物理系魔法少女は今日も魔物をステッキでぶん殴る〜会社をクビになった俺、初配信をうっかりライブにしてしまい、有名になったんだが?〜

ネリムZ

文字の大きさ
上 下
71 / 179

物理系魔法少女、銃を突きつけられる

しおりを挟む
 紗奈ちゃん達を見送った後、俺はのんびり今後についてぼんやりと考えながら茶を飲んでいたら、頭に冷たい感覚が広がった。

 それが何かは分からない⋯⋯だけどなんとなくだけど分かる。ただ身に覚えがない。

 多分だけど、銃だろう。

 突きつけられた事が無いので正しいかは分からない。

 「えっと、どちら様?」

 「冷静だな」

 「不法侵入は慣れてましてね」

 不法侵入に慣れていると言うパワーワード。

 だけど、その人達は皆美人なのだ。

 姿は見えないけどきっと彼女も美人だろう。そう思っていた方が気が楽だ。

 「エレキトルコアをどこにやった?」

 「エレキトルコア?」

 「とぼけるな!」

 とぼけてません!

 だから強く押し付けるのやめてもらっていいですか?

 怖いんで。

 つーか、本当になんだよそれ。

 「前に貴様がエレキテルタワーから回収した魔力燃料球体だ」

 「⋯⋯あー」

 「知っているな?」

 「知っていません」

 「嘘を言うな!」

 さて、どうしたもんかな。

 俺に武術の心得があったら、ここを脱出できたかもしれんが、生憎とそんなのは存在しない。

 魔法少女になったら切り抜けれるか? あれなら見た目も自由に変えられるから変身後の姿は分からん。

 変身前がバレてるので意味は無いけど。

 大体、ステッキを出した時点で発砲されたら終わりだ。

 「変に考え事をするな。撃つぞ」

 「撃ったらその⋯⋯なんでしたっけ?」

 「エレキトルコアだ」

 「そうそれ。それの情報が聞けなくなりますよ。情報を掴めているのは、俺が回収したと言うだけでどこにあるのかは分かってない、だから俺に聞こうとしている」

 あるいは他の情報源には手を出せない、出しにくいのかもしれない。

 あまり流暢な日本語じゃないので外国人なのは分かる。

 「だから君は俺を殺せない、そうだろ?」

 昔、ドラマとかアニメとかでこんな展開あった気がする。

 「そうだと思うか? お前を殺した後にアンデッドとして蘇らせて情報を聞き出せば良い。またはお前の頭の中を見てやれば良い。不可能だと思うか?」

 「それは合理的ですね。それだったら、最初からそうしていますよね? それができるなら、今俺を殺さないのは他の理由がある。⋯⋯何かと敵対してしまうとか?」

 「詮索は止めろ。どこにあるかを言え」

 俺に残された手札は⋯⋯魔法か。

 俺の魔法はイメージしたらある程度の事ならなんでもできるし、実体化もできる。

 もしもそのイメージを強くできたら、音なども再現できるじゃんないか?

 まるで、この空間そのものが幻のように。

 「早く言え、これ以上は待てんぞ」

 「俺はギルドに預けた。その後の行方は知らん」

 「嘘を言うな。一時的にお前が東京に『一瞬』で移動した情報は掴めんでるんだ」

 逆に言えば、それしか分かってないと。

 何をしていたのかは本当に分かっていないっぽいな。あるいは東京に居た事すらカモフラージュと思われているか。

 「ふっ、この俺を撃ったらどうなるか、分かっているのか?」

 「急に強気になっても、意味は無いぞ?」

 「嘘は意味無いと」

 だけど今の一瞬でさっきまでは無かった物を生み出せた。

 後は⋯⋯それらを使うのみ。

 発砲音と共にガラスの割れる音がこの部屋に響き渡る。

 成功だ。

 「なんだ!」

 「俺に銃口を向けるんだ。向けられる覚悟もあるよな?」

 「いつの間に!」

 適当にイメージした銃を俺の後ろに居る奴に向かっているように創り出した。

 結局は幻だ。

 銃弾が実体化するかは分からない。こんなケースは想定してなかったし。

 だけど警戒はしているっぽいな。

 「俺は空間魔法が使えるんだよ。護身用に亜空間に収納していた武器だ。空間をねじ曲げたら、君の銃も通じない。どうする?」

 適当な嘘をペラペラ並べたけど、通じるかな?

 正直、こんなあからさまに嘘を並べたから通じないとは思うけど⋯⋯。どう?

 「⋯⋯夜道には気をつけるんだな」

 「⋯⋯消えた、か。あ、もしかして相手の足元や俺の下にゲート出したら逃げれたんじゃね?」

 頭から抜けるんだよなぁ。

 ◆

 星夜の家に侵入したアメリカの特殊部隊の一人が拠点に帰還する。

 「すまない。情報は得られなかった⋯⋯寒くないか? 電気も付けないで」

 カチッと電気を付けると、そこで仲間達が氷の中に閉じ込めらている光景が目に入る。

 知らない女が二人、その場には居る。

 (気配を全く感じなかった?! 全員レベル8だぞ! こんな二人に⋯⋯それに自分も)

 「ハロー?」

 ポニーテールの女性が軽めの姿勢で話しかけて来る。

 スキルによって何語でも会話は成り立つと言うのに、適当な英語を並べる。

 「お前らは日本政府の手の者か?」

 「いやいや。あんな雑魚と一緒にしないでよ」

 「雑魚? 我々と対等に渡り合える強者だぞ!」

 「え、だから雑魚じゃん?」

 氷に閉じ込められている仲間を見れば、それもあながち間違いでは無いのかもしれない。

 銀髪の女性は酷く怒っている。殺気の重圧が動きを鈍らせる。

 「この人、情報とか言ってたよね? もしかしてさ
 星夜さんのとこ行ってたのかなぁ」

 「ちょ、紗奈落ち着いて? 大丈夫だって、何も無いよ。ね、だから落ち着こ?」

 「くっ、舐めるな日本人が!」

 銃を抜くが、一瞬でへし折れる。まるで空間がねじ曲がって折ったように。

 「それじゃ、話を気かけせてもらおうか」

 下半身が凍らされて、動く事はできないでいる。

 「お前達は、何者だ? この強さ、⋯⋯まさかレベル10!」

 「いや、私達レベル9だよ。10はこの世に居ないんじゃないかな?」

 「早く帰りたいから、要件だけさっさと済ませてくれない? 星夜さんに今後も危害を加えそうなら、⋯⋯私は愛の力を爆発させるよ」

 「まじで止めろよ?」
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

処理中です...