物理系魔法少女は今日も魔物をステッキでぶん殴る〜会社をクビになった俺、初配信をうっかりライブにしてしまい、有名になったんだが?〜

ネリムZ

文字の大きさ
上 下
161 / 179

物理系魔法少女、最終戦の祈り

しおりを挟む
 空を先程までよりも速い速度で飛び回る真っ白なドラゴン。

 真っ白と表現するよりもスケスケと表現するべきなのだろうか?

 脳みそどころか臓器がなく、生きているかも怪しいフォルムへと変貌していた。

 腐っていたドラゴンソンビの時よりも生き生きとした骨を見せている奴。

 「アカツキさん。これは一体どう言う事でしょうか?」

 「聞くな。俺だって聞きたい。なんだよこれ。さすがにこんなのは初めてだぞ」

 停止して俺達を見下ろすドラゴンの見た目は⋯⋯骨である。

 ボーンドラゴン、スケルトンドラゴン、とりあえず骨のドラゴンだ。

 だんだんと肉体が無くなって、最終的に骨になりやがった。

 だと言うのに飛行速度は健在どころか上昇している。

 「デタラメじゃないか。そんなの」

 「弱音を吐いても仕方ありませんわよ。やるしかありませんわ」

 その通りだと思い、俺は一歩前に出る。

 とことん俺はアンデッドに好かれているのだろう。

 何回も倒したと思ったら、その度に進化や再生で蘇りやがって。

 もうスッキリさせてくれよ。倒れていてくれよ。

 なんでまだ戦おうとすんだよ。

 お前の負けで良いじゃんかよ。

 「はぁああああ」

 大きくため息を吐いて、頭の中で呟いた文句を吐き出した。

 クリアになった頭で俺はドラゴンに向き合う。

 「スケリトルドラゴン、腐食攻撃はありませんが、魔法攻撃が強くなっておりますわ」

 「りょーかい」

 まずはジャンプで接近すると、シロエさんの言った通り、魔法が放たれた。

 形の決まった魔法だったので、蹴り返す。もちろん回避されたが。

 『まさか新たな進化形態があるとは』
 『さすがにもう削るモノないし、最終形態だよな?』
 『レッドドラゴンからドラゴンゾンビになって、スケリトルドラゴンになったと』

 『肉とか削ぎ落としているのになんで強くなってんだよ』
 『ここまでなるか?』
 『ゾンビ化じゃなくてスケルトン化だったか』

 さて、今まで以上のスピードを持たれたらどうやって対処したもんかな。

 重量も軽くなってそうだし。

 「魔法が来ますわ!」

 「魔法なら、問題ない!」

 空中に顕現した魔法陣から魔法の雨が降るが、俺の突き出したパンチで一気に破壊して行く。

 しかし、二重魔法陣だったようで、殴り終わった後からも魔法は降って来る。

 「防ぎますわ!」

 シロエさんの闇によってそれは防ぎ、彼女は闇の剣を伸ばす。

 同様に闇で形成した巨大な腕に握られた剣をドラゴンに振るうが、簡単に避けられる。

 さらに、爪の攻撃で闇が切断された。追従は許さないようだ。

 「届けよ俺の一発!」

 闇の腕を泳いで向かって、飛び出てドラゴンに向かって拳を突き出した。

 俺の放った拳は空振りに終わったが、殴り終わりの衝撃波が向かう。

 「ちぃ」

 『結界魔法やな』
 『防御にも使えるけど、あれって拘束にも使えたよな』
 『アカツキの場合はただの足場』

 空中に投げ出された身体に向かって、ドラゴンは口を開けて迫って来る。

 食われるタイミングで拳を叩き込もうと固めると、急に方向転換して回転し、下から尻尾の攻撃が迫って来た。

 予想外の攻撃によって俺は高く飛ばされる。

 「足の骨は無事だな」

 ステッキをスケボーにして足場を作り、ドラゴンに向かってジャンプしようかと思ったが、奴は既に目の前に迫っていた。

 「まじぃ」

 振るわれる凶悪な爪の薙ぎ払いは俺の全身を捉えている。

 防御はしたが、それでも加わる力を完全に抑えられている訳では無い。

 「いってぇな!」

 再び飛行して迫って来るドラゴン。

 俺に攻撃をする猶予を与えずに、物理攻撃で攻めて来るようだ。

 魔法だと打ち返されるのが分かったからか?

 だからって、俺もなんの反撃もできないままずっと嬲られるつもりは無い。

 相手の爪が来るタイミングで、身体の捻りを利用して拳を突き出す。

 「え?」

 しかし、反撃のタイミングをしっかりと合わせたつもりの攻撃は空中を殴っていた。

 下から強い衝撃が加わり、天井まで飛ばされた。

 天井に突き刺さって、落下する。

 機動力が段違いだ。

 『立場が逆転してる』
 「肉弾戦でアカツキが押されているだと?」
 『肉弾戦⋯⋯片方骨だけど』

 『アカツキをあんなにポンポン飛ばすって、どんな筋肉してんねん』
 『パワーならアカツキちゃんが上だし』
 『さっさと反撃しろ!』

 『こんな時でもパンチラはねぇのか!』
 『そんな状況じゃないからな?』
 『空気が読めないヤツめ』

 落下している俺に向かって来るドラゴン。反撃したいが、また同じような攻撃が来る気がする。

 攻撃に備えると、大量の黒い炎の弾丸が飛ばされる。

 さすがにそれを受ける訳にはいかないので、突き出した拳で破壊する。

 重心がしっかりしてないので、パンチ力が弱い。

 「くっ」

 殴り終わったタイミングで肉薄して来たドラゴンの横薙ぎの尻尾が襲う。

 横に強く吹き飛ぶ。

 「アカツキさんっ!」

 闇を使って高速で向かって来るシロエさん。しかし、俺の飛ばされる速度の方が上らしい。

 それよりも速いのが今のドラゴンだ。

 「がはっ」

 地面に向かって爪で叩き落とされ、下に転がっていたゴーレムを破壊した。

 脳が揺らされる。

 「なんか地面に来れたな」

 身体の節々が痛いが、固めた筋肉のおかげで骨は折れてない。

 だったら、まだ戦えるよな。

 「最終ラウンドであれよ、ドラゴン!」

 「グガアアアアアアア!」
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。 異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。 せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。 そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。 これは天啓か。 俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

処理中です...