんじゃないか。そう怯えてしまう。

 ゼラは臆病であり怖がりなのだ。強気の振る舞いはそれを隠すため。

 メスガキにも理由があるのだ。

 その心も強く反映されているのだろう。必要以上に恐怖感がある。

 「⋯⋯ゼラ様との尊き至高のお時間を妨害する害虫め。生きて巣を作れると思うなよっ!」

 強烈な殺気が唯華から放出される。

 蜘蛛から放たれる俺らを捕らえる蜘蛛の糸。回避するため俺を抱えてジャンプした。

 「⋯⋯メリー」

 「ゼラ様お時間をいただきます。至高の時間を中断させた下郎の害虫カスを駆除します」

 それだけ言うと、唯華は蜘蛛に向かって歩いた。

 蜘蛛の糸が放たれる。粘性の高い蜘蛛の糸は斬りにくい。

 それに蜘蛛の糸は頑丈なのだ。

 「薄汚い。白い排泄物及び液体系統はゼラ様が私に対してのみ許されるのだ」

 何言ってんのこのメイド。理解できる人がいるなら見てみたい。

 「フッ!」

 蜘蛛の糸は熟練の剣士でも斬るのは難しい。それだけ硬く柔らかい性質を持つ。

 だが唯華は。彼女は包丁一本で切断した。

 パラパラと短い糸が雪のように舞い降る。

 一つ一つが光を反射して、銀色の世界を形成していた。

 「懺悔は聞きませんよ。私達の愛を邪魔したのです。それだけで死は免れません。クズにどんな考えがあったか興味はありませんが、大人しくドブに落とされるような生ゴミを食らって密かに生きていれば長生きはできたでしょうね」

 それだけ言うと、銀色の一閃を生み出した。

 巨大な蜘蛛は真っ二つにされ、緑色の毒々しい血を噴水の如く吹き出した。

 「⋯⋯チィ。脆いクズが」

 唯華はそれだけ吐き捨て、八つ当たりのように身体を粉々にしていた。

 ⋯⋯うん。一番怖いのはやっぱり彼女だ。

 ゼラに寄っていた心が少しだけ平常に戻った気がする。

 天へと帰還した。

 色々と疲れた気がする。

 「うぅ。あの害虫の後ご褒美の続きが欲しかったです」

 「まだ言ってるの? 十分でしょ。だいたい、あれじゃご褒美なのかおしおきなのか分からないじゃない」

 「世の中『褒美』と書いて『おしおき』って読むんですよ」

 「はは。漢字の勉強しような」

 換金しに向かう前に兵士に止められる。

 思い出を振り返り浸かっていた唯華が現実に戻され、怒りを兵士に向けていた。兵士は3歩程下がった。

 「ここ最近、子供の行方不明事件が多発しております。お気をつけてください」

 「ゼラは子供じゃないわよ!」

 中身は大人です! 見た目は幼女だけど。

 ⋯⋯あ。この返しは子供っぽい。メスガキ設定だから問題ない?

 ん~分からん。

 「それは重々承知しておりますが、被害者の共通点として幼女なのです。失礼は承知ですが見た目が幼いため、狙われる可能性はあります」

 言い方的には誘拐に聞こえる。

 今は行方不明として扱われているが、何かのきっかけがあればすぐに誘拐として扱われる状態なのだろう。

 「そう。気をつけておくわ」

 物騒な事件だな。

 「そんな野蛮でロリコン変態野郎がゼラ様に近づいたら、私が速やかにミンチにしてハンバーグにします」

 俺と兵士はその言葉に何も言わなかった。

 「⋯⋯じょ、冗談ですよ。なので反応していただけませんかゼラ様?」

 「⋯⋯冗談で安心したわ」

 「ゼラ様は私をなんだと思ってるんですか」

 「献身的で頼りになる⋯⋯」

 「ん~ッ!」

 嬉しそう。

 「超を付けれる程に変態の⋯⋯」

 「ん~ッ!」

 嬉しそう。

 「ゴリラ並に力強いメイドコスプレ女」

 「⋯⋯」

 嬉しくなさそう。

 「嘘よ。このゼラに仕える事を許された優秀なメイドよ」

 「ゼラ様ッ!」

 ⋯⋯はぁ。動画でもないのに兵士がいるから演技してしまった。

 まぁ、九割本音だけど。

 「さて、帰るわよ」

 「はいっ」
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