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物理系魔法少女、言い訳不可
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「ただいま~!」
紗奈ちゃんが帰って来たので、俺達三人でお出迎えした。
食材を買ってきていたらしい。
「ごめん。本当は俺が手伝うべきなんだろうけど」
まだ上手く身体が動かせない事を謝罪すると、彼女は笑ってご飯を作り始める。
あのちょっと笑みの浅い笑顔は何か嫌な事があったな。
でもそれを聞いて余計に彼女を不快にしたくはない。
「明日動けそうならギルド行くね」
「うん。それで星夜さん」
「ん?」
「さすがにもう無理だと思うから聞くけどさ、魔法少女アカツキって星夜さんだよね?」
⋯⋯はて?
魔法少女アカツキとは一体なんの事だろうか?
秘書さんが慣れた手つきでテレビを操作して配信サイトを開いて、魔法少女アカツキのチャンネルを開いた。
そして最新のライブ映像であるがしゃどくろ戦を開いて、そこまで時間を早送りする。
「相変わらずパンチばっかりだね」
ユリアさんが楽しそうに見ている。
待って。紗奈ちゃんの発言に驚愕を示しているのが俺しかいないんだけど?
待て待て。
これは俺の男しての沽券に関わる事だ。絶対に誤魔化す必要がある。
何か俺に誤魔化すための手札は存在しないのか?
誰か俺をこの場から救ってくれ。
「別に私は星夜さんが魔法少女として活動してても、大丈夫だからね」
「ち、違うぞ! 第一考えてみて欲しい、この女の子と俺の共通点を!」
紗奈ちゃんが煮込みを始めて手を落ち着かさて、ゆっくりとこちらを見てくる。
その目は全てを察した聖母のように暖かかった。
「一つ、弁当の包に刺繍した絵柄がコレと一致」
見せてくれるのは紗奈ちゃんが普段弁当を包んでいる袋、同時に動画は巻き戻されて弁当を食べている映像に。
がしゃどくろ戦に突入しそうなタイミングだったので、ユリアさんがしょぼんとしている。
俺は冷や汗が止まらない。
「ちなみに言うと、弁当箱と中身も一致ね。毎回写真も撮ってるよ」
徹底的な⋯⋯。
「二つ、ステータスカードが筋力寄りだったので、しっかりとアカツキと戦い方は同じになるよね?」
「そ、そんな事は⋯⋯」
「ステータスカードで武器防具などの購入履歴はしっかり管理されてるんだよ。星夜さんが購入した武器は今までに合計いくつでしょうか?」
ここで質問だと?!
「ちなみに暇な時間にずっと履歴観てるから嘘は通じないぞ」
「逃げ道が、ない」
「自白してるやん」
秘書さんのツッコミすら俺の耳には届かない。
「そしてアカツキちゃんの使ってる武器と道具はそれと一致しているね? ちなみにリュックとかもそうだね」
「リュックは証拠として薄いのでは?」
「うん。だからリュック以外の個性の出るところで証拠出してるでしょ?」
ちくしょう否定できない。
弁当とかが偶然にも被っているのならば、それはコンビニとかそこら辺だ。
完璧な栄養管理などがされた手作り弁当が偶然被りました、なんてのは通じずらい。しかも必ず毎回だ。
紗奈ちゃんの刺繍のある袋もそうだ。
「三つ目、クエストとかそこら辺も合致してるんだよ? さすがに私を侮り過ぎかな~」
「⋯⋯紗奈ちゃんの場合、アカツキを発見したのが偶然だったりしません?」
「⋯⋯しません」
「今の間は!」
これあれか?
たまたまアカツキの動画を見たら俺と確信してしまったパターンか!
ちくしょう。
「それは⋯⋯たまたま」
秘書さんが俺の肩をぽんっと叩く。
「あの場所でネクロマンサーはイレギュラーなんだぞ?」
「ちくしょう魔石を出すんじゃなかった!」
紗奈ちゃんが料理を終えたのか、机に並べていく。ユリアさんも手伝う。
「四つ目、ギルド職員として一人の妻として見過ごせなくなった要因⋯⋯レイド型の単独討伐と報酬のお持ち帰り」
「確かにそれはもう、言い逃れできない」
「待ちな? さっきまで言い逃れしようとしてたの? あんな確定情報になりうる証拠出されて? よーやるわ」
てかしれっと『妻』になっているのだが、それはツッコミを入れるべきか?
