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物理系魔法少女、真の全力を受けよ
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「防ぎなさい!」
闇によって全てを腐らせるブレスを防御する。
全てを腐らせるブレスだが、闇を腐らせるには時間がかかるようだ。
防御したのを把握したのか、ドラゴンは加速してシロエさんの背後を取った。
緑色に変色したゴツゴツした爪を立てて、襲いにかかる。
「⋯⋯さようならですわ」
シロエさんは自ら自分の足場を円形状に消して、落下して行く。
ドローンカメラもシロエさんを追って行き、近接攻撃をしようとしていたドラゴンも闇に巨大な穴を空けて迫る。
『アカツキはどこぞ?』
『助っ人さん大丈夫?!』
『やばいやばい』
シロエさんの落下速度よりも、ドラゴンの迫る速度の方が速いようだ。
だったら、俺が本気で下に向かってジャンプしたら、それよりも速いよな?
「必殺マジカルシリーズ」
俺は闇の足場の裏側に張り付いていた。
最初からこの一撃を与えるために。
「本気跳躍」
シロエさんに爪が届くよりも速く、俺はドラゴンに向かって進む。
どす黒い光を輝かさながら白い少女に迫る腐りかけのドラゴン。
そんな奴に迫るのは高速に落下する、唐紅の少女中身おっさんだ。
「必殺マジカルシリーズ」
拳を固めて、狙うのは翼と身体の付け根。
「本気殴り」
俺の拳がめり込み、確実に砕けた翼。
ドラゴンはまっすぐ地面に落下して行く。
「アカツキさんっ!」
俺は伸ばされたシロエさんの手を掴む。
『なんか来たっ!』
『びっくりしたんだけど』
『上に居たの? えっ? どこ?』
『アカツキがいきなり来たんやけど』
『心臓に悪いわ』
『リアルでビクッとなった』
闇のパラシュートでゆっくりと降下していく。
シロエさんが闇で槍の形を形成する。
「もう一つの翼を」
「任せて」
俺はそれを受け取り、シロエさんから離れる。
パラシュートの滑空が無くなった事により、重力によって落下して行く。
上に向かってかかる風に抗うように槍を投げる。
まっすぐ飛んで行く槍は砕けなかったもう片方の翼の付け根、そこを正確に貫いた。
断末魔をあげるドラゴンに向かって着地と同時に突き進む。
再生できる時間が無いと判断したのか、奴は俺に向き直りブレスを溜める。
「シィ!」
ブレスが放たれたと同時に大きく横にステップして回避し、ドラゴンは上から降り注ぐ巨大な闇によって潰れる、ブレスは中断。
そこから爆発が起こって脱出したドラコンは爪を緑色に輝かせて迫ってくる。
「肉弾戦は望むところだ!」
俺はステッキをバットにして、振るわれた爪を防ぐ。
両手で持ったバットに対して、爪の攻撃は連続で二回できる。
なので当然、俺の横側から巨大な爪が迫って来る訳だ。
「ふんっ!」
その爪を蹴り飛ばして、口を開いて迫って来るのでステッキを槍にして間に挟み、食われないようにする。
初めて口の中に入れられた時よりも断然臭かった。
生臭いのと腐った臭いが合わさっている。
