物理系魔法少女は今日も魔物をステッキでぶん殴る〜会社をクビになった俺、初配信をうっかりライブにしてしまい、有名になったんだが?〜

ネリムZ

文字の大きさ
上 下
158 / 179

物理系魔法少女、真の全力を受けよ

しおりを挟む
 「防ぎなさい!」

 闇によって全てを腐らせるブレスを防御する。

 全てを腐らせるブレスだが、闇を腐らせるには時間がかかるようだ。

 防御したのを把握したのか、ドラゴンは加速してシロエさんの背後を取った。

 緑色に変色したゴツゴツした爪を立てて、襲いにかかる。

 「⋯⋯さようならですわ」

 シロエさんは自ら自分の足場を円形状に消して、落下して行く。

 ドローンカメラもシロエさんを追って行き、近接攻撃をしようとしていたドラゴンも闇に巨大な穴を空けて迫る。

 『アカツキはどこぞ?』
 『助っ人さん大丈夫?!』
 『やばいやばい』

 シロエさんの落下速度よりも、ドラゴンの迫る速度の方が速いようだ。

 だったら、俺が本気で下に向かってジャンプしたら、それよりも速いよな?

 「必殺マジカルシリーズ」

 俺は闇の足場の裏側に張り付いていた。

 最初からこの一撃を与えるために。

 「本気跳躍マジカルジャンプ

 シロエさんに爪が届くよりも速く、俺はドラゴンに向かって進む。

 どす黒い光を輝かさながら白い少女に迫る腐りかけのドラゴン。

 そんな奴に迫るのは高速に落下する、唐紅の少女中身おっさんだ。

 「必殺マジカルシリーズ」

 拳を固めて、狙うのは翼と身体の付け根。

 「本気殴りマジカルパンチ

 俺の拳がめり込み、確実に砕けた翼。

 ドラゴンはまっすぐ地面に落下して行く。

 「アカツキさんっ!」

 俺は伸ばされたシロエさんの手を掴む。

 『なんか来たっ!』
 『びっくりしたんだけど』
 『上に居たの? えっ? どこ?』

 『アカツキがいきなり来たんやけど』
 『心臓に悪いわ』
 『リアルでビクッとなった』

 闇のパラシュートでゆっくりと降下していく。

 シロエさんが闇で槍の形を形成する。

 「もう一つの翼を」

 「任せて」

 俺はそれを受け取り、シロエさんから離れる。

 パラシュートの滑空が無くなった事により、重力によって落下して行く。

 上に向かってかかる風に抗うように槍を投げる。

 まっすぐ飛んで行く槍は砕けなかったもう片方の翼の付け根、そこを正確に貫いた。

 断末魔をあげるドラゴンに向かって着地と同時に突き進む。

 再生できる時間が無いと判断したのか、奴は俺に向き直りブレスを溜める。

 「シィ!」

 ブレスが放たれたと同時に大きく横にステップして回避し、ドラゴンは上から降り注ぐ巨大な闇によって潰れる、ブレスは中断。

 そこから爆発が起こって脱出したドラコンは爪を緑色に輝かせて迫ってくる。

 「肉弾戦は望むところだ!」

 俺はステッキをバットにして、振るわれた爪を防ぐ。

 両手で持ったバットに対して、爪の攻撃は連続で二回できる。

 なので当然、俺の横側から巨大な爪が迫って来る訳だ。

 「ふんっ!」

 その爪を蹴り飛ばして、口を開いて迫って来るのでステッキを槍にして間に挟み、食われないようにする。

 初めて口の中に入れられた時よりも断然臭かった。

 生臭いのと腐った臭いが合わさっている。

 牛乳を吸収した雑巾が知らず知らずに数年経過した後の臭い、なんてコイツの口臭と比べたら大した事ないね。

 「吐気がして来た⋯⋯違うなこれ」

 臭くて目眩とか来たけど、多分違う。

 今のドラゴンにはそのような効果、スキルがあるのだ。

 目眩と吐気、ダルさが全身にかかっている。

 「やべぇ。力が⋯⋯」

 力が抜けて、徐々に押されていく。

 ステッキは破壊不可能のチート性能なので、壊れる事は無いけど。

 後ろには岩があり、そこに押し当てるつもりなのだろう。

 それだけじゃない。喉の奥に緑色の光が見える。

 ブレス攻撃か。

 「頑張れ俺。頑張れ!」

 全力を振り絞ってドラゴンの頭を持ち上げて、下に空間を作り出す。

 後はタイミングだ。

 力を込められるのにも限界がある。

 「ふぅ。今だ」

 覚悟を決めて俺はステッキから手を離して、ロリ化しながら屈んで腹を通り抜けて抜け出す。

 ステッキも戻って来いと念じればしっかりと戻って来る。

 すぐに元のサイズに戻る。

 「ゴホゴホ」

 息を吸いすぎたのか、口から濁った血を吐き出した。

 「大丈夫ですか!」

 地面に降り立ったシロエさんの回復魔法でダルさも収まっていく。

 ドラゴンの方を見れば、向き直って走る準備をしていた。

 「アイツの息、やべぇな」

 「ブレスもですわ」

 ドロドロに溶けた岩を見て、ようやく俺は危険な魔物と戦っているのだと自覚した。

 だからと言って、逃げるつもりは毛ほどもないけどな。

 「次はどんな作戦で行く?」

 「そうですわね。一緒に攻撃しまくるなんてどうでしょうか?」

 「戦略も何もねぇな。ただのゴリ押し⋯⋯だけど俺らしい」

 シロエさんが手と手を合わせて、パンチと言う音を出した。

 同時に影から白い闇が溢れ出て、海のように闇を生み出す。

 「ゴー!」

 俺は闇の上を全力で走る。

 ドラゴンも全身に緑色のオーラを纏って闇の中を突進する。

 闇の海は分離して弾丸のように襲いかかる。

 「届く前に腐りますわね。でしたら!」

 闇の海は今度は巨大な手足を作り出した。

 「白闇の百手百足ホワイトダーク・ヘカトンケイル!」

 大量の手足がドラゴンに一斉に襲いかかり、その動きを止めた。

 さらに、闇は変形して剣のように突き刺さって行く。

 「行くぜ!」

 これが正真正銘、全力のパンチだ。

 俺はドラゴンの目の前に降り立った。

 動きが完全に止まっている。

 「必殺マジカルシリーズ」

 拳を固めて、正拳突きの構えを取る。

 「本気殴りマジカルパンチ
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。 異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。 せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。 そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。 これは天啓か。 俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~

喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。 庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。 そして18年。 おっさんの実力が白日の下に。 FランクダンジョンはSSSランクだった。 最初のザコ敵はアイアンスライム。 特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。 追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。 そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。 世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

処理中です...