やめよう。否定すると拗れる。
「まぁもういまさらだし特に言う事は無いんだけどね」
俺は言い難い感情に支配されて、頭が真っ白になった。
自分の動画を知り合い観られるのがどれだけ恥ずかしい事か⋯⋯しかも完全に見た目が違うしさ。
もういっそ、楽になるか?
「で、もう一度ど言うけど、見過ごせなくなったのがその単独討伐のせいね」
「ん?」
「今や世界中がそれに注目しちゃってるのよ。どのクランもアカツキを手に入れうようと躍起になってる⋯⋯ギルドにも連絡の嵐よ」
「ほれ」
秘書さんがSNSを見せてくれると、確かにトレンド入りしている。
「レイド型は大人数で倒せるレベルの魔物なの。それを単独って」
「運が良かったんだよ」
「運だけじゃ片付けられないと思うけどね」
手は辛うじて動かせるので、ご飯を食べ始める。
「なんとか星夜さんががしゃどくろのドロップアイテムを持ち帰っている情報の漏洩は阻止している状況なの」
「いまさらだが、この話は当事者でもギルド職員でもないのに聞いて良いのか?」
「ユリアさんは大丈夫です。それで星夜さん、問題が報酬の受け取りなんですよ」
ぶっちゃけ全部換金で良いんだけどな。
「てか、ギルドが俺の正体を⋯⋯違うか。知ってたのか本部長も」
ギルドもアカツキを探すと考えたが、本部長は知っている可能性がある。
そう思い、呟いて秘書さんを見ると、親指を上げていた。
なるほどねぇ。
「だから明日はコイツ⋯⋯」
「コイツ言うな」
「⋯⋯の転移で支部長室に一旦行って、報酬の手続きをやろうか。アカツキちゃんを求めるクラン対策も支部長と一緒に考えようね」
なんか面倒な事になり始めたな。
俺頑張ったのに。
「ちなみに本部長も入るらしいよ」
秘書さんがご飯を食べながらそんな事を言った。
紗奈ちゃんが帰って来たので、俺達三人でお出迎えした。
食材を買ってきていたらしい。
「ごめん。本当は俺が手伝うべきなんだろうけど」
まだ上手く身体が動かせない事を謝罪すると、彼女は笑ってご飯を作り始める。
あのちょっと笑みの浅い笑顔は何か嫌な事があったな。
でもそれを聞いて余計に彼女を不快にしたくはない。
「明日動けそうならギルド行くね」
「うん。それで星夜さん」
「ん?」
「さすがにもう無理だと思うから聞くけどさ、魔法少女アカツキって星夜さんだよね?」
⋯⋯はて?
魔法少女アカツキとは一体なんの事だろうか?
秘書さんが慣れた手つきでテレビを操作して配信サイトを開いて、魔法少女アカツキのチャンネルを開いた。
そして最新のライブ映像であるがしゃどくろ戦を開いて、そこまで時間を早送りする。
「相変わらずパンチばっかりだね」
ユリアさんが楽しそうに見ている。
待って。紗奈ちゃんの発言に驚愕を示しているのが俺しかいないんだけど?
待て待て。
これは俺の男しての沽券に関わる事だ。絶対に誤魔化す必要がある。
何か俺に誤魔化すための手札は存在しないのか?
誰か俺をこの場から救ってくれ。
「別に私は星夜さんが魔法少女として活動してても、大丈夫だからね」
「ち、違うぞ! 第一考えてみて欲しい、この女の子と俺の共通点を!」
紗奈ちゃんが煮込みを始めて手を落ち着かさて、ゆっくりとこちらを見てくる。
その目は全てを察した聖母のように暖かかった。
「一つ、弁当の包に刺繍した絵柄がコレと一致」
見せてくれるのは紗奈ちゃんが普段弁当を包んでいる袋、同時に動画は巻き戻されて弁当を食べている映像に。
がしゃどくろ戦に突入しそうなタイミングだったので、ユリアさんがしょぼんとしている。
俺は冷や汗が止まらない。
「ちなみに言うと、弁当箱と中身も一致ね。毎回写真も撮ってるよ」
徹底的な⋯⋯。
「二つ、ステータスカードが筋力寄りだったので、しっかりとアカツキと戦い方は同じになるよね?」
「そ、そんな事は⋯⋯」
「ステータスカードで武器防具などの購入履歴はしっかり管理されてるんだよ。星夜さんが購入した武器は今までに合計いくつでしょうか?」
ここで質問だと?!
