物理系魔法少女は今日も魔物をステッキでぶん殴る〜会社をクビになった俺、初配信をうっかりライブにしてしまい、有名になったんだが?〜

ネリムZ

文字の大きさ
上 下
34 / 179

物理系魔法少女、連携を申し出る

しおりを挟む
 想像以上に数が多い。隠れていたゴブリンも居たようだ。

 さすがに、面倒だな。

 ホブゴブリンに近寄りたいけど、なにぶん数が多い。

 しかも連携が良くて、余計に進めない。

 「なら、これでどうだ!」

 近くの木に手を突き刺して根っこから抜き取る。

 「おっらああああ!」

 ゴブリンが固まっている場所にそれを振り下ろす。

 だが、ゴブリンの攻撃を回避したミズノさんが攻撃範囲に入って来る。

 「ミズノさん!」

 「⋯⋯ッ!」

 手に全力で力を込めて、木を破壊した。

 ミズノさんが軽いステップで俺の横に並ぶ。

 「ターゲットが違う!」

 「勘違いです! ミズノさんが入って来たんじゃないですか!」

 「⋯⋯まぁ良い。気をつけて」

 「はいはい」

 狩りを続けている。特に危険は感じないな。

 「ん?」

 「邪魔⋯⋯」

 今度は背中合わせになってしまった。

 互いに戦い方を完璧に把握できている訳では無い⋯⋯連携の力がない事で。

 「厄介な事になったな」

 「ん?」

 術士⋯⋯あいつら魔法を一度も使ってない。だけど俺達を見ている。

 こいつらは捨て駒なのか?

 俺達の戦い方を把握しているのか⋯⋯。

 術士のゴブリンが動く。刹那、ゴブリンの動きが変わった。

 「個々に相手するんじゃなくて、二人同時にか?」

 「愚策。水の魔、形容クナイ、四方撃ち、ウォータースピア!」

 「って、俺にも当たる!」

 屈んで水のクナイを回避する。

 「近くで戦っているので、範囲攻撃は気をつけてください」

 「ちぃ。アオイちゃんは後方で戦うから問題なかった」

 「俺は前衛ですよ」

 再びゴブリン退治に精を出す。

 火の球体、魔法が俺に向かって飛来する。

 ナイスだ。

 「ほらっ。お返しだ!」

 それを掴み、投げ飛ばす。

 ホブゴブリンが大剣でそれを防いだ。

 俺と目が合う。

 「⋯⋯待ってろ」

 その大剣、魔法を受けても一切の傷が無い。

 相当に良い剣なんだろうな。

 金になるなら、手に入れたい。それに、大型討伐がレベルアップの近道だ。

 投石も気をつけてれば当たらない。

 手刀で心臓、魔石を貫き同時に二体倒せる。

 ステッキは右手でバット⋯⋯殴るなら棒よりもこっちの方が使いやすい。

 長い棒は中距離攻撃用にしておこう。近距離はバットだ。

 一撃の火力もこっちの方が高い。

 「っと、危ない」

 「さっきから邪魔!」

 俺が左手でゴブリンを貫き、右手のバットで粉砕しようとしたらミズノさんが割り込んで来た。

 「いや、今のは俺が倒す流れだったでしょ」

 「知らない。ちゃんと周りを見ろ」

 「それはこっちのセリフですよ!」

 大きめな魔法が飛んで来たので回避する。

 「ミズノのサポートに回れ。その方が確実」

 「嫌ですよ。倒せる相手は倒しておきたい⋯⋯レベルアップの為に来てるんですから」

 「⋯⋯ちぃ」

 舌打ちが多い事で。

 まぁ良いや。

 そろそろ手下のゴブリンの殲滅が終わる。

 二分後、残りは術士とホブだけだ。

 「はぁはぁ」

 「おつかれなら座っててくださいよ」

 「バカを言うな⋯⋯アレはミズノが倒す」

 「じゃあ俺は術士で」

 結局ゴブリンを倒し切るまで、俺は普段の動きができないでいた。

 ミズノさんに気を使いながら戦っているからだ。

 巻き込んでしまったら、レベル2の差があってもダメージを与えてしまう。

 それはこの俺も一緒だ。だから魔法を必死に避けている。

 だけど、何回か当たりそうな時があった。

 倒すゴブリンがバラバラだから、同時に攻撃してしまう時もあり、危険な時があった。

 色々と考えモノだ。

 「ぐるぎゃ!」

 術士は火の球体を飛ばすだけ。⋯⋯そのスピードは確かに速い。

 ネクロマンサーの魔法よりも速いだろう。

 だが、レベルアップした俺ならキャッチは可能だ。

 「熱量も上がっているのか。だけど、関係ねぇな!」

 術士に投げ飛ばすと、再びホブゴブリンが防ぎ、強い踏み込みを見せて俺に近寄って来る。

 振り下ろされる凶刃。

 「人生一度はやってみたかった、真剣白刃取り!」

 おお、中々のパワーじゃないですか。

 だがなぁホブゴブリンよ。パワーだけなら俺も負けてねぇぞ!

 「そらっ!」

 持っている手を蹴り上げる。そのままの流れで腹にも一撃を加える。

 「ぐぅ」

 「くっ」

 ミズノさんがホブゴブリンの背後に回っての攻撃タイミングに合ってしまい、ホブゴブリンと一緒に後ろに吹き飛ぶ。

 「ミズノが殺る!」

 「そんな意地⋯⋯」

 ミズノさんに飛んで来た魔法を素早く接近して砕く。

 そのまま抱えて、ホブゴブリンから距離を取る。

 「何する離せ!」

 「ミズノさん。きちんと協力しましょう」

 「はぁ?」

 「疲れてるでしょ? さっきから肩が上下に揺れている。疲れの証拠だ。それに判断力も落ちてる。さっきのは普通に躱せたよね?」

 「油断していた」

 「ミズノさんは周りをずっと警戒していた。油断なんかしてない。その分疲労が溜まっている。だから協力しよう」

 アオイさんの狙いはこれじゃないのかと、思っている。

 ミズノさんはアオイさん信者だ。

 あの人がなんか言えば従う、それも死ねと言われたら死ぬレベルの。

 だから協調性に欠ける。

 ゴブリン殲滅だけなら問題は無いけど、術士が生存している中、ホブと戦うのは難しい。

 逃げたら普通に追われるだろう。

 「アイツらは戦いを学習している。俺の蹴りも読まれてた。さっきの戦いで使ってない魔法は?」

 「⋯⋯なんで指示に従わないといけない」

 「指示じゃない。情報共有だ。互いに自由に動けば良い。だけど最低限の条件は決めておこう。その方が互いに動きやすい」

 「⋯⋯しかたない。今だけは乗ってやる」
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

処理中です...