牛乳を吸収した雑巾が知らず知らずに数年経過した後の臭い、なんてコイツの口臭と比べたら大した事ないね。
「吐気がして来た⋯⋯違うなこれ」
臭くて目眩とか来たけど、多分違う。
今のドラゴンにはそのような効果、スキルがあるのだ。
目眩と吐気、ダルさが全身にかかっている。
「やべぇ。力が⋯⋯」
力が抜けて、徐々に押されていく。
ステッキは破壊不可能のチート性能なので、壊れる事は無いけど。
後ろには岩があり、そこに押し当てるつもりなのだろう。
それだけじゃない。喉の奥に緑色の光が見える。
ブレス攻撃か。
「頑張れ俺。頑張れ!」
全力を振り絞ってドラゴンの頭を持ち上げて、下に空間を作り出す。
後はタイミングだ。
力を込められるのにも限界がある。
「ふぅ。今だ」
覚悟を決めて俺はステッキから手を離して、ロリ化しながら屈んで腹を通り抜けて抜け出す。
ステッキも戻って来いと念じればしっかりと戻って来る。
すぐに元のサイズに戻る。
「ゴホゴホ」
息を吸いすぎたのか、口から濁った血を吐き出した。
「大丈夫ですか!」
地面に降り立ったシロエさんの回復魔法でダルさも収まっていく。
ドラゴンの方を見れば、向き直って走る準備をしていた。
「アイツの息、やべぇな」
「ブレスもですわ」
ドロドロに溶けた岩を見て、ようやく俺は危険な魔物と戦っているのだと自覚した。
だからと言って、逃げるつもりは毛ほどもないけどな。
「次はどんな作戦で行く?」
「そうですわね。一緒に攻撃しまくるなんてどうでしょうか?」
「戦略も何もねぇな。ただのゴリ押し⋯⋯だけど俺らしい」
シロエさんが手と手を合わせて、パンチと言う音を出した。
同時に影から白い闇が溢れ出て、海のように闇を生み出す。
「ゴー!」
俺は闇の上を全力で走る。
ドラゴンも全身に緑色のオーラを纏って闇の中を突進する。
闇の海は分離して弾丸のように襲いかかる。
「届く前に腐りますわね。でしたら!」
闇の海は今度は巨大な手足を作り出した。
「白闇の百手百足!」
大量の手足がドラゴンに一斉に襲いかかり、その動きを止めた。
さらに、闇は変形して剣のように突き刺さって行く。
「行くぜ!」
これが正真正銘、全力のパンチだ。
俺はドラゴンの目の前に降り立った。
動きが完全に止まっている。
「必殺マジカルシリーズ」
拳を固めて、正拳突きの構えを取る。
「本気殴り」
闇によって全てを腐らせるブレスを防御する。
全てを腐らせるブレスだが、闇を腐らせるには時間がかかるようだ。
防御したのを把握したのか、ドラゴンは加速してシロエさんの背後を取った。
緑色に変色したゴツゴツした爪を立てて、襲いにかかる。
「⋯⋯さようならですわ」
シロエさんは自ら自分の足場を円形状に消して、落下して行く。
ドローンカメラもシロエさんを追って行き、近接攻撃をしようとしていたドラゴンも闇に巨大な穴を空けて迫る。
『アカツキはどこぞ?』
『助っ人さん大丈夫?!』
『やばいやばい』
シロエさんの落下速度よりも、ドラゴンの迫る速度の方が速いようだ。
だったら、俺が本気で下に向かってジャンプしたら、それよりも速いよな?