「ちなみに暇な時間にずっと履歴観てるから嘘は通じないぞ」
「逃げ道が、ない」
「自白してるやん」
秘書さんのツッコミすら俺の耳には届かない。
「そしてアカツキちゃんの使ってる武器と道具はそれと一致しているね? ちなみにリュックとかもそうだね」
「リュックは証拠として薄いのでは?」
「うん。だからリュック以外の個性の出るところで証拠出してるでしょ?」
ちくしょう否定できない。
弁当とかが偶然にも被っているのならば、それはコンビニとかそこら辺だ。
完璧な栄養管理などがされた手作り弁当が偶然被りました、なんてのは通じずらい。しかも必ず毎回だ。
紗奈ちゃんの刺繍のある袋もそうだ。
「三つ目、クエストとかそこら辺も合致してるんだよ? さすがに私を侮り過ぎかな~」
「⋯⋯紗奈ちゃんの場合、アカツキを発見したのが偶然だったりしません?」
「⋯⋯しません」
「今の間は!」
これあれか?
たまたまアカツキの動画を見たら俺と確信してしまったパターンか!
ちくしょう。
「それは⋯⋯たまたま」
秘書さんが俺の肩をぽんっと叩く。
「あの場所でネクロマンサーはイレギュラーなんだぞ?」
「ちくしょう魔石を出すんじゃなかった!」
紗奈ちゃんが料理を終えたのか、机に並べていく。ユリアさんも手伝う。
「四つ目、ギルド職員として一人の妻として見過ごせなくなった要因⋯⋯レイド型の単独討伐と報酬のお持ち帰り」
「確かにそれはもう、言い逃れできない」
「待ちな? さっきまで言い逃れしようとしてたの? あんな確定情報になりうる証拠出されて? よーやるわ」
てかしれっと『妻』になっているのだが、それはツッコミを入れるべきか?
やめよう。否定すると拗れる。
「まぁもういまさらだし特に言う事は無いんだけどね」
俺は言い難い感情に支配されて、頭が真っ白になった。
自分の動画を知り合い観られるのがどれだけ恥ずかしい事か⋯⋯しかも完全に見た目が違うしさ。
もういっそ、楽になるか?
「で、もう一度ど言うけど、見過ごせなくなったのがその単独討伐のせいね」
「ん?」
「今や世界中がそれに注目しちゃってるのよ。どのクランもアカツキを手に入れうようと躍起になってる⋯⋯ギルドにも連絡の嵐よ」
「ほれ」
秘書さんがSNSを見せてくれると、確かにトレンド入りしている。
「レイド型は大人数で倒せるレベルの魔物なの。それを単独って」
「運が良かったんだよ」
「運だけじゃ片付けられないと思うけどね」
手は辛うじて動かせるので、ご飯を食べ始める。
「なんとか星夜さんががしゃどくろのドロップアイテムを持ち帰っている情報の漏洩は阻止している状況なの」
「いまさらだが、この話は当事者でもギルド職員でもないのに聞いて良いのか?」
「ユリアさんは大丈夫です。それで星夜さん、問題が報酬の受け取りなんですよ」
ぶっちゃけ全部換金で良いんだけどな。
「てか、ギルドが俺の正体を⋯⋯違うか。知ってたのか本部長も」
ギルドもアカツキを探すと考えたが、本部長は知っている可能性がある。
そう思い、呟いて秘書さんを見ると、親指を上げていた。
なるほどねぇ。
「だから明日はコイツ⋯⋯」
「コイツ言うな」
「⋯⋯の転移で支部長室に一旦行って、報酬の手続きをやろうか。アカツキちゃんを求めるクラン対策も支部長と一緒に考えようね」
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「ちなみに本部長も入るらしいよ」
秘書さんがご飯を食べながらそんな事を言った。
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