「必殺マジカルシリーズ」
俺は闇の足場の裏側に張り付いていた。
最初からこの一撃を与えるために。
「本気跳躍」
シロエさんに爪が届くよりも速く、俺はドラゴンに向かって進む。
どす黒い光を輝かさながら白い少女に迫る腐りかけのドラゴン。
そんな奴に迫るのは高速に落下する、唐紅の少女中身おっさんだ。
「必殺マジカルシリーズ」
拳を固めて、狙うのは翼と身体の付け根。
「本気殴り」
俺の拳がめり込み、確実に砕けた翼。
ドラゴンはまっすぐ地面に落下して行く。
「アカツキさんっ!」
俺は伸ばされたシロエさんの手を掴む。
『なんか来たっ!』
『びっくりしたんだけど』
『上に居たの? えっ? どこ?』
『アカツキがいきなり来たんやけど』
『心臓に悪いわ』
『リアルでビクッとなった』
闇のパラシュートでゆっくりと降下していく。
シロエさんが闇で槍の形を形成する。
「もう一つの翼を」
「任せて」
俺はそれを受け取り、シロエさんから離れる。
パラシュートの滑空が無くなった事により、重力によって落下して行く。
上に向かってかかる風に抗うように槍を投げる。
まっすぐ飛んで行く槍は砕けなかったもう片方の翼の付け根、そこを正確に貫いた。
断末魔をあげるドラゴンに向かって着地と同時に突き進む。
再生できる時間が無いと判断したのか、奴は俺に向き直りブレスを溜める。
「シィ!」
ブレスが放たれたと同時に大きく横にステップして回避し、ドラゴンは上から降り注ぐ巨大な闇によって潰れる、ブレスは中断。
そこから爆発が起こって脱出したドラコンは爪を緑色に輝かせて迫ってくる。
「肉弾戦は望むところだ!」
俺はステッキをバットにして、振るわれた爪を防ぐ。
両手で持ったバットに対して、爪の攻撃は連続で二回できる。
なので当然、俺の横側から巨大な爪が迫って来る訳だ。
「ふんっ!」
その爪を蹴り飛ばして、口を開いて迫って来るのでステッキを槍にして間に挟み、食われないようにする。
初めて口の中に入れられた時よりも断然臭かった。
生臭いのと腐った臭いが合わさっている。
牛乳を吸収した雑巾が知らず知らずに数年経過した後の臭い、なんてコイツの口臭と比べたら大した事ないね。
「吐気がして来た⋯⋯違うなこれ」
臭くて目眩とか来たけど、多分違う。
今のドラゴンにはそのような効果、スキルがあるのだ。
目眩と吐気、ダルさが全身にかかっている。
「やべぇ。力が⋯⋯」
力が抜けて、徐々に押されていく。
ステッキは破壊不可能のチート性能なので、壊れる事は無いけど。
後ろには岩があり、そこに押し当てるつもりなのだろう。
それだけじゃない。喉の奥に緑色の光が見える。
ブレス攻撃か。
「頑張れ俺。頑張れ!」
全力を振り絞ってドラゴンの頭を持ち上げて、下に空間を作り出す。
後はタイミングだ。
力を込められるのにも限界がある。
「ふぅ。今だ」
覚悟を決めて俺はステッキから手を離して、ロリ化しながら屈んで腹を通り抜けて抜け出す。
ステッキも戻って来いと念じればしっかりと戻って来る。
すぐに元のサイズに戻る。
「ゴホゴホ」
息を吸いすぎたのか、口から濁った血を吐き出した。
「大丈夫ですか!」
地面に降り立ったシロエさんの回復魔法でダルさも収まっていく。
ドラゴンの方を見れば、向き直って走る準備をしていた。
「アイツの息、やべぇな」
「ブレスもですわ」
ドロドロに溶けた岩を見て、ようやく俺は危険な魔物と戦っているのだと自覚した。
だからと言って、逃げるつもりは毛ほどもないけどな。
「次はどんな作戦で行く?」
「そうですわね。一緒に攻撃しまくるなんてどうでしょうか?」
「戦略も何もねぇな。ただのゴリ押し⋯⋯だけど俺らしい」
シロエさんが手と手を合わせて、パンチと言う音を出した。
同時に影から白い闇が溢れ出て、海のように闇を生み出す。
「ゴー!」
俺は闇の上を全力で走る。
ドラゴンも全身に緑色のオーラを纏って闇の中を突進する。
闇の海は分離して弾丸のように襲いかかる。
「届く前に腐りますわね。でしたら!」
闇の海は今度は巨大な手足を作り出した。
「白闇の百手百足!」
大量の手足がドラゴンに一斉に襲いかかり、その動きを止めた。
さらに、闇は変形して剣のように突き刺さって行く。
「行くぜ!」
これが正真正銘、全力のパンチだ。
俺はドラゴンの目の前に降り立った。
動きが完全に止まっている。
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